エフェクチュエーション実践講座14 「下呂温泉でやったこと」がエフェクチュエーションだった件
はじめに
筆者は生命保険会社のデジタル共創オフィサー(デジタルやデータと共創で戦略を作る責任者)という仕事をしている関係でDX研修を取引先や共創先、大学や自治体、官公庁向けにやる機会が多くあります。
最初はDX研修を社内のシステム部のエンジニア向けにやってあげたいと思ったのですが、良いカリキュラムがなかったことと、研修費用の決裁が通らない(効果を数字で示すのが難しかった)と思ったので内製する事にしました。
このDXビジネス発想ワークショップは今では社内だけではなく社外向けにも行っており、5年間で全国1300人に実施してきましたが、初期の頃から下呂温泉(下呂市)向けにも実施しています。
筆者は、日本三大温泉の名湯下呂温泉に行ったことがなかった上に、東京からの交通費と宿泊費を出してくれるというので、下呂温泉の名湯につかれ、花火もみれる(下呂祭り)というベネフィット感で下呂のDX教育をやってみることにしたのでした。これがエフェクチュエーションの始まりです。
下呂向けの教育活動→ビジネスデザインはエフェクチュエーションだった
このような経緯だったのですが、再度、下呂温泉のDX教育をやるようになった経緯をまとめておきます。
下呂温泉でのDX教育事例は、地域全体が未来を創造し、革新に取り組む素晴らしいエフェクチュエーションのケースでは?と思っています。そこでこの事例を使いエフェクチュエーションの具体的な進め方と学びを考えてみたいと思います。
エフェクチュエーションの進め方(下呂バージョン)
1. Bird in Hand Principle
下呂の市役所にいた20年来の知人がDXをリードする役割を担ったことは、既存の人材とその能力を活用する典型的な例です。また、地域に根ざしたコミュニティーでのDXワークショップ開催は、地元の人材と知識を利用する好例でしょう。
2. Affordable Loss Principle
無料でのDXビジネスワークショップ実施は、参加者や地域にとっての大きなリスクを伴わない小規模な試みであり、この原則を反映していると言えます。
3. Crazy Quilt Principle
下呂市民やビジネスパーソンとの協力を通じて、新たなビジネスアイデアやプロジェクトが生まれたことが、予測ではなく協力に基づく行動の良い例と思います。
4. Lemonade Principle
ケーブルテレビの撮影が急遽決まり、それをPRとして活用したことは、予期せぬ機会を最大限に活用した事例でしょう。
5. Pilot in the Plane Principle
体験型消費アイデアから実ビジネスに結びついた事例や、「下呂モデル」として他地域への展開を考えるアプローチは、自らの行動で未来を創造していく姿勢を示しています。
この事例からの学び
①小さく始めて大きく育てる
DXワークショップから始まり、市民レベルのビジネスアイデア発展、さらには地域モデルへの発展というステップは、小さな成功を積み重ねて大きな成果に繋げるエフェクチュエーションのコツだと思います。
②柔軟性と開放性
新しいアイデアや予期せぬ機会に対して柔軟に対応し、地域全体でそれを受け入れる姿勢が成功の鍵となりました。
③共創の力
地域内外の人々との協力によって、新たな価値や機会が生まれた事例は、共創の力を改めて認識させてくれます。
まとめ
下呂温泉での取り組みは、地域が一丸となって未来を創造するエフェクチュエーションの原則を実践した事例です。地域固有の資源と能力を活かし、全員が参加する形で革新を進めることで、持続可能な成長と発展を達成できることを示しています。これを是非全国に展開していきたいです。
最後に、下呂市長の受講者の声を参考までに。
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