同期の大園 4. 甘いものは別腹だから
井上「あっつ」
武元「ん~うんま! やっぱたこ焼きやな」
井上「ふーふー。あっつ」
お前のたこ焼きはそんなに熱いのか? いつまで冷ましてんだよ。
大園「えへへ」
武元「それめっちゃ気に入ってるんやね。玲ちゃん」
大園「うんっ」
コアラのぬいぐるみを抱きしめる大園。
井上「あ、っ。それにしても、はふはふ、射的の才能があるとはねー。熱い!! もう! ふーふー」
食べるのか、喋るのか、冷ますのか、どれかにしろ。
と心の中で突っ込む。
武元「ほんまそれ。一発で当てるなんてやるやん」
俺「まぁ天才ですから」
武元「なんやそれ。ドヤ顔やめーや」
大園「あひゃひゃ。私はその顔好き~」
お気に入りのようだから、満面のドヤ顔をプレゼントしてやろう。
サムズアップ付きだ。
俺「ッフ」
大園「いひひ。可愛い」
武元「どこがや」
井上「ふーふー」
武元「あんたはいつまでやっとんのや」
なんて、馬鹿なやりとりをしながら目的地へと辿り着いた。
地面に腰を下ろす。
井上「やっぱり梨名、りんご飴買ってくる!」
俺「え? まだ食うの? 花火始まるぞ」
井上「甘いものは別腹だから! ついでにビールも買ってくる」
武元「ほんなら、唯衣もついてくわ。二人はりんご飴食べる?」
大園「ううん。大丈夫~」
俺「俺もいらねぇかな」
武元「ほな。すぐ戻るさかい。ごゆっくり~」
俺「どっちやねん」
「……」
俺「よかったのか? りんご飴」
大園「うん……」
珍しい。
いつもはめちゃくちゃ食い意地張ってるのに。
大園「甘いものは別腹だったよね……」
俺「ん?」
大園「チョコバナナにしようかな」
俺「あ、買いに行く?」
立ち上がろうとした俺の胸に、
大園「えへへ」
手を当てる大園。
ハンターの目つきだった。
こ、こいつ……まさか。
ひゅーー…… 花火が上がり出した。
『おおーっ』
盛り上がるお祭り会場。
空を彩る夏の風物詩を見ようと誰もが上を向く。
そんな中、一人だけ下を向いている奴もいる。
またもどーんと大きな花火が上がった。
俺「……」
俺の花火も上がりそうだった。
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