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角川文庫版と角川スニーカー文庫版のハルヒ読み比べ(涼宮ハルヒの憂鬱)

 こんにちは。角川スニーカー文庫で人気を博した涼宮ハルヒシリーズが角川文庫でも登場したので全巻買ってみたのですが、ただ置いておくのも勿体ないので読み比べを始めました。元々Twitterで始めた企画なのですが、ちょくちょく反響をいただいたので見やすいようにnoteでもまとめておきます。
 読み比べに使用したのは角川スニーカー文庫五十二版、角川文庫初版。

Twitterで見たい方はこちら。


憂鬱2

憂鬱3

憂鬱4

 第一章

 いとうのいぢさんの挿絵がない以外にも、目次だったりカバー裏だったり、中身ではなく本の作りに結構違いがある感じです。文字サイズも角川文庫の方が大きいので心なしか読みやすくなった気がします。その影響で、ページ数がちょっと増えています。ただし、内容の変更箇所は見つかりませんでした。また探せば見つかるかも…?

 第二章

 第一章と同じで違いは見つからず。また探せば見つかるかも…?(二回目)

 第三章

 ここから変更点がようやく見つかりました。

角川スニーカー文庫 P.124
「延々と電波なことを言いやがった」
角川文庫 P.118
「延々とデンパなことを言いやがった」
補足…これ以降スニーカー文庫本文に出てくるのは『デンパ』のため、それに合わせたものと考えられます。

角川スニーカー文庫 P.128
 白いエプロンと、裾の広がったフレアスカートとブラウスのツーピース。
角川文庫 P.122
 白いエプロンと、裾の広がったワンピース。
補足…第五章終わりまで読んだ時点で、服装の描写に修正が入ったのはこの一カ所のみ。何故だろう?

角川スニーカー文庫 P.129
「みくるちゃんというもともとロリーで気が弱くて、(以下略)」
角川文庫 P.123
「みくるちゃんというもともとロリで気が弱くて、(以下略)」
補足…みくるちゃん初登場のシーンではスニーカー文庫版でも「ロリ顔で巨乳」とあるのでそれに合わせたものと考えられます。

角川スニーカー文庫 P.130
 それはもう例えようもないほど魅力的だった。
角川文庫 P.125~126
 それはもうたとえようもないほど魅力的だった。
補足…珍しく漢字からひらがなへの変更点。漢字の場合、ページをめくった一行目が『いほど魅力的だった』となり、読みやすくするための変更かと。

角川スニーカー文庫 P.134
 誰もツッコマないので俺が代表して訊いた。
角川文庫 P.129
 誰もツッコまないので俺が代表して訊いた。
補足…特になし。強いて言えば誤字訂正。ツッコミとツッコみを混同?

角川スニーカー文庫 P.137
 こればっかりは死力を決して俺はハルヒを制し、(以下略)
角川文庫 P.131
 こればっかりは死力を尽くして俺はハルヒを制し、(以下略)
補足…誤字訂正と思われる。

 第四章

角川スニーカー文庫 P.139
「たとえ遅れなくとも一番最後に来た奴は罰金なの」
角川文庫 P.133
「たとえ遅れなくとも最後に来た奴は罰金なの」
補足…一番と最後で意味が被っているため修正と思われる。ただし、涼宮ハルヒの場合はスニーカー文庫版(一番最後)の方が言いそう。

 第五章

角川スニーカー文庫 P.184
「何も変化しない観察対象に、あたしはもう飽き飽きしてるのね。だから……」
角川文庫 P.175
「何も変化しない観察対象に、わたしはもう飽き飽きしてるのね。だから……」
補足…これまでで最大の変更点。台詞「」内の一人称の変更。大変興味深い。

角川スニーカー文庫 P.200
 呆(ぼ)けていたおかげで俺は、(以下略)
角川文庫 P.192
 呆(ほう)けていたおかげで俺は、(以下略)
補足…これまで読み比べてきたなかで初となるルビの変更点を確認。

 第六章

角川スニーカー文庫 P.232
「人間原理を引き合いに出したのは、ものの例えですよ」
角川文庫 P.223
「人間原理を引き合いに出したのは、もののたとえですよ」
補足…第三章同様に感じからひらがなへの変更。今回は改行による不都合はない箇所なので、第三章と表現を揃えたものと考えられます。

角川スニーカー文庫 P.241
「大惨事になりますかね」
角川文庫 P.232
「大惨事になりますからね」
補足…誤字訂正。

角川スニーカー文庫 P.243
「俺に目配せでもするように二三度ばかり左右に揺れると、(以下略)」
角川文庫 P.234
「俺に目配せでもするように二、三度ばかり左右に揺れると、(以下略)」
補足…読点の追加。

第七章

角川スニーカー文庫 P.258
「いやもう自分でも何の例えなんだか解らん」
角川文庫 P.247
「いやもう自分でも何のたとえなんだか解らん」
補足…第三章、第六章と同じで漢字からひらがなへの変更。

角川スニーカー文庫 P.265
 俺は自室のベッドに寝ころんで長門から押しつけられた厚い書物をひもといていた。
角川文庫 P.255
 俺は自室のベッドに寝ころんで長門から押しつけられた厚い書物を紐解いていた。
補足…ひらがなから漢字への変更。今回の読み比べの中では珍しい気がする。

角川スニーカー文庫 P.275
「アダムとイブですよ。産めや増やせばいいじゃないですか」
角川文庫 P.265
「アダムとイブですよ。産めよ増やせよすればいいじゃないですか」
補足…アニメ版の古泉の台詞に寄せてきた感じでしょうか?

エピローグとあとがき…変更点なし。

解説…角川スニーカー文庫はスニーカー文庫編集部、角川文庫は筒井康隆さん。

おしまい

憂鬱5

 スニーカー文庫版と角川文庫版の涼宮ハルヒの憂鬱読み比べ、これにておしまいです。大変長い内容をお読みいただき、誠にありがとうございます。涼宮ハルヒの退屈以降の読み比べを私以外の誰かがしてくれるのを楽しみにしてとりあえず今日はもう寝ますので、涼宮ハルヒの新作が出たら起こしてください。あ、一応最後に補足すると、第二章まではスニーカー文庫と角川文庫の相違が私には見つけられなかったのですが、第三章以降をみるに、何かしらあるのではないかという疑いがあるので、気になる方は第二章までだけでも試してみてくださいね。もしなくても結果を教えていただけると、私が安心します(笑) それではまた、涼宮ハルヒの溜息の読み比べで。

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