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2007年式 シトロエンC5

今回は、ちょっと古い車のインプレッション。車種は、H19登録のシトロエンC5。最終型とどう違うのかを振り返って見たい。

まず、エンジン仕様は最終型は1.6L 直噴T/Cに対して、2.0LのNAエンジン(燃料供給は通常のポート噴射)。トランスミッションは同じく6ATだが、レシオは調べていないので分からないが基本仕様は変わらない?

さて、乗って見るとインテリアで一番大きな違いである「フツーのホーンパッド」が目に入る。最終型ではいかにもシトロエンらしい固定パッド(即ちパッド自体は可動せず、ステアリングホイールだけ回る個性的なもの)なので、円基調のデザインモチーフでは有るものの、まあ特段個性的でも無くフツー。

最終モデルでは、SMの様に固定式ホーンパッドが採用され、そこに各種コントロールが配置されるが、このモデルではオーソドックスな単なるホーンパッドだ。

一方、最終型との大きな違いはシートに有る。新型はサイズもたっぷりして座りごごちも良いが、いかにもフランス車らしいアンコがたっぷりのふんわりした掛けごごちでは、この旧型の方に軍杯が上がる。

この数年でPSA車のインテリア全体の質感は、目覚しく向上しているが、旧世代のこの車は、プラスチッキーなインテリアといい、折れそうな作動感の各コントロール系といい、全てに何だか懐かしい旧いフランス車の味が残っている。

走り出してもこの印象は変わらない。ステアリングは流れに乗って流している分にはテキトーにゆるく気を遣わない。これも、フランス国内の街路樹の根でデコボコした、地方の真っ直ぐ続く国道でも、ステアリングに気を使わずにドライブできると云う伝統の継承だ。

そして、1.5tの車重に、2.0L NAエンジンのパワーは必要十分ではあっても余裕は感じられないが、回してゆくと快音とともにまあまあ力は出て来るので、慣れれば乗り易い。これも昔からのシトロエンのイメージ通り言えば納得⁈

乗り心地は、最終のモデルでは通常モードでは船に乗っているかのごとくソフトに、スポーツモードでは徹底的なフラットライドに味付けられているが、この旧型C5では古いハイドロの様に基本的には船に乗っているかのごとくソフトである一方、マンホールの様なきつい凹凸に対してはハーシュネスがやや強く、横方向の突っ張り感も強く感じる。しかし、山道に入ると印象は一変する。

山道で速度を上げてゆくと、ゆるく感じていたステアリングが実は正確で有ることに気づくはずだ。エンジン振動を拾ってブルブルしていたはずなのに、安定した接地感と共に路面の感触も過不足なく伝えてくるから、アクセルワークで車の姿勢を変えながら大柄な図体に似合わないスピードで痛快にワインディングを飛ばす事ができる。

但しトランスミッションのシフトスケジュールは緩く、アクセルを踏み込む時は良いが、強く踏み込んだりキックダウンをするのは不得手なので、マニュアルモードでシフトした方が良いだろう。

この車を降りて、以前乗っていたエグザンティアを思い出した。あの車からはポンプも電動化したハイドラクティブに進化したりしているが、乗り味は新型よりエグザンティア寄りと思った。

この車の後、新型C5の為に、乗り味含め大幅に見直しを行ったシトロエン本社の想いはどう言ったものだったのだろう?もうハイドロ系シトロエンは本国でも生産されていないのに。

円柱を切り取った様な感じの、ちょっと個性的なリアビュー


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