神様になったいたずらタヌキ⑳
長い長い夜が終わって、朝が来ました。
今朝も、村長さんの家の前に、大勢の村人が集まっています。
「不思議なことがあるもんだなぁ」
「そうだ!うちの畑がきれいに耕してあったぞ!」
「うちのもだ!荒らされる前よりきれいになった!」
「いったい誰がやったんだろう?」「それになんでも麦が植えてあるそうだ!」
「そうか麦が・・?」
「この村の者がやったのではないぞ!」
吾作どんが言いました。
「どうしてだ?どうして吾作どんは、そう思うのだ?」
「どうしてって?だれか村のもんが麦の種を持っていたか?」
吾作どんは、村人たちをぐるりと見まわしました。
「そらな!だれも持っていないだろう?」
「じゃ、誰がやったのだろう?」
「昨晩わしが見まわった時、タヌキがいたんだ」
吾作どんは、鉄砲をさすりながら言いました。
「それみろ!そのタヌキが荒らした犯人だ!」
「うん!わしもそう思ったのだ!」
もしそうならタヌキを、こらしめなければなりません。
「鉄砲で、撃ったのか?そのタヌキを・・」
1人が小さい声で、言いました。
村人たちは、まだ犯人が夕ヌキだと思っています。
「でもな!そのタヌキの様子が少し変だったのだ」
吾作どんは、さらに声を低くしました。
「どう変だったのだ?」