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自分の好きなことしかやってない子育て中

娘たちが「ママが好きそうなところを選んだんだよ、いつもありがとう」と、連れてきてくれたレストラン。

今日は娘たちが、ちょっと遅めの母の日をお祝いしてくれた。
おしゃれなレストランで美味しい食事とおしゃべりを楽しんで、とても幸せだった。
食事が美味しいだけでなく、空間やお皿などが素敵だと、こちらの気分も舞い上がってしまう。
やはり食事は五感を使って味わうもの。家での食事が手抜きすぎるので、余計心にしみた。

そのレストランは、昔銀行だったそう。打ちっぱなしのコンクリートと、棚やカウンターに木をふんだんに使ってリノベーションした建物。アイアンが所々アクセントになり、じっと見ていて飽きない。天井も高く、空間がゆったりと贅沢に使われている。
建築やインテリアが素敵だと、心も高揚してくる。
おまけに、レストランで働くスタッフのさりげないサービスと笑顔がまぶしい。

和風と洋風がミックスされた器や食器。
お皿の上にはピンクやグリーンの素材がきれいに盛り付けられ、食べるのがもったいないくらい。味も繊細で素材それぞれの味が引き立っている。
添えられたパンは、皮がパリッと焼かれた私の大好きなハード系。おかわりのパンも、どれも風味が違ってこれまた香ばしい味わい。

お腹が満たされたあとは、児童書がたくさん揃っている、夢のような世界に移動した。
娘たちはもう社会人。昔は、寝る前の絵本の読み聞かせが日課だった。

館内に入ると、カラフルな本棚にびっしりと絵本や児童書の数々。娘たちは、思い思いに「この本懐かしい!」「これ大好きだった!」と、それぞれ本を手に取ってはしゃいでいる。
「この絵本みたいに、ホットケーキやドーナツを家で作ったよね。あの味は忘れられないよ」

私もいろんな絵本を一つひとつ手に取ってペラペラめくる。
そうそう、これよく読んであげたな。あ、この本の結末忘れていたけど、こんな話だったっけ。うわ、この本もあるんだ、私はこれが好きだった。

あれもこれもと、興奮しながら本を読み進めていくうちに、涙があふれてきた。
いつもこうである。娘たちが幼い頃のことを思い出すと、涙腺が崩壊してしまうのだ。懐かしさがいっぱいでこうなるのか、自分でもよくわからない。

絵本を読み、お菓子も作ってあげたといっても、私は立派な母親ではない。自分が好きなことしか、していない。自分が本が好きだったし、子どもの頃からお菓子作りが好きだった。自分に子どもができたら、してあげたいと思っていたことをやっただけ。
スポーツが苦手な私は、子どものために何もしてあげてない。水泳やスケート、スキーなど、たまの休みに夫が子どもと一緒に遊んでくれた。

土日が休みでない夫がいない休日。子どものために、おやつ作りに燃えていた時期もある。クッキー、ドーナツ、プリンにゼリー。クリスマスケーキや誕生日のケーキ。
そういえば、子どもの頃の手芸熱が再燃し、子どものパジャマ作りやマフラー、手袋を編んだり、アクセサリー作りにもはまったな。

いつも家では飽きてしまうので、映画館や美術館、劇に音楽……どう考えたって大人の趣味でしょ、という内容のものも、子どもを連れて行った。他に預ける人もいないから、連れて行くしかない。
そのおかげか、娘たちもちょっとアートが好きな人になった。

今考えると、自分勝手な子育てだった。でも、自分が苦痛なことはどうしたってやってあげられない。自分が楽しいことしかしていない。
それが今感謝されるのだから、わからないものだ。
一人で子育てしているストレスを、娘たちに思いっきりぶつけ、ヒステリックになっていたことも多々ある。
全然大人げない親だった。

それにしても、子どもがいなかったら、あんなに絵本や児童書を読んだり、お菓子作りに励んだりしなかっただろう。
子どもたちのおかげで、私と夫の生活が豊かになったのだ。
こっちが「私を母親にしてくれてありがとう」と、娘たちに言いたい。





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