とっぷさんて大洋(2004年視察)秋田世豪

視察記録「とっぷ・さんて大洋」(2004年/秋田世豪:地域コーディネーター)

太平洋を見渡す高台にある、茨城県鉾田市(ほこたし)の健康増進施設「とっぷ・さんて大洋」のトレーニングルームは、地元のお年寄りでにぎわっていました。

エアロバイクをこいでいたシニア男性は、楽しそうに汗をぬぐっていました。「そういえば、風邪で寝込むこともなくなったなあ」と話してくれました。

併設の温泉に来て勧められたのが、通い始めたきっかけだといいます。体力年齢は48歳。ウエアからのぞく筋肉が引き締まっていました。

トレーニングに訪れる高齢者は、79歳を最高に毎日20~30人。マシンやダンベルを使った筋トレのほか、ステップ運動、水中エクササイズなど自分に合ったメニューに励んだ後は、温泉でくつろぎます。

指導員の女性は「初めとは見違えるくらい、若くなった感じがする」と目を見張ります。

ステップ運動の教室に、参加させてもらいました。高さ15センチほどの踏み台を上り下りする運動で、心肺機能を高める有酸素運動と、大腰筋や下肢を鍛える筋トレの、一石二鳥の効果があるそうです。

ストレッチで体をほぐした後、軽快な音楽に合わせてスタート。簡単そうにみえたのもつかの間、手足の振りや床歩きを加えていくうちに、見る見る汗びっしょりになります。

糖尿病と不整脈の持病をそれぞれ抱えている夫婦も、プールや筋トレと合わせ週に2、3回通っている常連です。横浜から移り住んで6年、ここで友達もできました。「皆さんの顔を見て、一緒に体を動かせるのが楽しくて」と息を弾ませました。

施設内にとどまらず、積極的に「出前」をしているのも、大洋村(現:鉾田市)ならではのユニークな点です。

4人いる指導員と村の栄養士、保健師がチームを組んで地区の会合に出向き、畳や布団の上でできる運動を実践指導するなど、住民の健康意識を高める努力も重ねてきました。

科学的な根拠に裏打ちされた運動メニューと、コミュニティーの触れ合いが、高齢者の元気の秘訣かもしれません。

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