税と贅

第一生命保険が募集していた2023年「わたしの川柳」のベスト10句が先般発表され、第一位に選ばれたのは「増えるのは税と贅肉 減る贅沢」という句でした。
 
「贅沢が減ったら贅肉も減るやろ」と言いたくなるのですが、私たちの子供時代と違って「贅沢」は最近では「特別な時間、豪華な体験」など良い意味で使われることが多くなっているようですね。
 
もともと「贅」の字は「敖(余分、有り余る)」+「貝(お金)」で「不必要なもの、むだ」という意味。「いぼ」という意味もあるようで、「贅肉」という言葉には取り去ってしまいたい気持ちがあふれているように思います。
 
さて今月から始まる岸田首相肝いりの「定額減税」。減税はありがたいはずなのに頗る評判が悪い。詳しいことは控えますが、とにかく「わかりにくい」「手間がかかる」「効果も疑問」。うちも零細企業なので経営者=経理・労務担当者ですから、面倒な手続きと給与システムの変更に自ら頭を悩ませています。
 
財政が厳しいはずの国にとっては「贅沢」で、無駄で不必要な手続きに追われる人たちにとっては「贅肉」とも言える今回の定額減税はまさに「贅金」と呼びたくなる代物です。
 
ところで「税金を取られる」という表現をよく使いますが、「いやいや、公共のために使われるのだから取られるのではなく納めるものですよ」と諭されたりいたします。しかし、「税」という字は元々「禾(イネ)」+「兌(人の着物を無理やりひっぱがす)」で、成り立ちからしても、税金はやはり無理やり取られるもののようでございます。

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