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【神(髪)は、死んだ。】脱毛症になった話。その②

事情を知った友人が紹介してくれたAGAクリニックにも問い合わせてみたが、脱毛症の患者に薄毛治療はできないらしい。

そうこうしている内にハゲはますます大きくなり、髪型では誤魔化せないほどに。頭皮にファンデーションを塗って、カムフラージュする方法があると知り、帽子を被って、女性用化粧品売り場に行った。
ファンデーションを試したい、、、事情を説明するのに、時間がかかった。ものわかりのいい美容部員さんが来て、化粧台に案内された。ピンク色の上っ張りを被せられたら、恥ずかしくてたまらなかった。
暗めのフェンデーションをいくつも試したけど、どれもハゲを隠すには心もとない。
なんとかしたいという店員さんが、帰りしなにAmazonの生え際用ファンデーションを紹介してくれた。


美容部員さんの勧めで購入したハゲ隠しは、流石に専用商品だけあって、かなり誤魔化せた。起床時間はいつもより早くなって、歯磨きの後で丹念に頭皮にファンデーションを塗り込むのが日課になった。これを毎朝やる女性は大変だわ。
しかし、所詮は化粧。日中、動き回る業務の中で、黒い汗になって流れ落ちた。
靴を直すために屈んだら、ちょうど正面を通りかかった女学生たちに頭頂を向ける形になった。

「うわっ…ヤバぁー笑」

限りなく自分に向けられたであろう、冷やかしの悲鳴。子供の残酷な嘲笑が、耳にこびりついて離れなかった。トイレで頭を抱えたら、黒い汁と細い髪の毛が指に絡み付いて、ゴッソリと抜けた。

その③

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