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【エッセィ】蛙鳴雀躁 No.35〈タカラヅカ〉

 雪組「ベルサイユのばら」。7月17日午後の公演を観劇。
 とうとうサキちゃん(彩風咲奈様)も退団なのか。童顔なので、かわいらしい男役さんだと思って見ていました。身長が高く、手足が長くて、ダンスが上手なんだと思っていたら、いつの間にか、凛凛しい男役さんに成長していました。「るろうに剣心」で、斎藤一を演じたとき、エプロンステージで、刀を振るうサキちゃんを見て、「いつのまに」と驚きました。

 順調に見えたトップまでの道程でしたがコロナ禍もあり、トップとして思う存分、舞台に立てなかったことが、残念だったのではないかと思いましたが、一幕目の終わりに、マントを翻して客席の通路を駆け抜けるサキちゃんの姿には、清々しさと同時に「やりきった感」が見えて思わず涙しました。
 タカラヅカを代表する「ベルばら」で退団することに、なんの悔いもないように見受けられました。

 思い返せば「蒼穹の昴」は、その年の最高傑作でした。
 前回のコナン・ドイルも適役でした。

 今回の「ベルばら」ですが、ピンクのお衣裳も美しく、王道の舞台だったのですがただ一点、気になった箇所がありました。
 一幕目で、ジェローデルがフェルゼンに会見したおり、「オスカルとアンドレは革命のさなかに命を落とした」という台詞があり、びっくりしました。バスティーユの場面がカットされたのかと、勘違いしたのです。先にプログラムを買えば、よかったのですが、休憩時間にあわててプログラムを買い、バスティーユの場面があるとわかってひと安心。しかし、なぜか、しっくりこない。回想形式で、山場の一つと言える名場面が挿入されているのですが、過去にこのような構成があったのか、なかったのか……。
 時系列のストーリー展開では、トップのさきちゃんの退団公演にふさわしくないということだったのでしょうか?
 シナリオライターだった友人と観劇したのですが、帰路、話すのはこのことばかり。トシのせいで、些細なことが気にかかるのです。
 もしかしたら、気になったのは、私たち二人だけやもしれません。余計なことにこだわり、「ベルばら」ファンのみなさまに、お詫びします。
 

  


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