ネタバレ有「シン・ウルトラマン」音楽流用の的確さと深読み

最近はほら、作品や番組に対してのアンチ意見を集めては記事にしてるようなのあるじゃ無いですか。
ああいうので、シン・ウルトラの「時代遅れの劇伴」というのを見かけて、うんそれは感じる人いるだろうなーと思ったことをまず書いておきますが。
オリジナルの音楽を用いて、オリジナルを想起させる事で作品に肉付けする。そんな典型的な手法で効果出してるのがこの作品の前半なんですよね。
これを全く新しい音楽で演出して、どこまで観客は燃えられたのかな、というのは見て見たかったなと思います。

ただ、僕はこの旧作スコア流用に胸躍った方の人間ですけどw

兎に角これでもかってくらいにオリジナルのメロディが使われてましたけど、いずれもその曲を使用する箇所が的確なんですよね。ここでもスタッフのウルトラマン愛(暑苦しすぎるタイプの愛)が溢れ出てるんですけどw

特に僕深読みするくらいに良かったと思うのが代表的に3曲、というか3箇所。

  1. ネロンガの電撃を胸で受け止めるウルトラマン

  2. ガボラ戦におけるウルトラマン戦闘テーマ「戦い」

  3. ザラブ戦で鳴り響くウルトラマン戦闘テーマ

僕は曲名がすぐに出てくるほどの猛者ではありませんが、それなりに見てますし使用例とかちょっとは思い浮かぶタイプです。

電光石火の一撃(A1)


パンフレットから見ると、多分これが1のネロンガのやつです。シリーズ通してのあの曲の使用例として一番印象的なのがネロンガの回なんですよね。
ネロンガの話ってウルトラマンの制作順で言うと最も最初に撮影開始された作品の一つで(バルタン星人とかと同時期)初期だったからこそ、使用された音楽も最初に録音された中(と前作の流用曲)から賄われたわけで、いろんな曲の初出となってるパターンがネロンガやバルタンにはあったりします。
ただ、この段階で、これがウルトラマンの戦闘曲だ!と言う決定打がなかったそうです。番組主題歌はのんびりしてるのでアクションには向きませんしw

今回のネロンガ戦でも、この曲がメインの戦闘テーマとして印象強かった、気がします。
まだウルトラマンというものを表現し切れてない時期の楽曲が、当時と同じ相手に、外星人1号が背負って戦う、と言う意味!(深読み)

戦い

さて、ウルトラマン制作スタートしたけど戦闘テーマ曲弱いぞ?そこで追加で録音されたのが、「戦い」と言う曲らしいんですね。
この曲の録音後にダビング作業されたエピソードでは、当然ながら戦闘シーンでの使用例が増えます。
実は第1話、ベムラーとの戦いで流れるのが印象的なのですが、これも第1話が制作順では9話目あたり?になるためですね。
初期は制作順と放映順はシャッフルされてるので、この「戦い」が程よく満遍なくウルトラマンの戦闘を彩る結果になってます。

音楽流用するなら、外せない曲ってあるよね〜、と言う話題出したら、多分この「戦い」は外せない1曲の筈です。前述の通り、第1話、ウルトラマンの初戦闘(放映順)シーンで使用されたため、とても印象的なんです。

ただ、この曲割とスローテンポなのが悪いのか、かなり早々に出番失うんですよね。
その最後の使用例が、実はガボラ戦なんですよ。
そここそが、今回の僕のツボの一つだったので、かなりクリティカル喰らった気分になりました。
まぁそういう知識あったから、ネロンガ戦でこの曲出なかった、次はガボラって分かってるから、来るよね?戦いくるよね?きたー!とw
予測はしてて、期待通りにきた時の快感も味わったんですよw

シン・劇中ではこの段階で外星人1号はウルトラマンと呼ばれ、彼自身も前回出現時より進化を遂げている状態だった。
音楽的にもね、初戦はまだ確立されてない曲だけど、今回はウルトラマンの戦闘のために生まれた曲。
そういう順序で映画進行する、この噛み合わせよ。

ネロンガ、ガボラのチョイスは、東宝怪獣バラゴンのスーツをレンタルしての、Q怪獣パゴスからの系譜、と言う事で、その観点からの解説は多いし、今回の映画の設定としても当然それが生きている訳ですが、音楽面から視点で納得してしまったバカがいる。
それが僕ですねw

勝利(M5)

さて、ウルトラマンの戦闘テーマ曲、最初は最適該当曲がない、想定してた曲はあるけど短い、とかで、急遽追加で出来たのが「戦い」と言うのは前述の通りです。でもこれも早々に使い辛くなった。
そこで、第二回録音。つまりシリーズが進むと足りない曲なんかが見えてくるので追加で何曲も録音しちゃいましょう、と言う段階で、満を辞して登場したのが、この「勝利」とCD収録時に名付けられた曲です。
番組挿入歌「進め!ウルトラマン」をアクション用音楽としてアレンジした曲で、番組後半のウルトラマン戦闘シーンはもっぱらこの曲の使用が主流になっていきます。

そんな曲の初使用が、実はザラブ星人戦なんですねw
厳密に言えば、ニセウルトラマン戦。
今回のシンでも、ニセマンの破壊活動〜ウルトラマン登場、戦闘開始と、場面展開に付随して音楽流用もオリジナルをトレースしてたと思うのですが、当然ながらそうなるとこの曲の使用はこのタイミングしか無い訳ですよ。
ザラブのチョイスもこの曲の効果的な使用のためなんじゃ無いの?!とか受け取っちゃうバカが出ても仕方ないですよ!(僕ですよ念を押しますけど)

ウルトラマン戦闘曲としては、この「勝利」が完成形です。
シンの展開としても、ウルトラマンがいわゆるヒーローとして確固たる認識をされるのはこのタイミングだと思うので、そう言う意味でも、的確すぎると思いませんか。
そうなると、流用音楽がずっとその進化の形を持って、今回のウルトラマンの進化を支えてたんだ、それはとても素敵な事だな、なんて思えた訳です。
正直泣く。

余談ですが、ザラブ星人は今回出番がなかったバルタン星人の担っていた要素を代わりに受け持っている面があります。
八つ裂き光輪初披露の標的だったことや、ウルトラマン空中戦の代名詞となる曲の使用など、ここでも良く考えられたネタぶっ込みしてるなぁと感心しました。

映画はここを境に、知っているウルトラマンとは違う方向へ歩き出します。
それに伴って音楽流用も終わりを告げますね。ここが分岐点、と言うのが音楽面でもしっかり意識されてるんだと僕は解釈しました。

まぁ居酒屋BGMとして流用されてる「小鳥」なんかはあったりする訳ですが。
あの曲をあそこで使った意味も深読みすると面白いんですが(日本壊滅へのあゆみ、的に)まぁそれはまた機会あれば。



そんな感じで、特に感心しちゃった3曲中心に深読み語りでした。
確かにね、現代にこの音楽群は歓迎されない層も確かにあると思うのですが、困った事に知識あったら受け取る情報量ここでも増えるわやばい、と言う例でもあると思うので、まぁ賛否は当然だけど僕は大満足でした。
ありがとうありがとう、サントラ欲しいよ。

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