フランスの柔道

「ウータ、ウータ、ウータ!」。パリ五輪柔道女子52㎏級で金メダル間違いなしと言われていた阿部詩が2回戦で敗れて大号泣していた時に観客席から起こった励ましのコール。ここは日本ではないし、観客もフランス人がほとんどであろうに、これは一体どうしたことか。

そもそも決してメジャー種目とは思えない柔道競技なのに観客席が満席とは。後の報道で知ったのですが、フランスはもはや日本を超える柔道王国なのだとか。人口は日本の半数ほどながら柔道の競技人口は53万人で何と日本の4倍。国内には約5200の教室があるそうです。

競技人口が多い理由は「子どもに礼儀作法を身につけさせ、倒されても再び立ち上がる精神を養うことができる」と教育の一環で柔道を学ばせたいと考える親が多いからだそうです。

私も小学校低学年から親に言われて柔道を習い始めましたが、上記のような高尚な理由ではなく、家にいると年の近い姉をいじめるやんちゃ坊主だったので、姉の命を守るためだったと後から聞かされました。今の日本の親たちは大事な子供に怪我をさせたくないため、競技人口は減る一方でしょう。

本家として勝たなければならないという悲壮感が漂う日本選手に対して、いかにも楽しそうに戦うフランス選手。国民的英雄リネールが決着をつけて2大会連続金メダルを勝ち取った男女混合団体は象徴的でした。

それにしても、教育として子どもの時から武道(ブドウ)に触れさせるとは、さすがワインの国。たわわに実ったフランス武道に完敗!いや乾杯!

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