同期の大園 2. 日替わりBランチ
大園「エビフライ食べないの? 食べてあげようか?」
なんて向かいの席の大園が、ピーマンを皿の端に寄せながら聞いてきた。
俺「好きなのは最後に食べる派なんだよ」
大園「ふ~ん」
と口をすぼめた大園。 ちょっとだけ可愛いと思ってしまったのが悔しい。
武元「……でな~××がな~」
俺「――オイ!」
武元「な、何? 唯衣なんかした?」
俺「あ、わりい。武元じゃなくて、大園! お前ふざけんなよ」
大園「え、えへへ。ばれちゃった?」
大園が俺のエビフライを奪おうとしていた。
武元「はいはい、仲がよろしいことで。……そんでな」
「……」
まだだ。
奴の目はまだ獲物を狙うそれをしている。
スープに手を掛けた時だ。
まるで鷹のように上空から箸が滑空してきた。
俺「――甘い!」
こちらの箸で迎え撃つ。
大園「っむ」
俺の鷲君(今つけた)と大園の鷹が空中戦を開始した。
*よい子はマネしてはいけません。
カチカチ、と箸でちゃんばらをしている同期を、武元が冷めた目で見つめていた。
悪いな武元!
だが、諸悪の根源は――こいつだ!!
ピシッと箸で箸を摘まむ音。
――鷲君が鷹を仕留めたのだ。
勝った!!
俺「――いぎ!?」
こ、こいつ……まじか? 会社だぞ。
大園が俺のイ〇モツを踏んで来やがった。
しかもヒールで!!
大園「ふふ」
と満面の笑み。
ふざけやがって!! そっちがその気なら……。
大園「――いひ!?」
戦いは地下へと移る。
大園「や、やめて、いひひひ。ちょ――」
ヒールを脱がせて、足の裏をくすぐってやる。
俺だって、やられっぱなしじゃねえんだぞっ。
大園「あひゃひゃひゃ」
暴れる大園を無視してくすぐり続けた。
俺「ふふ、どうだ? まいったか?」
大園「いひっ――ひひ」
しぶとい。
どうやら、もう一段ギアを上げる必要が――
などと考えていたが、
武元「――はぁ。……ごちそうさま」
呆れ果てたように盛大な溜息を吐いて、席を立った武元によって争いは終焉を迎えた。
大園「あ、唯衣ちゃん待って。私も行く!!」
慌てて武元を追いかける悪魔のような女。
俺「……」
立ち去る二人を見送って、ぐったりと背もたれに身を預けた。
……今度こそ、俺の勝ちだ。
勝利の余韻に浸る。
この後に食べるエビフライは、さぞかしうまいのだろう。
思わず垂れてきた涎を拭った。
「さてと―――あ?」
なんてことだ。
いつのまにか、エビフライがピーマンに変わっていた。
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