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85年の老舗百貨店の壁にフリーペインティング!「#東横デパート壁ドーン」で生まれた作品をご紹介します

2020年3月、東急百貨店東横店のクロージングプロジェクト「#東横デパート閉めるってよ」の最終企画として、気鋭のアーティスト8組「SHIBUYA」をテーマに東横店西館階段の壁にペインティングする「#東横デパート壁ドーン」が実施されました。

8名のアーティストは、「#東横デパート閉めるってよ」のキービジュアルを制作している松本セイジさんをはじめ、一般公募による選出、またクリエイティブエージェンシー「コルク」、ウェブマガジン「KAMADO」などの協力のもとキュレーションされ、それぞれが思う“渋谷”を、階段の壁・床・天井など視界を埋め尽くすアートワークとして、披露しました。

残念ながら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大をふまえ「みんな、ぜひ来てくださいね!」と言いにくい状況になってしまいましたが、少しでもすてきなアートをご覧いただきたい、楽しんでいただきたい、という気持ちで、各作品の記録とアーティストによる解説をご紹介したいと思います。

※ 壁に描かれたアートワークは東横店閉店後も、同建物で実施される施設の一時活用プロジェクト「渋谷エキスポ」でご覧いただけます。もし渋谷駅を通られたり、この状況が落ち着いた際には、ぜひ足を運んでみてくださいね!

■「#東横デパート壁ドーン」実施概要

・展示期間:3月14日(土)~ ※1
・制作期間:3月14日(土)~ 20日(金)
・展示及び制作時間:11:00~20:00 ※2
・会場:渋谷駅・東急東横店 西館6号階段 3~9階 ※3
    東京都渋谷区渋谷2-24-1
・主催:東急百貨店
・企画:Camp Inc.
・協力:株式会社コルク、ウェブマガジン「KAMADO

※1 東急百貨店東横店は3月末に営業を終了していますが、「渋谷エキスポ」期間中は観覧可能です(終了日は未定。社会情勢により急遽変更する可能性があります)
※2 展示時間・休業日等については、「渋谷エキスポ」に準じます
※3 西館3階下りエスカレーター前6号階段の入口よりご観覧いただけます(4月現在、出入口は3階からのみです)
※「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を踏まえ、みなさまの健康と安全確保の観点から、営業時間短縮に伴い展示時間の短縮を実施しています。詳しくは下記URLより、ご確認ください
https://www.tokyu-dept.co.jp/toyoko/index.html

■各アーティスト・完成壁画

3F/4F 『しぶやのしくみ』 by Haruharu

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ー 作品説明
私にとって渋谷の夜はみんな自由でめちゃくちゃですが、
大きな宇宙船に乗ってどこかに向かってるような変な一体感があるような街でした。
私の体験してきた渋谷のキラキラした思い出を、 遊泳する自分のキャラクター達で表現しています。

▼ Haruharu プロフィール
広島市立大学 大学院 芸術学研究科修了。デザイン制作会社にてグラフィック・Webデザインを手掛けたのち、 2017年ごろから自主制作をスタート。2019年に初めての個展「Sprits」を開催。 現在はグッズやCDジャケットなどのグラフィックデザイン・イラストレーションの制作、 ライブペイントや似顔絵でアートイベントに参加している。
Web:https://haruharu-artwork.com/
Instagram:@haruharu_wu
Twitter:@haruharu_wu


4F/5F 『ハチ公、ご主人を探す旅へ』by やじまけんじ

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ー 作品説明
渋谷の有名な犬の像、ハチ公がクマのキャラクターコッぺくんとワニの友人ロコくんを引き連れてご主人を探しに行く、という設定です。

▼ やじまけんじ プロフィール
マンガ家。フェリシモ猫部で連載中の「猫のおふくちゃん」が単行本になりました。→ http://amazon.co.jp/dp/4894327902/
本と本屋が好きで書店員もしていました。既刊『コッぺくんとしんぱいいぬ』発売中。おしごとのご連絡はDMか所属エージェント会社コルク
へお願いします。
Web:https://corkagency.com/creator
Instagram:@yajima_kenji_
Twitter:@yajima_kenji

協力:株式会社コルク

『りさこのルール』 by つのだふむ

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ー 作品説明
魅惑の女、りさこに出会い、物語が幕を開ける。

▼ つのだふむ プロフィール
マンガ家。4月からマンガ「りさこのルール連載開始。Twitterで毎朝7時更新の「美人一年」という「365日美人を描く」企画に挑戦中。映像作家を経て、2019年よりコルク所属。
Web:https://corkagency.com/creator
Instagram:@tsunoda.humu
Twitter:@tsunoda_fumm

協力:株式会社コルク


5F『Curiocity』 by Ayumi Kubota

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ー 作品説明
タイトルの『Curiocity』というのは、好奇心=Curiosityと、街(渋谷)=cityをかけたオリジナルの造語で、「好奇心があふれ出す街」というメッセージを込めています。
様々な人種、価値観が共生し、無限大の可能性をはらむ渋谷という街で、人も街も、共に前進し進化続ける。
見た人が明るい未来をイメージしてワクワクしてしまうような絵を渋谷に飾りたいという思いで、カラフルな画面、動きのあるモチーフを描きました。

▼ Ayumi Kubota プロフィール
1993年生まれ。服飾の専門学校を卒業しアパレルデザイナーを経て2018年に独立。現在はフリーランスのイラストレーターとして活動中。ファッション的な視点で人物、動植物、抽象などのイラストを得意とし、アパレルブランドのウィンドウディスプレイ、CDジャケットのイラストを制作するほか、百貨店のイベントへの出店やワークショップを行うなど、ジャンルを問わず活動してる。
Web:https://www.ayumikubota.com/
Instagram:@__ayumi_kubota__


5F/6F『SHIBUYA People』 by 松本セイジ

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ー 作品説明
渋谷には、多くの人が集まります。
流行に敏感な若者や会社員、旅行者、買い物客など国籍や老若男女問いません。
これが、毎日毎日休みなく続いています。
そして街並みは、今も時代に合わせて変わり続けています。
これこそが渋谷だと感じます。
そんな渋谷を訪れる様々な人々の顔を描きました。

▼ 松本セイジ プロフィール
大阪芸術大学出身。
彼の作品は、動物や人物のキャラクターをシンプルな構成で描くスタイル。丸い目をした遊び心がある仕草や表情をしたキャラクターが特徴。イラストレーターとして独立後、ニューヨークへ移住し本格的にキャリアをスタートさせる。個展やアートイベントに参加するなど精力的に活動。現在は東京を拠点に国内外の様々な分野のアートを手がける。また、子供達や環境問題をテーマに活動するアーティスト集団「コペルズ」のメンバー。
主な仕事実績:ニューヨークタイムズやマクドナルド、ユニクロ など
Web:http://www.seijimatsumoto.com
Instagram: @seijimatsumoto_arts


6F『花の都』 by まちだ美穂

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ー 作品説明
色々な個性に溢れる街、渋谷。人を花に置き換え、個性的な花を並べました。茎は渋谷の地形の谷のイメージで凹ませています。

▼ まちだ美穂 プロフィール
日常生活で心が躍った感覚を、お花のイラストで表現しています。ドローイングZINEや、Gif動画を制作しながら、FLOWER RIBBON SHOPという名でオリジナルのハンカチも販売中。ワクワクするコミュニケーションが生まれるようなものづくりを続けていきたいと思います。東京造形大学テキスタイルデザイン専攻出身。
Web:https://machidamiho.amebaownd.com
Instagram:@miho.m.0802
Twitter:@miho_m_0802


6F/7F『WALKING HEADS: 2020』 by 片岡亮介

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ー 作品説明
デジタル化がさらに加速していく社会。そうしたなか五感を通して得た実感が、信頼性を測るための重要な根拠となる。
自分の足で歩き、コミニュケーションを交わしてくいく中で生まれる新しい文化。
その文化を受信と発進する場となる渋谷の人々を描いています。

▼ 片岡亮介 プロフィール
1993年岡山県生まれ。アーティスト。東京造形大学グラフィックデザイン専攻卒業。ドローイングを軸としたペインティングやインスタレーションなどの手法を用いて表現している。受賞歴に第15回 「1_WALL」グラフィック部門 ファイナリスト。
Web:https://kataokaryosuke.tumblr.com/
Instagram:@kataoka___ryosuke


7F/8F『GARDEN』 by 菅 隆紀

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ー 作品説明
“このプロジェクトは別れから始まった!”
初日、僕の作品制作には欠かせないおよそ9年間苦楽を共にした友人(プロジェクター)との別れ、そして新しい出会い(新しいプロジェクター)を経て始動をした。
路上に起伏するグラフィティの表現を参照しながら我々のDNAに刻まれた超自然的な人類の形跡(それは例えば、路地裏に多くみられるシールの剥がし跡や意味もなく記載された名前や番号の事を示す)。
そして日本特有の思想で、あえて中心を置かず余白を創り出し、地と図の両側から作品を詰めていった。
今回のタイトルであるGARDENのイメージは、いろいろなシグナルを花束のように重ねながら、花園を連想させるように表現した。
制作が進むにつれ、東横デパートの新たなスタートに向けたはなむけとして、徐々にドリッピングの形と共に浮き出てきた。
そして、1週間で7階から8階を繋ぐ空間に到底1人では描ききれない巨大クジラに挑むような作品が完成した。
僕の大きな目標を叶えるために多くの人々が制作協力をしてくれた。この企画に関わってくれた全ての方々に感謝します。

▼ 菅 隆紀 プロフィール
1985年長崎県生まれ。2009年愛知県立芸術大学卒業。
自らの存在を路上に記述するグラフィティの表現を参照しながら、人間の根源的な行為や欲求をテーマに、絵画的技法を用いて表現している。2014年、オーストラリアを放浪中にアボリジニ文化に影響を受け、出会った老人の古民家にて滞在制作を行う。
Web:http://takanorisuga.com/
Instagram:@suga.aka.takanori
Twitter:@sugarworks2

協力:ウェブマガジン「KAMADO」

■企画担当より

「いつもの東急百貨店東横店を、まるで美術館に来たような気持ちで巡ってもらいたい」「クローズしていく店内に彩りを添え、普段デパートを利用しない方にも足を運んでもらいたい」この企画の話があがったとき、そんな気持ちでCampは走りはじめました。

アーティストのみなさんに、パブリックな場で制作していただくことにより、リアルタイムでアートが生まれる場。普段目にすることがあまりない制作風景を目の当たりにしたり、アーティストと直接コミュニケーションがとれたり、いつも通勤・通学で使う渋谷駅のあの店でアートと触れ合うという体験ができる場……。

私たちが当初目指していたのは、そんな場づくりでした。

しかし、本企画を計画しているさなか、新型コロナウイルスの感染拡大が広がり、全国各地で活動の自粛を促す動きが加速していきました。

本企画は、2020年3月31日をもって85年にわたる営業を終了する、東急百貨店東横店のクロージングプロジェクトの一環という背景において、このような状況でどうしたらお客さんに笑顔になってもらえるのか、そのためにCampだからこそできるのはどんなことだろうかと、メンバー内で何度も話し合いました。

議論から生まれてきたのは、東急百貨店東横店の建物そのもののラストを、私たちの信じるアートの力で彩ること。そして、たくさんのお客さんが集うイベントとしては開催できなくとも、SNSを通じて作品完成までの工程を発信することで、お客さんやアーティストのみなさんが無理なく安心して楽しめる場を提供することが、最大限私たちにできることなのではないか、という考えでした。

いつものイベントのように「現地でお会いしましょう!」と声を大にして伝えることができない状況での開催となりましたが、このような大きな空間を編集するという貴重な機会に、一緒にチャレンジできたアーティストのみなさん、協力企業のみなさん、そしてこのようなチャレンジの場を提供してくださった東急百貨店東横店のみなさんに、心より感謝いたします。

Campのメンバーがこれまでの人生のさまざまなタイミングで、アーティストのみなさんの作品に勇気づけられてきたように、このプロジェクトを何らかのかたちで目にしてくださった方の気持ちが勇気づけられていることを願っています。

一刻も早く世界各地が元気になることを願い、みなさんとまた直接お会いしてアートを楽しんだり、マスクなしに飲んだり笑ったりできる日を楽しみに。

これからもアーティストのみなさんの力をお借りしながら、Campは「偏愛で世の中に寛容をつくる」世界を発信していきたいと思います。

Camp 金田

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