非がん緩和ケアで意識すること(メモ・雑感)

簡単にCammyが非がんの緩和ケアを意識した時の考え方を記載してみる。概ね①→②→③で考えることが多い。
エビデンスがあるわけでもなく、あくまでcammy個人の頭の整理のための記載。

⓪事前知識

よく使うフレームワーク
・臨床倫理の4分割
https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2014/PA03059_02

・3stage protocol
https://agsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jgs.16686

・Best/Worst法
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26280462/#

①治療可逆性

まずはその病態が治療できるかを考える
治療負担の少ないものであれば
・誤嚥性肺炎への抗菌薬治療
・非代償化された心不全の利尿薬
治療負担の大きいものであれば
・重症ASのTAVI
・誤嚥性肺炎→ARDSの人工呼吸器管理
・利尿薬で治療できないうっ血へのCHDF
などが例だろうか

逆に治療できないもの
・1時間以上経過したCPAへの蘇生行為
・耐術能のない下部穿孔へのOpe
などはそもそもこの段階で治療適応ではなくなり、CMO(comfort measures only)を推奨している。
その場合には「亡くなるまでの時間を1秒でも伸ばすといったことはなできないが、症状を取るために出来ることは全力でやる」と伝えることが多い。

この領域は4分割表の「医学的適応」であり、BPSモデルの「Bio」に該当する部分とするとわかりやすいのかもしれない。

②治療負担に耐えられるか

例えば誤嚥性肺炎への抗菌薬は治療負担は比較的小さいと考えられる。もちろん「点滴は嫌だ!」等はあるかもしれないが1時間だけCTRX落としてロックするなどであれば比較的忍容性は高いのではなかろうか?
ましてや皮下点滴などの代替手段もあるため、考えやすくするために、ここでは治療負担はほぼないとする。

逆に治療負担の大きいが可逆性があるかもしれない病態が一番悩ましい。ARDSの挿管など、一時的な侵襲で乗り切れれば良いが、やってみても救命できなかったとなり得るパターンである。

しかし、こここそ緩和ケア領域に関心のある医師の活躍しどころではないかと考える。
というのも、ここでこそ「価値観」が活きるからである。緩和ケアスキルのコミュニケーション(ex.NURSEや3stageでの話あいなど。終末期ディスカッションに書かれてるような内容)が重要だからである。
ちなみに個人的に侵襲度の高い処置のするしないはbest/worst法で考え、提示することが多い。

そこで探った価値観や共通認識をもとに、治療の推奨/差し控えの提案ができる点が強みではなかろうか。

ERなどの場合では「それだけは嫌だ」を早めに同定し、それを避ける形での推奨/差し控えを

慢性疾患(繰り返す誤嚥性肺炎、心不全など)の場合は都度都度「前やった治療はまた耐えれそうか」など話すなどがわかりやすいのではないだろうか。

4分割表の「本人の意向」や「周囲の状況」を埋める作業に近いと個人的には考えている。

この段階で治療・処置を推奨する場合に③にすすむ。

③治療効果と予後の比較

推奨する治療と、予測される予後の比較を行う。
がん領域では種々の予後予測ツールがあるが、非がんの場合には確立された予後予測ツールは(おそらく)ないため、この点については上級医や専門家との擦り合わせになるだろう。

その上で
治療効果が出るまでの時間

生命予後
より短いのであればGo
予後より短いのであれば、治療負担を与えても予後もQOLの向上も達成できないのであれば撤退を考える

例をあげるなら終末期患者の腎盂腎炎だろうか。
解熱という症状緩和目的に抗菌薬を投与するかは悩ましいケースは多々あるように思われる。
この場合72時間以上の予後が見込まれるのであれば抗菌薬投与は行うメリットが大きいと考える。
一方で予後が時間〜1日程度であれば、仮にMEPMを投与しても解熱しない可能性はあるので抗菌薬ではなくアセリオ定期投与を選択する。

以上が個人的な非がん緩和の考え方である。
結局のところ、
best/worst法を使い3stage protcolで面談をし、4分割表を埋める作業をしているといった形だろうか?

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