コロンビアニュース#3 コロンビアDJ殺人事件


先日福岡で女性が元交際相手に殺傷される事件がありましたが、こういう交際関係にあった男性から女性が殺害される事件が世界で後をたちません。日本では「ストーカー殺人」という言葉はあっても、こういう交際関係にあった男性が犯人となる殺人事件に名前は付けられていませんよね。少なくとも私が知っている限りでスペインとコロンビアでは女性が男性に命を奪われる事件をFeminicidio(フェミサイド)と呼び、実態を把握するために通常の殺人事件とは別で統計をとっています。これらの国では検索で「フェミサイド 2022」とかキーワードを入れると件数や詳細をすぐに見つけることができるんですよ。この手の事件の殺害動機は嫉妬や執着、プライドが傷つけられたとかそんなのばっかり。女性を私物化し、自分より下の存在だと認識しているからゆえ起こることで、男尊女卑が根っこにあると考えられています。先日の福岡の事件はじめ日本でもこう言ったフェミサイドは珍しいことではないので、よその国のように通常の殺人事件とは別に扱うべきなんじゃないかと思ってますが、それでは社会が変わってしまいますかね、岸田さん?


はい、今日紹介するのはコロンビアで1月末に起きた殺人事件。被害者はDJとして活動していたコロンビア人女性。犯人はアメリカ人男性です。まだ裁判中でキリがついている事件ではないですが、今一番コロンビアで話されている話題だと思うのでここに共有しておこうと思います。


 


事件の大まかな流れ


1月22日、首都ボゴタ市内のゴミ捨て場のコンテナの底からスーツケースに入った女性の遺体が発見されました。すぐに女性はDJとしてコロンビアで活動していたバレンティーナ・トレスパラシオス(Valentina Trespalacios)さんと判明し、殺人事件として捜査が開始されました。犯人として目をつけられたのはバレンティーナのボーイフレンドであるアメリカ国籍のジョン・プーロー(John Poulos)。プーローは事件から2日後の24日にパナマで発見されパナマ警察によって逮捕された後、コロンビア警察に引き渡されました。プーローはトルコに逃亡する途中だったようです。


滞在したアパートの監視カメラには、2人で部屋に入った映像の後スーツケースをショッピングカートに乗せて一人で退室するプーローの姿や、車にコンテナから見つかったものと同じ特徴のスーツケースを詰め込むプーローの姿が写っており、逮捕された当初は犯行を否定していましたが、これだけ証拠が揃っていたら罪を逃れることはほぼ不可能でしょう。

https://www.youtube.com/watch?v=DsrW4kJm83w

 


殺害の動機


「バレンティーナの彼氏」とは言っても彼らはインターネットで知り合い、この日は会うのが3回目だったそうです。お互いの言葉は話せず、会話は翻訳機を使って行われていたとのこと。そしてバレンティーナにはプーローの他にサンティアゴ・ルナという彼氏同然の存在がいましたが、プーローには秘密にしていました。ある日、プーローに「イベントがあるから」と告げサンティアゴとアルバ島に旅行に行ったバレンティーナ。しかしプーローは探偵を雇ってバレンティーナの行動を監視していたため、彼女に他の男がいることがバレてしまったんです。腹を立てたプーローは3回目となる今回の訪問で寝ている彼女を素手で殴り、最後は首を締めて殺害しました。死体をスーツケースに詰めましたが頭は入らなかったため上からシーツをかけて死体を持ち出し、ゴミ捨て場に遺棄。彼女の携帯電話などはボゴタの空港のゴミ捨て場から見つかっています。


 


プーローの人物像


ジョン・プーローはアメリカ人。2009年に結婚し3人子供がいますが2021年に離婚しています。信仰深く、さらに4歳の子供が癌と診断された時はFacebookで寄付を募るなど、側から見ると家族想いの普通の男性だったようです。しかし元妻の証言ではプーローは「何もかもコントロールしたがり、暴力的だった」とのことで、この事件を知った時どう感じたかの問いには「彼の本性から考えると、とても驚いたとは言えない」と答えています。さらにプーローは養育費の支払いを拒んでおり、逮捕状もでていたことから、アメリカではなくトルコやキプロスなどの国を転々としていたという背景もあるようで、外ヅラは良くても中身は自己中心的なただのクズだったということが報道で明らかになっています。


 


現在裁判中


弁護士や通訳者が変更されたりと、なかなかスムーズに裁判が進んでいない様子ですが、コロンビアではフェミサイドは最大で懲役50年の刑になるそうです。コロンビアでは女性や子供を殺した受刑者が刑務所の中でリンチされ殺害されることがたまにあるのでプーローは独房を望んでいるようですが、せいぜい普通の刑務所で恐怖に震えながら罪を償って欲しいですね。


アメリカでの報道はこちら↓(英語)

https://www.youtube.com/watch?v=Je0s1DI7YcY

 


若い女の子を求める外国人男性とステータスを求めるコロンビア人女性


コロンビアにいて、父と娘かと思うようなカップルをよく見ることがありました。大体男性は英語を話し、女性の方はコロンビア人。


外国人と付き合えばアメリカやヨーロッパに住めるし、お金ももらえるからという理由で外国人男性との出会いを求めるコロンビア女性がいるということは珍しくありませんし、男性側もそんな若い女の子にチヤホヤしてもらえるからという理由でコロンビアに来るという人もたくさんいるんです。そこにつけ込まれてティンダーでデートして薬盛られて金品を盗まれたり、最悪殺されたりという事件がよく起こっているのも悲しいかな事実。11月にはベトナム系アメリカ人の男性がティンダーで知り合った女性にエスコポロミナを盛られて亡くなってます。コロンビアでデートアプリを使う時は気をつけてくださいね。


まぁそういうコロンビア人女性と外国人男性のカップルに関してはウィンウィンな関係なので外野の私がジャッジするべきことではないですが、お金をチラつかせてコロンビア人女性にチヤホヤされることに慣れてしまった外国人男性にそのノリで絡まれることはたまにありました。見知らぬ小汚い小太りアメリカじじいに空港のセキュリティチェックの列で「韓国人?セクシーアジア人だねぇ。」と言われた時はぶん殴ってやろうかと・・・。チェックが終わって小走り気味にラウンジに避難すると、隣のデスクに座っていたおっさんに「アジア人にそのブーツの組み合わせ・・・エロいねぇ」と言われたりと、コロンビアで感覚がバグってしまうきっしょいおっさんがたくさんいます・・・。女性の皆さん、気をつけてくださいね。本当はこのニュースとこのエピソード、Newsweekの方で書こうと思っていたんですが「すべての外国人男性がそんなんじゃない!失礼だ!」とめんどくさいコメントが来てもおかしくないと思ったのでこちらに書きました。


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