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冬のシベリア① 序章

2016年2月、予定より2時間遅れて飛行機は夜遅くにヤクーツク空港へ到着した。
全くの未知の環境に恐れ慄いていた私は、予約しておいたヤクーツクの宿へ事前に以下のようなメールのやり取りをしていた。

私「空港から宿までの送迎をお願いしたいのですが大丈夫ですか?」
ホテル「空港にはタクシーが常時待機していますので、そちらをご利用ください」

空港を出た私は真っ先にタクシー乗り場を探した。
薄明かりの電灯が心細げに灯る中、ぐるりと周囲を見渡すとタクシーどころか車も見当たらない。話が違うではないか。

「やばい、どうしよう、、」
焦燥感が一気に募る。プリミティブな生命の危機を感じた。
ここヤクーツクは治安が悪いわけでは無い。
とにかく寒いのだ。

誰もいない空港前
ヤクーツク到着翌朝の天気



装備品調達

話はこの1ヶ月ほど前に遡る。
私は仙台の服屋で防寒着を探していた。
暖かそうなダウンが並ぶコーナーへ立ち入り、店員さんに1番防寒性が高いダウンはどれか尋ねた。
店員さんは自身たっぷりに「こちらが今トレンドでしかも1番暖かいです、日本の冬だと暑いくらいですね」とこの年辺りから街中で大流行したカナダグースのダウンを持ってきた。
私「何度位まで耐え凌げますか?」
店員「マイナス30度くらいまで大丈夫ですよ!」
私「マイナス40度以下になるところまでいくんですが」
店員「は、?」


そもそも服屋で極端な機能性に特化した物を探すのが間違っている。
今度はアウトドア用品専門の某有名ブランドショップへ赴いた。

「そこまでの気温を対応している物は当店にはありません」
申し訳なさそうな顔をした腰の低い店員さんに言われてしまった。

困ったなと思いネットで何かないか検索したら色々と出てきた。北南極観測対応など揃っている。しかし値段が当然高い。
最終的に購入したのはカナダグースの極地対応ダウンの古着。それでも五万数千円した。街中で見かけるおしゃれなカナダグースとは一線を画す気合いの入ったものだ。

ブーツもソレルブランドの高いものを購入した。

ズッシリと思い
横から見ると誰だか判別不能

あとはユニクロでヒートテックシリーズを買い込んで旅に備えた。
おそらく生涯で一度しか訪れないであろう場所の為にかなりの散財をしてしまった。トホホ。

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