スキなんだ。君が思うよりずっと。

川麻 雄二

僕には彼女がいる。愛する彼女が。ここまで誰かを好きになれたことは無いと思う。そのぐらい好きなんだ。彼女の下香とは大学のサークルで出会った。最初はお互い緊張してて何にも話せなかったけど、実は小学校が一緒だったり、同じ線の電車に乗って通学していたり、運命的な事が沢山あって仲良くなったんだよな。一緒にゲーセンいったり、映画見たり、宅飲みしたりして、好きになって俺が告白して付き合ったよな。告白なんてしたことなくて「す、好きです!つ、つ、つきあっあってクダサイ」
ってなったっけ。君と付き合ってから、もっと君が好きになって、もっと君を知りたくなった。でも、君は忙しいみたいだね。僕のラインは返せないのにインスタは更新出来るらしい。僕にバレないように最近じゃ親しい人でストーリー更新してるんだね。別のアカウントから覗いてるから知ってるよ。僕との約束は反故にするのに"男友達"とかいう存在からの遊びの予定はキチンと守るんだね。僕に言うスキって何段階中の何?他の人に言うスキってどういう意味?お菓子くれて有難う〜!スキだよ〜!って。課題見せてくれてありがと〜!スキだよ〜!って。ねぇ、それどういう意味?僕へのスキの価値ってどのくらい?ごめん、嫌だよね。縛り付けたいわけじゃないんだけど、そばにいてほしいの。君の鼻も耳も顎も目も口も全部スキ。指でナゾって覚えたいくらい。僕と同じじゃなくていい。けど、僕と同じに見えるように愛してよ。街でもテレビでもアニメでもマンガでもどこ見たって君がナンバーワン。だけど、君はそうじゃないの?僕以外にも沢山見える景色があるんだね。返してほしいって不純かな?こんなに注いだ愛、少しばかりでいいから返して欲しいの。どこまで愛したら君は僕だけを見てくれるの?スキだよなんて言葉で誤魔化さないで。それってどのくらい?一番ってこと?やだ、一番なんか。二番がいるってことじゃん。飽きたら二番の人が繰り上げ当選で彼氏になるの?万歳三唱するの?ごめん、そういうことが言いたいんじゃなくて。でも、、、わかるでしょ?スキって言ってよもっと。もっと僕を見てよ。もっと愛してよ。上っ面だけの文字面だけの表面上だけのそんなスキじゃないもっと刺さるスキを届けてよ。

「ほんと...…最低。」
「でも、そういう私のこともスキなんでしょ?」
「...…最低。」

あぁ......。また好きになっちゃった。
スキって、ちょっと難しいね。


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