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恋に縋っても幸せにはなれない

会社の近くのカレー屋さんに飾ってある ぺぺぺ日めくりカレンダー 作者は日本人で 渡辺知樹さん 絵本作家さんだそうです。ここは中国の深圳のとあるカレー屋でオーナーさんは日本が好きな中国人の方。渡辺さん !ここにもファンがいましたよー。

写真の説明をしてから本文でございます。

過去作の短編や、やはり2020年に書いた長編を読み返したりしながら、この恋に縋っても幸せにはなれないということについてつくづく考えたので、今日はそんなことを書けたらなと思う。自己作を読んでそれについて思索するなんて、自分の足を自分で食べているみたいな行為ですが、本日はお許しください。

「ね。これって女の本質じゃない。好きな人に好かれる自分になりたい」
(中略)
「僕が君を好きなのはそういう表面的なことでは変わらないから、自分のために、自分の好きな自分を探してごらんって」
(自作 短編:エメラルダ より抜粋)

圭司さんとの間に子供が生まれて、わたしは家の中にこもる日が増えていった。娘と2人。自分と母と2人きりだった過去が蘇る。
言葉を話せない娘と2人で1日の大半を過ごし、夜に彼が帰ってくる。
けんかをするとか、そういうことはなくて、ただ、圭司さんは前より話さなくなった。普通のことなのかもしれないけど、でも、一日ほとんど人と話さずに生活をしていると、元気な気分でいることが難しくて、そして、帰ってきた人が無口だと、自分がつまらない人間のような気がした。
彼は自分のことをつまらなくなったと思ってるのではないかと思う。
そして、そのうち帰ってこなくなるのではないか……。
父が旅でいつも家を空けたように。この人もどこかへ行ってしまうかもしれない。
(自作 長編:ゆきの中のあかり より抜粋)

どう書けばズバリ伝わるのかなと思いつつ言葉を選びますが、昔は、私は隠れ乙女のような人で、非常に恋愛体質だったのです。そして、大学を卒業するような頃、小説家になりたいという夢はあったけど、とても中途半端な夢みる夢子のような状態で、自分が空っぽというかとても不安定な状態なのを棚に上げて、自分の人生のドラマを恋愛に求めたものでした。

つまりは、自分はつまらない平凡な若い女でしたが、自分の面白さをドラマティックな恋愛に求めた。自分はつまらなくなんてない。こんな素敵な恋愛をしているのだから、と思ってたんです。

その時、自分は中国系イタリア人と遠距離恋愛をしていました。そして、イタリアで仕事をするアテも何もないのに、イタリアに行こうと思ってた。

顔は中国人だけど、中身はヨーロッパ人の彼にとって、自分の軸のない私のそういう行動は全く受け入れられず、振られてしまいました。この時振られたから、今の私がいるわけですが、その話はほっておいて。

夢のように甘い恋愛と結婚の後に、男は必ず熱が冷めます。男には家庭以外にも仕事があります。もしこの時対する女に家庭しかなければ、必ずここでバランスが悪くなるものです。自分のつまらなさや空っぽ加減は、素敵な恋をしても満たされることはありません。

恋というのは一過性のものなのです。いつか必ず終わり、男と女は別れるか、もっと穏やかに愛し合うようになる。穏やかな愛というのは生活ですから、男は女以外に仕事の世界を持つものです。

(現在は男女ともに働く世界ですし、男が仕事、女は家庭などと書けば語弊がありますが、これは全ての女の人に向けて書いているわけではなく、恋愛に縋ってしまう方を対象に書いているということでお許しください)

私は若い頃、手痛い失敗をしたことがあるからこそこういうことを書くのですが、素敵な恋をする人、あるいは、異性同性問わずモテる人、そういう人は恋愛以外の何かを持っている人だということです。

外見だとか若さとか素敵な服を着ているとか、そういうものは全て付随的なもので、恋をしていようがいまいが、その人は魅力的だし、楽しそうにしているということです。

この恋を失えば何もかも失うなんて、そういう風に思い詰める時期が人生の中のどこかにあってもいいです。ただね、大抵の人は恋はするけど、恋をし始めた頃のその熱量で恋をし続けることはない。2人の気持ちの片方が穏やかになっていく速度ともう片方との速度がズレることなんてよくあることです。

私は何も、みんながみんな仕事をすればいいと思ってるわけでもありません。大事なのは、気持ちのバランスなんです。

夫婦の場合でも、親子の場合でも、相手より自分の気持ちの方が大きければ、結局は家族であっても人間関係だから、うまくいかなくなるということを言いたいのです。もちろん恋人もね。

相手に自分以外にも心を砕く対象があって、例えば仕事とか、子供が大きくなってきて友達や自分の世界ができたとか、その時余ってしまった自分の心を向かわせる先を人は持っていなければなりません。

別に仕事でなくてもいい。趣味や友達でもいい。ボランティアでも。

自立というのは何も、経済的に1人で立つことだけを指すわけではないです。熱中できる何かを恋人だけに集中させることは、多くの場合は破滅を連れてくると言いたいのです。

素敵な恋愛をしているからその人が素敵になるわけではありません。
素敵な人だから、素敵な恋愛をしているのです。

誰と付き合ってもいつも同じようにうまくいかなくなってしまう時はどうぞむしろ、1人でいる時期の方を大切にしてほしい。

1人で大丈夫な人はもちろん2人でも大丈夫な人です。

汪海妹
2024.08.07


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