アンチスレ歴代最多!?水星の魔女 ミオリネは、なぜ嫌われヒロインになったのか? (スレッタ編)
※こちらはファンの感想文です。ネタバレ有ります。「そんな話なの?」「もう一回観てみよう!」 と水星の魔女に興味を持って頂くことを目的とし、公開しています。批判したい方ではなく、水星の魔女のミオリネさんがちょっと苦手、でも、深堀りしてみたいという方に向けた記事です。
ミオリネ・レンブランは、2023年電撃オンラインのキャラ人気ランキングで、堂々第一に輝いた水星の魔女のヒロインです。さらに、2024年2月号のアニメディアのアニメキャラ大賞2023特集号では、スレッタとグエルと3人で、見事に表紙を飾りました。
一方で、5チャンネルではミオリネアンチスレがアニメキャラ歴代最多の600スレッドを達成しました。ちなみに、アンチスレ数の2位は207スレッドの他作品のキャラクターであり、この数字は圧倒的です。(2024年現在)
本記事では話題性の抜群のヒロイン、ミオリネ・レンブランを堀り下げていきます。
スレッタにとって ミオリネは悪女?
ミオリネは、宇宙最大手のモビルスーツ企業、ベネリットグループ総裁の一人娘です。深窓の令嬢のような儚げで線の細い美少女であるため、スレッタへの当たりの強さが、ツンデレお嬢さまの愛情表現と捉えられる傾向にありました。
もちろん、ミオリネにとって、スレッタはかけがえのない存在でした。しかし、彼女の甘え方が一般的に許容される範囲を大きく逸脱したことで、ファンの一部から批判を受けています。
初期の悪女ムーブを振り返る
主人公のスレッタは、ミオリネの運命力に最も引き込まれた人物です。では、第1話から第4話で、ミオリネが彼女にしたことを具体的に振り返りましょう。
初期のミオリネには父親からの過干渉から逃れるため、地球に行く目標がありました。目標の達成、そして、性格上の問題から彼女にはマウントや略奪、行動制限や不当な取引などの問題言動が目立ちました。
ミオリネの行動はセーフ? アウト?
下記の表は、あるもののチェックリストです。ぜひ、当ててみてください。
これはモラルハラスメント、あるいは疑いののチェックリストの一部です。ミオリネの行動に該当する部分を抜粋しました。加えて厚生労働省による実態調査も引用します。
一般的な定義と照合すると、ミオリネがかなり危うい橋を渡っていたと分かります。スレッタの人権を尊重するならば、ミオリネの甘え方は完全にアウトなのです。
クワイエット・ゼロはミオリネの罪?
では、最終的にミオリネの悪女ムーブは払拭されたのでしょうか?前提条件として、ミオリネのクワイエット・ゼロへの関与について振り返ります。
法律から考える
水星の魔女の最終決戦の舞台となったクワイエット・ゼロ。スレッタと仲間たちは、強大な支配力を持つ巨大装置を停止させるために、命懸けで戦いました。しかし、ミオリネはクワイエット・ゼロの協力者、つまり幇助犯 (従犯)です。彼女の行動は、以下の通りでした。
では、ここで幇助罪について説明します。
法律に則って考えると、クワイエット・ゼロはプロスペラたちの罪でもあり、ミオリネの罪でもありました。
ミオリネの目的は、自分の願いの達成
ミオリネがプロスペラに協力した理由は、異常な母親からスレッタを引き離すためでした。復讐の道具から脱却させようとしています。
しかし、ミオリネの目指した道は、スレッタの願いの対極にあります。ミオリネとスレッタの願いを比較してみましょう。
母親から離したいミオリネと、母親を守りたいスレッタ。ミオリネの行動は、スレッタの思いに掠りませんでした。
結果的に、ミオリネがスレッタを騙し、エアリアルを奪い、傷付けたことは、スレッタのためになりません。さらに、ミオリネの貢献はキャリバーンに乗ったスレッタの体に麻痺と障がいを残してしまいます。
相手の意思を理解しない献身は、人生に干渉された相手に取り返しのつかない傷を与えることがあります。『あなたのためだった』は決して免罪符にはならないのです。
ミオリネのクワイエット・ゼロへの参加は、罪と名のつく行動です。そして、それは自分の願望のための献身でした。
補足:ミオリネの行動は合理的ですが、スレッタの依存からの脱却が間に合いませんでした。さらに、ミオリネが 「あんたを母親から引き離したことも全部、間違ってた」と認め、スレッタの選択した道が正規ルートになります。
最終回のミオリネは 優しいパートナーになれたのか?
終わらないスレッタへの冷遇
結論から言うと、優しいパートナーにはなりません。成長による改善は見られたものの、根にある思考は変わりませんでした。ミオリネは、1期で行ったスレッタへの軽視を2期で再三再四にわたり繰り返します。
具体例として、22話の最終決戦前、スレッタとミオリネの再会の会話を振り返ります。この時、クワイエット・ゼロの稼働率が高まり、刻一刻と状況は緊迫していました。しかし、ミオリネは傷心し、部屋に閉じ篭もります。そこに、スレッタが対話を試みました。
この後、スレッタに 「部屋に入っていいか」と聞かれたミオリネが、自分の足で扉へ歩き出すという印象的なシーンが続きます。
一方で、スレッタの立場から見ると、ミオリネの言動はあまりに利己的でした。彼女の振舞いを細分化してみましょう。
・ 絶対にスレッタに謝らない
上記の会話ではすり替えが行われていますが、ミオリネが謝るべきはプロスペラと引き離したことではなく、スレッタを傷付けたことです。
スレッタはミオリネに裏切られています。花婿の契約を破棄され、エアリアルを奪われました。また、ミオリネはクワイエット・ゼロの関係者ですが、対応を放棄しています。結果的に解決の目処が立たず、スレッタが命と引き換えに対応します。それに対しても、まったく謝りません。 スレッタには 「都合のいい言葉なんてあげられない」 が答えです。
そして、ミオリネは1期でも同じことを繰り返していました。10話では温室を任せる約束を一方的に破棄し、11話でスレッタの頭を叩いたり、胸を殴ったりしましたが、謝罪はしません。スレッタに直接謝るシーンは、本編を通して一度もありませんでした。
・ 死にそうなスレッタに自分の世話を要求
スレッタは死んじゃうかもって震えてたと言及されるほどに、追い詰められていました。しかし、辛さを耐えて働いています。そんな彼女をミオリネは労わることなく、さらに、自分のために地球へ行く要求を上乗せしました。
同じように、11話でスレッタが自分の価値を信じられなくなった時も、ミオリネは自分の要望だけを並べていました。自分にうっとおしく進み、任せてくださいと言い、ずっとそばにいて、決闘も負けず、トマトに培養土を足して、日照パターンをアンデスモデルにして、部屋を週2回掃除して、メールを1日3回送るよう求めます。同時に、不安を抱えたスレッタの弱い人格 (ネガティブ・卑屈)は否定していました。
・ スレッタのことを利用し続ける
本編を通して、スレッタはミオリネの自己実現のためのアイテムでした。1話のスレッタは、ミオリネが決闘に出るために、エアリアルを奪われます。さらに、弾除けとして、何度も拒否した花婿役をさせられました。ミオリネはスレッタの存在を使って、父親やグエル、シャディクへの反抗を行っていたのです。そして、最終話には終わるとも分からない戦争犯罪の謝罪を、スレッタの包容力を使って実現しようとしています。
当然、多くのスレッタファンは怒りました。ガンダムシリーズのファンは肩透かしを食らい、作品を応援していた善良なファンも嫌がっていたように見受けます。なぜなら、スレッタは尊厳を守られるべき女性のひとりであり、ガンダム作品の主人公だったからです。目的のために作られた命、リプリチャイルドという生まれは無関係であり、誰かの夢の実現のためのアイテムではありませんでした。
少女ふたりの関係性として、ミオリネはスレッタに何をしても許されます。そして、何を奪っても許されます。それは、水星の魔女のアニメ本編をはじめ、コマーシャル、コンペティション、グッズ、ポップアップショップ、キャラコメンタリーの全てにおいて徹底していました。当然ですが、相手が許すからと言って、何をしてもいいということはありません。
ミオリネが嫌われた理由は?
ハラスメントを改善しなかったから
ミオリネが嫌われたのは、自分本位な行動が最後まで改善されなかったからです。
ミオリネのスレッタへの人的侵害 (謝らないこと、労わらないこと、意志を無下に扱うこと、相手を利用すること、過度な要求を押し付けること) は繰り返されました。そして、その継続は、一般的にはパートナーに向けないものとされています。
スレッタへの負の連鎖
水星の魔女の物語には、最後に衝撃的な展開がありました。なんと、今度はスレッタがプロスペラに対し、人的侵害を行う側に成り代わっているのです。
最終話のスレッタは 「お母さんを悪い魔女にしたくない」という、自分の願いの成就のために、プロスペラからエリクトへの希望(クワイエット・ゼロ)を奪います。結果として、プロスペラの夢は破れ、1話のスレッタのように、望まない行動を取るしかなくなりました。3年後のプロローグのプロスペラは車椅子に座り、一言も喋らず、微動だにしません。
最後の母娘の会話はこちら ↓
スレッタは、おのぼりさんでした。1話では友達との喋り方や学校のシステム、トマトのことすら知りません。広い世界や選択肢を知る前に、ミオリネを『仕事を任せてくれる正しい人』と認識してしまったことで、彼女の悪いやり方を正しいと認識し、見習っています。
まとめ
水星の魔女には多くのファンがいました。彼らは、思いやりと正義の心を持ったスレッタが広い世界を知り、自己を確立していく成長の物語を期待していました。そして、その成長の一番近くには、共に手を取り合うミオリネがいると信じていたのです。
しかし、本編のミオリネはスレッタを最後まで利用しながら、自分の成長や能力をスレッタに対し、プラスに働かせることができませんでした。
さらに、ミオリネが負の鎖を断ち切らず、スレッタに繋げた事実に、ファンは大きな衝撃を受けました。それがミオリネへの忌避感に繋がったと考えられます。
あとがき
僕は水星の魔女のファンです。
この記事に着手したきっかけは 「ミオリネ 」を検索した際のサジェスト機能です。「悪女・罪・嫌い・ダブスタお嬢さん・裏切り・ひどい・性格悪い」などのマイナス言葉が並びます。しかし、きちんと言語化された記事がほとんどありません。そこで、彼女のファンの僕が、勝手に一肌脱いでみることにしました。ミオリネグッズの商品広告をたくさん埋め込みましたが、僕には一銭も入りません 笑
記事のために、心理学や法律、心の疲れや病を学びました。すると、そこには人が人を守ろうとしてきた歴史の営みがありました。言語化の難しい心理に呼称をつけたり、心的外傷に療法を与えたり、あるいは、人の尊厳を守るために法律を作ったり、あらゆるものに対策がされています。僕らは、先人の努力の上に平穏に暮らしているんだなぁとプロの努力に頭が下がりました。
同時に、水星の魔女に描かれるグレーゾーンの判定がわりとアウトで、正直これは、とても驚きました。そして、この 「実はアウト!」に目立って該当するのがミオリネです。ミオリネの行動に違和感を感じ、「絶対悪ではないけれど、なんか嫌だな」「自分はしないな」「こんなこと、恋人にされたくないな」と感じたのなら、その感覚はおそらく正解です。
水星の魔女は二次元のアニメですが、人間が人間に向けて作るものである以上、その営みに寄り添って欲しかったと思います。
とはいえ、人を守る仕組みたちは僕の楽観を簡単に吹き飛ばすほど厳しく、一般的にも浸透していないのではないかと懸念されます。僕自身もミオリネというキャラクターに出会わなければ、学習のなかった分野かもしれません。
ミオリネのアウトだった部分、解けなかった呪いの部分を知ることで、大きな気付きがありました。たとえば、現実を生きる僕たちが一番じゃないやり方を選ぶしかないその時、何を気を付けるべきなのか、何をしてはいけないのかを学ぶ機会になったのではないかと思います。ミオリネの存在に感謝です。
最後になりますが、ミオリネの長所のひとつに「折れやすいが、立ち上がれる」が挙げられます。彼女はまだ緑のトマトです。本編後の追熟を期待しています!
参考URL
https:// www.aidem.co.jp/
2024年現在、水星の魔女には安全な意見交換の場がありません。本記事にご意見の方は、ノートのコメント欄に、ご自身の水星の魔女考察ノートなどを冷静に貼って頂くなどして、穏やかな場にして頂くようお願い申し上げます。