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冬のシベリア⑥ ヤクーツク編 食べ歩き

ヤクーツク市内はそれなりに発展していると書いたが意外にもレストランは少ない印象であった。冬の寒さで外出を控えてしまうからと考えてみても、人の往来はそれなりにある。ソ連時代の名残りなのだろうか。


サハ料理

レストランを探すにしても着込んだ重装備品はどうするのか疑問が頭にあった。考えてもしょうがないのでまずはオシャレそうなカフェレストランの扉を開いた。
疑問は一気に解決した。入店するとすぐ横にクロークがあるのだ。
これ以降どのレストランを訪れても100%クロークが存在した。
上着等を預けて席につくと店内は混み合っており、Tシャツを着た店員が忙しそうに動き回っている。
メニューを見るとサハっぽい料理は見当たらなかったのでロシア料理を一品食べて店を後にした。

ロシア餃子「ペリメニ」


今度は老舗ホテルに併設されたレストランへディナーを食べに向かった。
事前に仕入れた情報によるとサハ料理を提供しているらしい。
出てきたのがこちら。

「ストロガニーナ」と呼ばれるこの料理は凍った魚を薄くスライスしたもの。
凍ったまま塩やソース(ここではBBQソースのようなものであった)を付けて食べるもので何とも冬のシベリアに相応しい一品だ。屋外市場でカチコチに凍って売られていた魚を思い出す。
魚はチールと呼ばれる川魚で、薄くスライスされた様はカンナで削った鰹節や木屑のようだ。
味は川魚にしては臭みがなく食べやすい。
日本の居酒屋で注文した刺身が解凍不十分に出てきたらガッカリするが、そういう料理として出されると美味しいと感じるから人間の味覚というものは勝手だなと思う。

その他の料理はどんなものか。

ケバブ
(肉種の記載がなく不明)
ウォッカとチェイサージュース
馬ステーキ
臓物スープ

基本的に味付けはロシア料理のようにシンプルで素材の味を引き出した印象であった。特に臓物スープは豚骨ラーメンのような獣臭がありコッテリ濃厚で美味しかった。

ストロガニーナに使われた魚のチールは、他のレストランでは凍ってない状態のメニューとしても登場した。

塩漬けチールの下に、ホワイトシーズニングで
和えたポテトやピクルスがある

私がサハ料理でハマってしまったのは馬肉だ。色んなレストランで度々登場してきた。

馬肉炒め
ビールがとても進む
仔馬煮込み
肉肉しい美味しさだ

サハで食べられる馬は寒冷地でも牧畜できるよう改良されたヤクート馬と呼ばれるもので、身体に脂肪をたっぷりと纏った短足の何とも愛くるしい姿をしている。
脂が乗っている分コクがありとても美味い。ほぼ毎日馬肉料理を食べていた。
興味深いのは、馬肉の付け合わせに和がらしが登場する。脂のクドさを切ってくれて相性抜群であった。

そういえば泊まっている宿の朝食を取っていた時、ソーセージにマスタードを付けて食べようとしたら隣にいたロシア系らしき女性が「このストロングマスタードもあるわよ」と手渡してきたものも和がらしのチューブであった。
ロシア料理もしくはサハ料理に和がらしは頻繁に用いられるものなのか。

極寒の地で祖国の味を思い出す

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