見出し画像

大槌とデザイン_Hiroto Kishima_2023.06

一章 ちょっとした楽しみがある。

「みなさん聞いてください。六月が終わってしまった!一ヶ月間、何をしていたのか思い出せない!」
焦った私はスケジュール帳を見返しながらパソコンに向き合いnoteを執筆。ちゃんと振り返ると、いろいろ動いていたんだなぁ。頑張りました、私。たまには自分を褒めてあげないと。ただでさえ自尊心が低い現代っ子なので。

あまりにも予定が詰まっているとどうしても息苦しくなってしまって、常に時間を気にしながら生活するストレスからの脱却を図ろうと、こそこそしている。
その中で、子供たちと触れ合うってすごいと思う。
毎月はじめの「こども食堂」にお誘いいただき、ねまれやさんへお邪魔した。元気いっぱいの子供たちと一緒にカレーライスを味わい、温かい気持ち。私の斜め向かいの男の子が三杯目のおかわりをしに席を立ったのを横目に、すっかりお腹いっぱいになってしまった私。彼の胃袋は無限なのだろうか?
腹が膨れた後、ねまれやさんの二階で少しだけ子供たちと遊んでいった。トランプやパズル、かくれんぼをしたりおぶったりと、もみくちゃにされ、体はあっという間にぼろぼろになったけれど、やっぱり楽しい。元気な子供たちを見ていると元気が出ますね。

美味しかった!
ポーカーをしました。大人っぽいゲームをしてますよね。

6月10日(土)のおしゃっち5周年記念イベントでは、大槌孫八郎商店も出店していた。
私はお手伝いと言うわけではなく、図書館で本のコーティングサービスをしており、それを目当てで行ってみた。本屋でバイトをしていた時、ブックカバーをそれはもう、素晴らしい速さと丁寧さでやっていた。しかし図書館のコーティング作業は初めて見る。機械でやっているのかなと思ったら、なんと手作業。美しい仕上がりだった。今回コーティングしていただいた本は吉本ばななの「キッチン」。私が高校の図書館で出会った本である。それから吉本ばななの本を読みあさり、エッセイ的な本に興味を持ったきっかけでもある。

二章 あ、ちょっと目が回ってきたかも。

「シュールなTシャツができました」
納品されたTシャツを広げ、観光交流協会のみなさんにお披露目をする。うん、なんとも言い難い、まさにシュルレアリスム。サルバドール・ダリもびっくりするかも知れない。なんて。
オレンジ色の布地にどーんと浮かぶサーモン。感想もあまり浮かばない、無理に言葉にしようとするとうまく出てこず、脳が混乱する。しかしインパクトは抜群、当日はこの鮮やかなオレンジ色のTシャツを着たスタッフが走り回ったわけで、元気なサーモンは生簀だけでなく会場中を泳ぎ回った。

事務局長は元気です。社長、すご〜い!

6月18日(日)に海づくり記念公園にて開催された『第三回 岩手大槌サーモン祭り』そして同時開催『大槌町郷土芸能祭』は朝方、6時から当日準備が始まる。しかし準備開始直後から突風、ぽつりぽつりと雨粒が降り、観光協会の雨男、雨女たちが本領発揮してきたなと思っていたが、天気は回復、昼間は汗が流れるほど気温が上がった。
当日は会場係として主に記録用の写真撮影と、餅まきなどの準備業務にあたる。本部でドリンクを販売していたのでそちらもお手伝い。
来場者数は去年よりも多いイメージ、そして午後以降もたくさんの方々が郷土芸能や屋台を回り、楽しんでおられた。
二回行われた餅まきはすごい。今回、安渡町内会からお借りしたやぐらの上から360度に餅を巻いたのだけれど、その際に写真撮影で一緒に舞台に乗ったのだが、これもまたすごい光景。大槌は餅まきが大好きですね。
メインイベントともいえるサーモンつかみ取り。事前予約は開始30分で定員に達するなど、大人気のイベントだ。当日は仕事であまり見られなかったけれど、写真撮影で少しだけお邪魔した。子供はずぶ濡れになりながら鮭を追い回し、鮭もまた力強く逃げ回る。

サーモンつかみ取りは大人気だ。
アクアマリン福島の移動水族館。
ぎょろりとナポレオンフィッシュ。
餅まきぃ。
花巻から特別出演、幸田神楽。
たくさんの方にお越しいただいた。

当日、会場でお配りしていた会場案内図。
昨年は大槌に来て最初の仕事だったかもしれない。二年目になったのだな、と感慨深い。今年は約七十もの出店者が並び、サーモングルメエリアを新設、七つの事業者さんがサーモンを使用した自慢の料理を出店してくださった。
案内図は当日は1000部刷ったのだけれど、実際に捌けた枚数は500枚。当日の強風で設置することが難しく、常に人のいる本部と郷土芸能団体の本部、そしてサーモンつかみ取り受付の三箇所にしか置けなかった。そのため地図があることを知らず、スタッフに場所を聞くケースが多かったようで反省点。ただ作るだけでなく、どのような効果があったのか、役割を果たしているのか調べることもデザインをする上で重要な仕事。

詰め込みすぎたかも、というのも反省点。

サーモン祭りのフォトスポットを作りたいとの話があり、初めて看板を制作した。掴み取ったサーモンと一緒に写真を撮れるように、とのことだった。デザインは、左に大きな鮭が波しぶきをあげながら跳んでいて、右には大槌の象徴ともいえるひょうたん島のイラスト。イラストは私が描いてみた。サイズは縦900mm×横1800mmの看板で、大きいサイズの制作物は学生以来。イラストに合わせて切り抜く形を考えた。
看板の制作をお願いしたのはクラモト塗装工芸様。
初めての看板作りでデータの作り方など至らぬところばかりで、ご迷惑をおかけしてしまったが、いろいろと丁寧に教えてくださった。チラシとは違うデータでとても勉強になる。かなりタイトなスケジュールになってしまい、たくさんご迷惑をおかけしました。ありがとうございます。

記念撮影パシャリ。
作った看板の前に移住定住のねえ様がいらしたので。

というわけで、今年のサーモン祭りではポスター、チラシ、会場案内図、Tシャツ、フォトスポット看板、その他細かいPOPなど色々と作らせていただいた。恐ろしいほど忙しく、そして目まぐるしい展開ではあったけれど、無事終わってほっとしている。
いろいろな制作に携わり、自分なりに必死に制作しているつもりだけれど、作ったモノの意見を聞く機会は意外と少ない。もちろん関係者の皆様、ご相談に乗っていただいている方々はたくさんのご意見をいただいている。しかし実際に見てどう思ったか、いろいろな方々の話を聞きたいと思っている。ぜひ私まで、ご意見いただけると幸いです。それがバネになると思いますので。

6月10日、24日に開催されたかがり火の舞。
サーモン祭りを挟むようにして小槌神社にかがり火が灯る。「城内大神楽」「安渡虎舞」が演舞する10日は今にも雨が降り出しそうな中、どうか天気よ持ってくれ、と願いながら準備を初めたけれど願い届かず、しっかりと雨に見舞われる。通り雨だということで、冷たい雨に打たれながらお客様を待つ。ちょうど演舞が始まる頃、ぴたりと雨が止んで無事に行うことができた。
「金澤神楽」「波板大神楽」が演舞した24日も天気は曇天。ぽつぽつと降る雨は開始前にはまたもぴったりと止み、なにか神秘的な力が働いているように思える。金澤神楽ではちおこの方も踊ったそうですよ。
今回のポストカードはこんな感じで制作しております。作業中、写真の細かいところをよくよく見ているせいか、だんだんと各虎舞の違いがわかるようになってきた。いずれ一目見て判断できるようになりたい。

これで六種類。

7月8日に吉里吉里海岸で行われる、地引網体験のチラシを制作した。
みんなで力を合わせ網を引っ張り、魚をとる。まだ実際に見たことがないので当日は見学に行ってみようと思う。いろいろな魚を見ることができ、ガイドの方がいろいろと解説をしてくれるらしい。魚に詳しくなりたい方はぜひ参加してみてはいかがだろうか。
第二回もあるようなので、観光交流協会のHPをご覧ください。

いろいろあって恐ろしいスケジュールで作ったという秘話。

7月6日から9日まで東京都銀座、いわて銀河プラザの「いわて・大槌 夏の特産品フェア」に大槌町から、たかのり海産様と六串商店様が出店される。そのPRポスターを制作した。大槌の海の幸、サーモンやうにが東京で購入できるようだ。首都圏にお住まいの方は是非お越しいただきたい。

銀座ですって!

三章 結構、気に入っている。

「こんなデザインはどうでしょう?」
大槌町観光交流協会以外でも、ちょくちょくと制作をさせていただいていて、その中で同じ協力隊の伊藤さんが行っている「Re-farm Project」のロゴを任せていただいた。「Re-farm Project」は耕作放棄地となった土地を一から耕し、人が集まるコミュニティのひとつにもなっているプロジェクト。私はほんのたまに、畑のお手伝いに行くのだけれど、鍬の使い方から畝の作り方まで、すべてが初めての経験。育て上げる達成感は制作にも似た部分があるのだろうと勝手な想像をする。
このプロジェクトを作り上げるのって本当にすごい。企画力、私も身につけたい。

∞と新芽、RとP、ちょっとF。
グラデーションにも意味があって…。

実はこのロゴ、いろいろな道を経て完成させたのだけれど、詳しくは伊藤さんがお話ししてくださると思う。じっくり考え、何度も話して、やっと形になり、この達成感はクリエイターの醍醐味だなぁと思うばかり。やはり考えて考え抜いて作り上げるのは楽しいですよね。

移住定住事務局の企画、「ちおこ旅」のロゴタイプとサムネイル画像を制作させていただいた。
ロゴと言っても「ロゴタイプ」と「ロゴマーク」があり、「ロゴタイプ」とは「ロゴ+タイポグラフィ」という意味で、「ロゴマーク」はつまり、そのままである。イメージするなら、Twitterの青い鳥のマークはロゴマークである。
ちおこ旅のロゴタイポは旅の消印をイメージして作った。ハンコのかすれているイメージの中で無機質にならないように角に少し丸みを帯びせるなどなじみやすさもイメージしている。

制作したロゴタイポ。
また会いたくなる旅しませんか。
海verと山verで制作。

以下は「ちおこ旅」のデザイン案である。
こんな感じで制作を進め、ブラッシュアップをしている。採用されなかったデザイン案も私の中では大切なので必ず取っておくことにしている。その時私が何を考えて作っていたのかを思い出すいいきっかけ。

こちらをベースにブラッシュアップして行った。
旅とガイドの旗をイメージした案。
大槌のイメージのイラストを入れた案。

あとがき

「みなさん聞いてください。一年の半分が終わってしまった!」
六月は毎日サーモンの夢を見てしまいそうなほど、頭の中で力強く泳ぐ鮭たちに閉口していました。観光協会のみなさんもきっと同じだと思います。たくさん泳いでいましたね、鮭。眠れぬ夜は羊ではなく、川を遡上する鮭を数えていたわけで。さて、七月はいよいよ海開きが控えています。
全体的にとてもハードなスケジュールで動いていて、記憶が飛んでしまいます。ギリギリを生きる人生。魂をすり減らして、命の前借り。太く短い人生っていいですよね!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?