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お初にお目にかかります。

 先ずは自己紹介をさせていただきます。
『ひとりぼっちの早口』なんてケッタイな題が示すように、どうも私のような手合いの人間は、「自分語りとなると妙に熱中し、長々面白くも無いことを口走るらしい」というのが四半世紀に満たない人生で得た学びです。ですので今回はできるだけ手短に、ざっと1000字前後のご挨拶とさせていただきたいと思っております。などと言うだけで、既に200字はグダグダと喋っている有様ですが。

 さてさて。まずは名前にある通り、私は東京ではごくごく一般的な家庭に生まれ育った三男坊主でございます。とは言え、一般的な家庭の基準が何処に線を引かれているものなのか、モノを学ぶほどに解らなくなるのが現実ではございますから、私の”一般的な家庭”についてさらりと語りましょう。

 父は都内の大学で講師を務める、手先とカレーライスが自慢の大男でございます。父の温厚さと捻くれ者の性は大いに息子たちに遺伝しているようで、とりわけ私は漫画やアニメ、映画等の趣味もずいぶんと父のコレクションに影響を受けていたように思います。
母は小中学校や青少年向けの施設等で雇われのカウンセラーをしており、私の知る内では誰よりも強い人であります。少しばかり込み入った話を申しますと、私の母は中学生の時分よりガンを患っており、当時の治療の一環として右腕を肩甲骨周辺の筋肉ごとごっそりと失くしているのです。4人のドラ息子を時に優しく、時に拳骨を振り下ろしながら、育ててきた母の隻腕です。そのたった一本に生命力が集約されるかのように、痩せ細った母の左腕は筋肉を纏っており、そのアンバランスな生命が示すひたむきさに、怠けものの私などは少なからず後ろめたい気持ちが湧き上がるのです。
そんな二人から生まれたのが私含め4人の息子たち。繊細で真面目な長男に、傍若無人な割に妙に聡い次男。どちらかといえば暗い性格をした3人の兄を「何するものぞ!」と蹴飛ばして生まれてきた、底抜けに明るい四男。そして、勉学・運動共に兄等に劣り、いずれ生まれ出ずる弟の為か、慎ましく社交性を母の腹へ置いてきた、出来損ないを胸を張り自称する三男坊の私でございます。

 さてさて、自己紹介をするといった手前、もう少しばかり自分のことを語らねばならないのでしょう。胸を張れないことばかりの身の上を、恐る恐る語りましょう。兄達の背を追うように、私は幼い頃ピアノ教室の通っておりました。よくある話ではあるでしょう。その後ピアノ教室をやめた後も、習い事と並行して兄達が参加していた子どもオーケストラでヴァイオリンをはじめました。下手の横好きで中学生の終わりまで続け、下手くそのままかれこれ幾年も楽器に触れていない有様です。好きでしたし楽しかったのですけれど。どれをとっても中途半端で不出来な私が、今も尚「下手の横好き」を続けているものは絵を描くこと。これもそれを得手とした兄に憧れた故なのでしょうが……兄たちが絵を描かなくなっても続けていた唯一の趣味でした。人に誇れる一芸だとか、臆面もなく「好き」と言えることの少ない私が、殆ど意地のようなもので「好き」と言えること。それが絵を描くことでした。

 どうにも語れば語るほど情けないこんな私ですが、こんな生涯の一欠けらでも、皆さんにとって共感できること、共鳴するような部分があればと、恥を承知でお話してまいりました。
自己否定というほど苛烈ではない。けれどもどこか宙ぶらりんな心持ち。そんなものを抱えている、私とよく似たどこかのどなたかへ。そんなことを想いながらこれから記事を投稿してゆきますので、是非とも楽しんで頂ければ幸いです。

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