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久しぶりに詩を書いてみました。昔描いたものと2編一緒に投稿します。ちなみにAIは使用していません。全て人間が書きました。


作者: 桃と紅茶
初稿: 「介護生活エラー」2023年(平成5年)10月10日、「IF(I know you are,“ ”,” ”)」2017年(平成29年)7月
初出: 「note」 2023年(平成5年)10月15日

介護生活エラー


狂おうとする まだ温かい
その人を抱いて 抱いて 抱いて くるおしく
「早くおうちに帰りたい」と言いなさる
小さく固い額に口づけをした
 
その時わたしはこっそりと 
陰から頬を舐めた 犬のように
飾り気のない面影を その人を 
生母と唱えた uncought ReferenceError:
 
“生母“ is not defined 取り間違えた ふところで
懐かしい日々を思い起こしながら 泣いた 
 
瞬間わたしは西風の吹く
険しい白浜を その人を
背負いさすらう影 一匹一生分の
蟹となりなり果てた
 
今更 「疲れた」と言われるその人は
狂おうと しているのか
「どこにも行きませんよう」
そう言って少女のように 歌い舞う
 
わたしは その人の 
ちょうどその狭い肩幅ほどの
肉体の隅々までももはや
知ってしまったようだ
 
住む場所も 眠るところも
帰る当てもない と言ってはまた
幼子のようにしわしわと
介護の手を振り払ってむずかるその人が
 
見知らぬ男のかたわらに たたずみ
まだよく目の見えない赤ん坊のわたしを
抱いてあやして やがて地面に
転がし しゃがみこんだ
 
その日のうちにぱったりと
「動かなくなりなさった」
 
このようにして わたしは
その人の腕の中で閉じ< / p >
while( 裁かれずともすでに罪は償っているはずだが
それでも 風は吹きすさび
 
それでも 人は){石を投げつける
わたしに向かって

 
参照:第四連 石川啄木『一握の砂』
 
注:プログラム言語で「< / p >」は終了を表すが、この詩の中には開始がない。「while()」は、{}の内容を繰り返すことを表すが、この詩の中で条件成立しているかどうかは不問とする。

IF(I know you are,“ ”,” ”)

 
オレンジ色の着衣は
しもべたちの太陽
模範的な囚人として
連れてこられた 夜の家へ
 
瞬きなどしたこともないような眼をした子供たちが
覚えてきたばかりの彼らの名前を 唱える
 「ふたりとも我が国の国民である」のか
どちらなのか どちらでもないのかどうか

いずれにしてもふたりとも
監視の行き届いた部屋で
プラカードを
育てているはず である
 
「ふたりは我が国の国民であることを前提とし・・・」
もう一人は人間であることも前提とする
 美的な角度から撮られる 記念写真
インタビューに応える 虚ろな目
 
音。鐘の。
背後からそれは崩れ落ちる 
的確に、声。鐘の。
サロメのように 待ちわびる人々のもとへ

大地を切り裂く 落日のように そして
ゴムのように伸びる 声。男の。
 
プラカードを掲げる 愛しい人よ
どうかもう一度戻って来てください
そして教えてください
あなたは誰だったのか

 注1:今も、紛争、テロ、戦争に巻き込まれ捕虜、囚人となる人々は絶えない。当時も、ジャーナリストと人道支援活動家が「処刑」された。

注2:題名の「IF(I know you are,“ ”,” ”)」というのは、excel関数です。意味は、「もし()ならば””、そうでないなら””」みたいな感じです。

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