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3 サハラ砂漠 ベンベル人の生活
砂漠の日の出を満喫した後は、来た道を戻った。
帰りは、歩きだ。
本来なら、一人が1頭のらくだに乗って往復するシステムになっていた。
だが、行ったことのある友人からのアドバイスと、両方楽しみたいと欲張って兄妹と相談し決めていた。
添乗員に相談すると、戻るときの乗り換え時に、らくだ使いの人に余分なチップを払うように指示された。
わたしのらくだには、義弟が乗る手筈だった。
彼がお金を出すと、らくだ使いの人ではないベンベル人が横から来て「チェンジ、チェンジ」と言って、お金をとってしまった。
らくだ使いたちもグループで行動しており、その人も同じグループだった。
あとで仲間内で分配するのかと、気にしなかった。
歩いて帰るグループに入り、歩き始めた。
先程のお金を受け取った人が、歩くグループのガイドだった。
やはり、いけ面だった。
歩きにくい場所や坂道では、手早く手をとってくれ、大変親切だった。
砂漠にもいろんな生き物がいた。
その形跡を示しながら、説明もしてくれた。
『ふんころがし』の点線みたいな細い線が続いていた。
『フェネックギツネ』の小さな足跡が伸びていた。
『ネズミ』の糞もあった。
左横を見ると、一列に並んだらくだの行進が見えた。
まるでシルクロードの隊列のように、朝陽のなかの砂漠を歩く姿は、素敵だった。
![](https://assets.st-note.com/img/1715046038684-wyZloa1IiE.jpg)
うしろ向こうの丘に、アラビアのロレンスが現れるような錯覚さえした。
砂色一色に、青空が広がり、太陽がまぶしく輝いていた。
途中には井戸があった。
![](https://assets.st-note.com/img/1715045333823-k6w5tfeU4y.jpg)
石で作られた素朴な、井戸だった。
こんな砂漠にも、地下には水脈があるようだ。
思わず、井戸の底に向けて、大声で叫んでみた。
声が響き、その響きが古代に通じるような気がした。
![](https://assets.st-note.com/img/1715045446019-OSvpiURjin.jpg)
集合した場所近くに来ると、ガイドは砂に座り込んだ。
そして目の前で、手荷物を広げた。
お土産品を並べ「アルバイト、アルバイト」と言いながら、しつこく押し売りを始めた。
この広大な砂漠のど真ん中で、商売が始まったのだ。
どの品も、このツアー途中で見たものばかりだった。
だれも買う人は、いなかった。
しかししっかりとチップは要求された。
帰り道での、過剰な親切はそのためであった。
そして、乗り換えのときに払った、らくだ使いに払うためのチップは、彼がとってしまった。
いけ面の顔が、ダークに感じられた。
又、車に分乗して、道なき道を走った。
来るときは真っ暗で何も見えなかったが、灰色の世界には、行く筋もの、車のわだちだけが続いていた。
360度、見渡しても砂と石とガレキしかなかった。
そんな中にポツンと1軒の家があった。
現地ベルベル人の住宅だった。
![](https://assets.st-note.com/img/1715045517318-tp2tQE1LiF.jpg)
ベルベル人は、北アフリカ(マグレブ)の広い地域に古くから住み、アフロ・アジア語族のベルベル諸語を母語とする人々で、北アフリカ諸国でアラブ人が多数を占めるようになった現在も一定の人口をもち、文化的な独自性を維持する先住民族である。
ベルベル人の先祖は石器文化を築いた人々ともいわれている。
その顔立ちは精悍で彫が深く、日本人から見ると、ハンサム・美人に見えた。
ここでは家を見学し、お茶を頂いた。
シンプルな家というか大きなテントのようで、原始時代の住居に近かった。
母屋は20畳ぐらいで、何の仕切りもなく、ただ地面の床に敷物が敷いてあるのみだった。
そこには、妻と嫁と赤ちゃんがいた。
その家の陰に、8才ぐらいの女の子が寄りかかっていた。
みんなの視線に、うつむいていた。
自宅に外国人の他人が大勢押しかけて、興味本位で見られて、嬉しい人はいないであろう。
離れた場所には、台所用の小屋があった。
その中に、土で作られたかまどがあり、数個の鍋もあった。
さらに離れた場所のは、もっと小さなトイレ用の小屋もあった。
この何もない砂漠で、限られた生活品の中での生活は、想像することもできなかった。
大自然はすばらしい・美しいでは、済まない生活であろう。
女の子の気持ちが、追いかけてきた。
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