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海士町での3ヶ月。出会った人、ことば、そこで過ごした時間はこれからの自分の確かな根っこになった。

この4月から海士町に暮らし始め、ようやく3ヶ月が経とうとしている。
この3ヶ月を一つの区切れとして、
これからの自分の土台となったであろう出来事を写真とともに振り返っていこうと思う。

映画館や娯楽施設なんて一つもない海士町。
それでも、日常にはたくさんの幸せが
ごろごろ転がっていることに気づいた。
これは、シェアメイトみんなで
手づくりしたアジフライ。
こうやって食卓を囲んで談笑したり、
語り合ったりしながら、その土地で採れた
食材を調理してみんなでいただく。
 こんなに幸せなことって他にある?

 何気ない日常があることが
本当の豊かさなのかもしれない。
「ないものはない」って、本当にそうだ。
これは研修でつながった地域の方のおうちに伺ったとき、
「せっかくだから食べていきなさいな」
と言っていただき、その場でごちそうになった
手づくりのカレーライス。


 自分が東京にいたころは知らない人には干渉しない。
そんな雰囲気があった気がする。

だけどこの島は違った。
はじめましての人でも道で挨拶をしてくれたり、
収穫した野菜や作った料理をおすそ分けしてくれたり、
とてもフレンドリーに接してくださったり。

島の人たちは、
最初からとてもオープンで
気持ちがあたたかい人が多いなと感じる。

東京にいたころと違って、
自分にとっての人との関係性の当たり前が
この島に来てからは180度変わった。

人と人との壁が薄いこと、
自分にとってはとても居心地いいなと感じる。

でももしかしたら、島であろうが東京であろうが、
場所は関係ないのかもしれない。
東京がそうなのではなく、
東京にいたころはそもそも自分から
無意識に知らない人からは
線を引いてしまっていたのではないか。

自分の意識次第でいくらでも、
本当は東京でだって地域の人との関係性は
濃くしていけるのかもしれない。
島に来て、毎日いろんな人と出会うようになった。
最初はこの人ってこういう人なのかな?
って思っていても、じっくり話してみると
意外な一面があったり、自分と共通点があったり。
どんどん本当のその人が見えてきて、
最初抱いていたことは全て思い込みだったと
反省する。

話してみないとわからない。
話してみないと関係は深まらない。
勝手にこういう人なんじゃないかと決めつけず、
誰とでもことばのやり取りを重ねながら
一人ひとりのことをもっと知っていきたいと思った。
4月の後半。
「島留学生に切り替えない?」
というお話をいただいた。
 3ヶ月で帰るか、1年間海士町に残るか…。
 どっちの選択を取ろうか迷っているとき、
 明屋海岸でKちゃんがそっと相談に乗ってくれた。
「私は2つの選択肢があったら、
あえて大変そうな方を選ぶ。」
なんかかっこいいなと思った。
それからその場に一緒にいたJちゃんからも、
「迷ったら私は直感で選ぶ。」
素敵なことばをもらった。

 ギリギリまで悩んだけど、
 2人のことばを聞いて、
 結局はどんな選択肢をとっても正解だし、
正解にしていくのは自分なのかもしれないな、
 そう思った。
その日の夜、私は海士町に1年間残ることを決意した。
「仕事は歩いては来ない。
私たちは歩く広報だ。」
これは仕事でよく上司から口酸っぱく言われること。

この間はプロジェクトのメンバー紹介を頼まれた。

私が1人で30人近くのメンバー全員に
直接会いに行って話を聞くというやり方で。
最初は、
(アンケートフォームを全員に
一斉送信した方が楽じゃん。)
って思っていたけれど、
みんなに直接会いに行って取材してよかったと、今では心から感じている。

全員分の取材が終わるまで時間はかなりかかったけれど、
その分アンケートフォームだったら得られない
情報をたくさん得ることができたと思う。
直接コミュニケーションをとることで、
自分の顔をしっかり覚えてもらえた。
一人一人とも顔見知りになれた。
みんなの仕事のリアルやいろんな想いを
知ることまでできた。

これからも積極的に外に出て、
対面でコミュニケーションをとって、
何事も自分から、自分の足で、
行動していく。

仕事をつくっていく、とはこういうことなんだなと
広報の仕事を通して日々学んでいる。
何か趣味がほしくて始めたウクレレ。
このころは、毎日家で練習するほど夢中になっていた。

 「上を向いて歩こう」や「涙そうそう」
「マリーゴールド」など、
日に日に弾ける曲が増えてうれしかった。

ウクレレを弾くと周りのみんなが楽しそうに
歌ってくれて、「なんか癒されるね」と言ってくれる。
自分がやった何かで、誰かを幸せにできることが、
自分にとっても幸せだなぁと気づいた。
音楽を通してみんなが一つになれるような空間、
あったかくて素敵だな。

noteやSNSのようなデジタル媒体だけでなく、
島内に向けて「紙媒体」でも
情報発信していきたいと思った。
しかし、それは「時期尚早」と言われた。
 本当に島内の人はそれを求めているのか?
 そもそも今の自分は情報発信者としての信頼やスキルなどは十分に備わっているのか?と。


情報発信をする身として、ただ自分が一方的に、
何かをやりたい気持ちばかりが先行していたな。

今の時期に自分がやるべきことは、
自分が担当しているデジタル媒体の
noteをいかに多くの人に広め、
読んでもらえるかを考え続けること。

何か新しいことを
ゼロから作り出すのも大切。
 同時に、今あるものの可能性を
いかにして広げていくか。
 その視点も大事だなと気づいた。

 何か新しいことを始める前に、
今はひたらすらnoteで記事を
 執筆し続けて下積み。
まずは今自分ができること、
やるべきことから
コツコツやっていこうと思う。

島に来て、思うこと。
それは、なんだかんだ東京にいたときよりも忙しい。

広報の仕事が終わらず、夜も家でパソコンを開いたり、
日中の疲れで夕飯を作る気力もなくて、
毎日部屋の畳の上で寝落ちしたり。

疲れが溜まって
気持ちに余裕がなくなって、
シェアメイトともっと話したいと思いつつ
部屋にこもってしまうことが増えたことが
結構きつかった。

でも自分の仕事自体はすごく楽しいし、
毎日いろんなことを学ばせてもらってるからこそ、
「忙しい」「大変」
ということばだけでまとめたくない気持ちもあった。

ゆとりを持つって大事だな。
ここに来て強く感じた。
仕事をすることと休むこと、
いろんな人と関わることと一人でいること、
自分にとってちょうどいいバランスを
みつけていきたい。

写真は、私がまともに
食べていないことを気にかけ、
誕生日にシェアメイトが作ってくれた
栄養たっぷりの野菜もりもり鍋。
みんな優しい…ありがとう。
青木さんのトークイベントに参加した。
「何がいいとか悪いとかじゃない。
2つの世界を行ったり来たりしながら、
自分にとってちょうどいい状態をみつけていく。」
つまりそれが「土着する」ということなのだと、
青木さんは話していた。
どちらか一方に頼り切ったり、
どちらか一方がすべてだと思いたくない。

自分はどうしたいか?
土着しながら自分軸で選択していきたい。
島にいるからにはいろんな人と
交流していかなきゃもったいない。
ずっとそう思って、
人が集まる場所に常に自分から行っていた。
でもその反面、どこか疲れている自分もいる。
そういうときは、
誰もいない島の図書館で
窓の外の景色を見ながら、
ひとりでゆっくり時間を過ごす。
それだけでも結構リフレッシュできた気がする。

いろんな人と関わるのも自分は好きだし、楽しい。
だからこそ、
ひとりの時間も自分の充電時間として
意識的に取っていきたい。
焦らず、自分のペースで過ごしていこう。
最近よく行く喫茶MG。
この日はたまたま隣に座っていた方と
一緒におしゃべり。

「あんたの原点は何?」

流れ作業のように、
みんなに合わせてなんとなく過ごすのではなく、
自分は何がしたいのか?と原点に立ち返る。
時間というものは、過ごした方次第で
自分の糧になったり、そうでなかったり。

もうすぐ90歳を迎える人生経験の長い方からの
ことばに、はっとさせられた。
ある日のまるどマーケット。
シェアメイトの3人が出店していた。
みんなやりたいことをカタチにしていて、
表情がすごく輝いていた。楽しそうだった。
「自分にできるハードルの低いものから、
まずはやってみることが大事。」
みんなが口をそろえて言ったこのことばが、
すごく響いた。
ちいさな一歩、でもそれは大きな一歩だと思う。
チャレンジした分だけ自分の糧になる。

自分ももっと、やりたいことに向かって
一歩踏み出してみよっかな。
「人と比べず、自分の長所に目を向けた方がいい」
 事業部合宿のあと、
夜の懇親会にて
 同じ席で一緒にしゃべっていた
  とある企業の方からいただいたことば。

 自分は、自分にはないものを持ってる人のことを
 いいな、羨ましいな、と思うことが多い。
 そして、自分の足りていないところを克服し、
できるようになること、
それ自体を「成長」と考えていた。
 だけど、
 「苦手なことを潰すことだけが成長ではない。
 自分の長所を極めることも成長だよ。」
 このことばを聞いたとき、
なにかがビビッと全身を貫いた。

 成長にはいろんな種類があるんだな。
 自分がどんな人かよく知って、
 自分だからこその強みを伸ばす。
 これからそういう意識を持って、
楽しく生きていきたい。
これまで、
自分の強みとかよくわからなかったし、
自分にはないものを持っている人にはすごく憧れていた。

だけど、

「話を聞くのが上手いよね」
あるとき研修でもシェアハウスだもやった「相手をほめ合うワーク」。
いろんな人から共通してこのことを言われた。

確かに自分は、
いろんな人の話を聞くのが好きだ。
他の人にはない自分の強みって、
これなのかもしれないな。
なんかうれしかった。

自分にないものに目を向けるのではなく、
自分にあるものを大事にして活かしていきたいな。
竹を使ってバームクーヘンを手づくりした。
お店でお金を払って買うバームクーヘンもおいしい。
だけど、こうやって一から自分たちで
材料を集め、火を起こし、地道に生地を焼いていく。
時間はかかったけど、完成したときの感動を
みんなで一緒に味わえる瞬間はたまらなかった。
効率を重視しすぎず、
手づくりするからこそ得られるものが
たくさんある気がする。
今日はシェアメイト6人で一緒に過ごす最後の日。
明日から3人は離島し、
残りの3人は別々のシェアハウスに暮らす。

思えば来島初日。
フェリーから降りて初めてみんなで
顔合わせをしたとき、
「あ、このみんなとなら大丈夫かも」
直感でそう思った。

実際みんな自分と性格が似ているところが多くて
一緒にいてすごく安心するし、
あたたかく受け入れてもくれて、
みんなといるときは穏やかな気持ちでいられた。
周りに流されず自分らしさをしっかり持っているみんなの人柄も素敵だなと尊敬していた。

シェアメイトのみんなはまるで家族みたいで、
自分にとっては本当にホームのような存在。

みんなでしっとり、ほっこりするような話が
できるのも楽しくて、本当に居心地がよかったな〜

でも、出会いがあれば必ず別れもある。
明日からいつもの6人で
夜ご飯を食べたり
語り合ったり
励ましあったり
することができないと思うとすごく寂しくて、
何度も涙が出てきた。

「人生は長い長い電車旅のようなもの」
シェアメイトの1人がこんなことばをくれた。

人生は電車旅のようになっていて、
今乗っている電車を降りたとしても
また次に別の電車に乗ったとき、
お互いどこかで乗り合わせて
交わるときは必ず来る。

そう考えたとき、
別れは永遠のものじゃなくて、
またどこかで異なるタイミングで、
みんなと再会するときが
来るのかもしれない。

「別れは始まり」
ということばがあるように、
明日からまたみんな、
それぞれ新しいステージへ進んでいく。
自分も新しい島生活が始まっていく。

 野津邸のみんな、出会ってくれて
本当に本当にありがとう。
また必ず会おうね!
海士町で過ごした3ヶ月。
それは、自分にとって
「ことば」と向き合う3ヶ月だった。
モヤモヤしたときは自分の「ことば」で
あれこれ書き出し続けた。
関わったいろんな人からは、ぽんっとやさしく背中を
押されるような「ことば」をたくさんもらった。
「ことば」を通して目の前の人の人となりや温かさ、
芯の強さに触れることもできた。
「ことば」によって自分や誰かの想いを
書き残したりもした。

やっぱり自分は、「ことば」が好きなんだ。

まだまだ海士町での暮らしは続いていく。
これからもいろんな経験を重ね、いろんな人と出会い、
ことばを通じて自分の枝葉を伸ばし、
小さくても自分らしい花を咲かせたい。


まだまだ書き足りないことだらけだし、あくまでここに綴ったものはほんの一部に過ぎない。
それぐらい、島での一日一日は本当に濃くて、濃くて、あっという間だった。

私の島生活は、引き続き、来年の3月まで続いていく。
今日からまた1ヶ月後、3ヶ月後、1年後...
自分がどうなっているのか、どんな人たちとの出会いがあるのか、これからも楽しみだ。




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