疑似恋愛の温度

女性用風俗を使う時、ユーザーである我々は女で、名前もバックボーンも幻みたいな人と肌を合わせる。
ともすれば、そのお相手に恥部すら晒すのだ。

体温をそのまま垂れ流す肌を、粘膜をあなたに見せてもいいと思えるのはあなたを信頼しているからなんです。

この信頼は何に由来するのでしょうか。
接客や性技の品質を高く買っているから、いわゆる「テクピ」だから信頼している。
安心できる店に所属しているから信頼している。
何度もリピートしたから信頼している。
会う前のDMで丁寧に話を聞いてくれたから信頼している。

いろいろな要因があって信頼関係を築いていると思います。
でも信頼するだけにとどまらず「あなたの特別になりたい」と思うのは信頼の上に疑似恋愛を重ねているからだと思う。

はじめましての関係でお互い服を脱げるようになるために疑似恋愛って手段は非常に有効だと思う。
それはキャスト側から持ちかけることもあれば、キャストは意図していないのにユーザーがその手段を持ち出すこともある。
また、女性用風俗に内包されるレンタル彼氏や出張ホストの性質から疑似恋愛を手段でなく目的として利用している人もいるだろう。
これらは何も間違ったことではない。

だって肌を晒すのは誰でもいいわけじゃない。
あなたに見せるのは大切な体で、粘膜や恥部は一等慎重に扱って欲しい。
だから信頼や疑似恋愛が必要なんだ。

不随意に揺れる髪先から足の爪先まで、人の体はどこでも心に直接繋がっている。
雑に触れないで、優しく撫でて、熱っぽく抱きしめて、心臓が興奮する音を色恋沙汰と勘違いしたら、飛びきりエロいことしよう。

特別にすることと大切にされることは違う。
そんなのわかっていても、そうなりたいと思う気持ちはわかる。
疑似恋愛を続けていけば関係のアンバランスさに薄々気がついてしまう。
「わたしばかり色恋にのめりこんでいるのではないだろうか」
「愛が伴う行為なら金銭ではかれない絆がわたしたちにあるはずだ」
「掲示板にかいてあることが本当ならわたしにも可能性があるんじゃないか」
「特別になりたい」

バランスが崩れてしまった時に足を突っ込むのが沼ならば、そこのヘドロは人肌ちょうどの温もりなんだろう。


特別な人になったってそれが関係のゴールではないはずだ。人の欲は尽きないからもっともっとと要求が腹にたまるだろう。
先に述べたように、特別になることと大切にされることは違うから、大切にされなくてたまる不満もあるだろう。

自分が納得できない世界で思い出すのはまた風俗という業態の歪さだ。
人間は他人のことを本来はコントロールできないのに、風俗ではある程度望んだように相手が振る舞ってくれる。
けれどもそれは本来の姿ではない。相手をコントロールしたい要求が一線を越えてしまえば、
あなたは愛した人を憎むかもしれない。

いいたいことはあれです。
望みすぎないことが風俗遊びを楽しむコツだということと、某有名掲示板に書いてあることは信用するなってことです。

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