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親子の会話の逆転現象

田舎で離れて暮らす母に、たまに電話をする。
母の声は変わらず元気で、近所の友達との交流や同居中の孫の様子など、機関銃のようにしゃべってくる。私が質問しようとしても、発言する隙もなく、これでは会話が成立してないじゃない、といつも思う。
全部母が話したあとに、「はい、どうぞ」と、会話のバトンを渡される。

そうすると、私がしゃべりたいことを話す。
全部お互いに話をし終わってから、質問をする。私は、母の話を聞き逃すまいとメモを取るのに必死。
でも、これでは他の人との会話とは違うんだよな。普通は一つの出来事に対して、深掘りしながら次の会話に移るのがスムーズな方法だろう。

でも、私たち親子は、昔からお互いに言いたいこと言って終わり、というのが普通だった気がする。
それを強く意識したのは、娘との会話がきっかけ。
下の娘が久々帰ってくると、他の家族がしゃべっている間に割り込んでしゃべってしまう。そうすると、娘がとまどったように、「順番にね。なんで、私が子どもに言い聞かせるように言わないといけないのよ」と言う。

娘は保育園で栄養士として働いている。調理中は子どもと触れあう時間はないが、給食の時間には、子どもたちと一緒に食べられるんだそう。
そのときに子どもたちが一斉にしゃべりだすので、「みんな順番に話してね」と言うのだとか。

一人暮らしをしている娘が帰ってくると、家族のみんなはしゃべりたがるのだ。ごめん、順番を守れなくて。

こんなに一方的に「聞いて、聞いて」という態度は、自分の母親と一緒だなと。
普段母は、弟一家と暮らしている。弟とは折り合いが悪いのであまり会話がないそう。3人いる孫もみんな男の子なので、そんなにしゃべらない。孤独な母の話し相手は私しかいないのかもと思うと、ちゃんと聞いてあげなきゃという気持ちになる。

子どもたちが小さいときは、私は聞き役だったが、子どもが大きくなると、自分がしゃべりたい側になり。逆に、自分の親が老いていくと、また聞き役になり。順繰りだね。
離れている母に私がしてあげられることは少ない。もうちょっと小まめに電話してあげないと。


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