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取材日記 ヒモはプロサッカー選手になるのと同じくらい難しい。

 ヒモを職業としてやっている30歳の青年、木村さん(仮名)から話を聞く機会がありました。「ヒモ入門」という本を出したいので、取材してくれないかと売り込みがあったんです。容姿はモデル級のイケメンというわけではないけど、長身で痩せ型、清潔感のある普通より少しいい男でした。

 彼がヒモを始めたのは20歳のとき。この10年を振り返り、一般人がヒモとして食べるのはプロサッカー選手になるほど難しく、あまり勧められないそうです。というのも、時期が来れば必ず捨てられるから。

「フラれるのは早ければ3カ月。長くても2年でした。女性は自分より格上だと認識し、尊敬できる人にしか恋をしない。だから、いずれ『出て行って』と追い出される。そのとき、絶対に言ってはならないのが『お願い、俺を捨てないで』です。むしろ逆に『俺なんかとは別れたほうがいい。何の未来もないんだから』と自分から別れ話を持ち出したほうが、女性側に執着心が生まれ、捨てられるのが半年伸びる」

 木村さんは自信満々にこう語りました。それから、「彼女からもらったおこづかいを貯めて、誕生日プレゼントを買ってあげる。自分の財布から出ているお金だと分かっていても嬉しいから、また半年別れが先延ばしになります」と言いました。

 あとは夢を語ること。彼は「将来作家になる」と看護師の恋人に熱く語り、彼女が仕事から帰って来た気配を感じると、それまでゴロゴロしていても、素早く起き上がり、パソコンで文章を打っていました。やはり女性は、夢に向かって頑張る男を応援したくなるんでしょうね。

 ただ最近は、すごく稼いでいて多忙な女性が、「家事や育児をやってくれるなら、末永くいっしょに住んでもいい」と理解を示すこともあるそうです。それでも、そんな女性はまだ全体の1割もいないと嘆き、40歳で引退を考えています。とにかく、プロのヒモとして生きるって、すごく大変なんだと感じました。

  

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