見出し画像

書籍からシャンポリオンの人物像を考察する

先日、「天才シャンポリオン、苦闘の生涯『ヒエログリフの謎をとく』」を読みました。大変面白く読みましたので、その感想、というか、私が思ったことを私なりにまとめたいと思います。

そもそもなぜこの本を読んだのか?

最近私は、Twitter(X)のスペース(Twitter版のzoomみたいな機能)をよく使います。そこで一緒によく話をしている方(「かとうさん」という方です。)がいて、その方のアイコン画像にこの書籍が使われていたので、「きっとこの本に相当な思い入れがあるに違いない」と興味が湧いたので読みました。

かとうさんのアイコン画像

https://twitter.com/katouyuujin0118

シャンポリオンってどんな人?

シャンポリオンは、19世紀のフランス人学者で、「ロゼッタストーンからヒエログリフを完全に解読した人」と言えば、分かりやすいのではないかと思います。

ただ、私自身は、シャンポリオンについては「歴史の授業で聞いたかな?」くらいの認識だし、「ヒエログリフ?あぁ、好きな人いるよね」くらいの温度感でこの本を読んだので、シャンポリオンの業績部分の記述に対しては「解読して認められたんだ、よかったねー」という感想でした。

それよりも、シャンポリオン自身は一体どういう人物で、何を考えて200年前の世界を生きたのか、というところに完全に興味を感じていたので、とにかく「シャンポリオンについて分かる記述はないか〜」と目を皿のようにして読みました。

この書籍について

「天才シャンポリオン、苦闘の生涯『ヒエログリフの謎をとく』」は元々フランス語で書かれたものを翻訳して出版された書籍です。そのせいか例えば「18○○年にシャンポリオンは××を行い〜」という文章が何度も出てくるような、かなり原書に忠実な訳し方で、慣れるまで少し違和感がありました。個人的には慣れない横組みの書籍だったので、少し読みづらかったです。

ただ、イラストやエジプト関連の資料画像が多く、パラパラとページをめくるだけでも楽しい本なのがよかったです。


さて、長い前置きだったね?

そろそろ本題に入るため、本の中から垣間見えるシャンポリオンの人物像を抜粋します。

主に兄に送った手紙などに、彼の人物像は描かれています。

①シャンポリオンが最初にヘブライ語を自分の学問として志した際の手紙。
「気が変になったと言われても構いません。(略)私は様々な民族のつながりや言語の面から古代の研究をするつもりですし、語源学を愛しているのです!」(p.25)

②(p.31抜粋)
シャンポリオンの生涯において、パリで勉学に励んだ、2年間ほど、彼の旺盛な知識欲が満たされ、学問への喜びが爆発した時期はなかった。しかし、早熟な人間には、しばしば欠点もある。シャンポリオンもその例外ではなく、他人を容赦なく批判したために、敵も多く、次々と厄介事に巻き込まれた。「あらゆる物事が、女と書記と下劣な男の手に握られている事は、兄さんだってご存知でしょう」と、この時期18歳だった。シャンポリオンは、兄に語っている。

③その後、コプト語(4世紀ごろのエジプト語)の勉強をしている際の手紙。
「私はひとりでコプト語を話しています。これは純粋なエジプト語を頭の中に入れるための練習なのです。」(p.35)

「コプト語の勉強は相変わらず順調で、私は大きな喜びを感じています。(略)私の愛するファラオたち(略)の言葉を話せるようになったら、すごいことでしょう」(p.35)

④(表紙、p.49)
シャンポリオンはこの発見をした後、すぐに兄の仕事場にかけつけ、手にもっていた紙の束を机のうえに放り出しながら、「謎が解けた!」と叫んで、気を失ったという。

⑤(p.52)
シャンポリオンの言葉によれば、「私の愛するファラオたちの言葉」そのものを理解することができるようになったのである。

⑥(p.54)
だが、こうした栄光は、先駆者たちの激しい嫉妬を買った。(略)、シャンポリオンの恩師、シルヴェストル・ド・サシでさえ、(略)ヤング(しぐれ註:シャンポリオンのライバル)にこう書き送っている。「シャンポリオン氏にあなたの発見はあまり伝えすぎないよう忠告しておきます。なぜなら、後に彼が自分こそ最初の発見者だと主張する可能性があるからです。(略)それはいかさま以外の何物でもないと私は思います。」


これらを総合して考えると

シャンポリオンというひとは
「旺盛な知識欲によって、ヒエログリフ解読という目覚ましい成果を挙げる。

しかし、他人を容赦なく批判するため、厄介事に巻き込まれやすく、恩師からもその成果を認められるまで時間を要する程だった。

そのように彼を誤解する人はいたが、あくまでシャンポリオン自身にとって、ヒエログリフ解読とは「私の愛するファラオたちの言葉を解読したい」という一心で取り組んだ仕事であった。」

こんな感じかな?

また、シャンポリオンの描写ではないですが、シャンポリオンの父親が「フランス南西部ケルシー地方のフィジャック」で複数の本屋を経営していたこと(p.18)、また、父親が経営するその本屋で、幼少期のシャンポリオンはエジプトに対する好奇心を高めたこと(p.21)を追記したいと思います。


【最後に】

先日、Twitter(X)のスペースでかとうさんとお話をした際、「自分が仲良くしたい人たちと仲良くしたい」という発言がありました。

「つまり、かとうさんの「ファラオ」とは「自分が仲良くしたい人たち」のことで、だから、そのためにこの人は「シャンポリオンにおけるコプト語」を研究しまくってるんだな。

「ああ、これって、この本と繋がってるんだな」

「だから、推し本なのか」

という自分勝手な理解がありましたので、ここに記しておきたい、と思います。


【後日談】

「今回の記事はかとうさんから許可を得る必要があるだろう」と投稿前に確認依頼のDMを送付したところ、こんな返事をいただきました。

いいやりとり

逆に、アドバイスをいただいてしまった…
かとうさん、とってもいい人なんですね。
素敵なひとだな。

追加情報

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?