OC/DC探し

 DeMeco Ryansが就任会見を開き「あぁ、夢じゃなかったんだ。本当にHCになってる!」と喜んでから4日が過ぎました。
 就任直後はハネムーン期間というか何をしても温かい目で歓迎される時期。まずは地元メディアに出演したり対談インタビューを受けたりと、新体制をアピールするための広告塔としての仕事を山程こなしてました。オーナーのJanice McNairと歓談する様子をチームの公式アカウントが報じたりしてましたね。
 話してる様子や仕草から知的で落ち着いた雰囲気が見て取れますし、周囲のリスペクトを集めるカリスマ性も感じます。かつてのチームメイトたちが彼のために集まり、生粋のリーダーだと太鼓判を押すのも頷けます。あるいはすでに僕がRyansのキャラクターに惚れ込んでいるからかもしれません。

 もちろんチームの広告担当に就任したわけではないのでやることは他にたくさんあります。まずは自らの両腕、コーディネーターを決める必要があります。

OC候補

 候補は今のところ2人。Bobby Slowik(49ers、パスゲームコーディネーター)、Troy Walters(ベンガルズ、WRコーチ)。2人とも前回触れました。すでに面談済みです。
 この他にペイトリオッツのTEコーチ、Nick Caleyとも面談をしましたがラムズのTEコーチに就任しました(テキサンズ以外にジェッツ、ペイトリオッツのOC候補でした)

 バイキングスのアシスタントQBコーチであるJerrod Johnsonと面談。「シニアオフェンシブアシスタント」候補としての面談だそうです。Johnsonは34歳、元NFLのQBでした。2011年にUDFAでイーグルスに入団後、PSとしてチームを転々としていました。2017年にオフシーズンの間だけコーチとしてチームに同行するプログラムに参加(Bill Walsh Diversity Coaching Fellowship)し、Kyle ShanahanがHCに就任したばかりの49ersでコーチとしてのキャリアをスタートします。そういう意味では同じ年にコーチになったRyansの同期と言えます。2019年から3年間コルツでコーチ見習いをして、2022年にバイキングスのアシスタントQBコーチに就任。
 現バイキングスHCのKevin O'Connellは昨年のテキサンズのHC候補でした。チームのフロントはO'Connellのチーム作りに興味津々のようですね。ヒューストン出身で大学もテキサスA&M、テキサンズに来れば故郷に錦を飾ることになります。
 アシスタント以上のポジションに就いていないわけですが「シニアオフェンシブアシスタント」とは具体的に何なんでしょう。OC?パスゲームコーディネーター?QBコーチ?いかようにも捉えられる便利ワードですね。HCクラスでないとチームは詳細を公表をしないので「リーグソース」に頼るしかないんですよね。
 少なくともチャージャーズはOC候補として目をつけていました(こちらはカウボーイズのOCだったKellen Mooreに決まりました)そういえばKellen Mooreも元QBのコーチ。見習い期間は短く、QBコーチ、OCとトントン拍子で昇進していきました。

DC候補

  候補は3人。Marquand ManuelChris HarrisCory Undlinです。ManuelとHarrisについては正式に面談をリクエストしてます。Undlinは49ersとの契約が満了してるためリクエストせずに自由に面談できるそうですが、面談の日程が決まったという報道はまだありません。

  Marquand Manuelは43歳、ジェッツのSFコーチです。フロリダ州マイアミで生まれ、高校時代は全米No.1DB、陸上でも活躍し100メートルを10.6秒で走ったそうです。フロリダ大に進学後、2002年に6巡でベンガルズに指名され2009年に引退してます。2012年から3年間シーホークスでコーチ見習い。シーホークスDCだったDan Quinnが2015年にファルコンズHCに就任すると、Manuelも引き抜かれました。セカンダリーコーチとして2年過ごし、2017年にDCに昇格、2年間D#を指揮しました。2020年はイーグルスのDBコーチ(Undlinの後釜ということですね)、2021年からジェッツでSFコーチを務めてます。
 経歴からするとカバー1カバー3を多用するのかと思いますが、別系統のRobert Salehの下で働いたこともあって引き出しは少なくないはず。今上がってる候補の中では個人的に好きです。下調べの段階で当然Salehから人柄や仕事ぶりを聞いてると思います。そういう意味でも期待できます。
 ちなみにパンサーズのDC候補でもありました。最終的にテキサンズのHC候補だったEjiro Everoが就任しましたが。

 Chris Harrisは40歳、コマンダーズのDBコーチ。アーカンソー州出身、大学はルイジアナ大学モンロー校(全く聞いたことありませんがFBSです。サンベルト)で、SFでした。2005年のドラフトでベアーズから6巡指名されプロ入り、パンサーズやライオンズ、ジャガーズでプレイして2012年に引退。2013年から2019年までベアーズとチャージャーズでコーチ見習いやアシスタントを経験し、2020年からコマンダーズDBコーチを務めてます。
 49ersのDC候補であり、タイタンズとベアーズからはポジションコーチ候補として面談を受けています。
 コマンダーズのパスD#について詳しくはないです。今シーズンテキサンズが対戦した際は、Millsがその日最初に投げたパスをKendall FullerにINTされそのままエンドゾーンに持ち込まれた嫌な思い出があります。パスを完全に読まれていました。Fuller自身は4年40Mの契約を結べるくらい優秀な選手ですが、コマンダーズに来たのはChris Harrisと同じ年からです。コマンダーズD#といえば、豪華なDLと割りを食ったように投資が少ないDB。ニーズと言われるなかで大きな補強はしないまま現場がどうにかしているイメージがあります。実はHarrisこそが縁の下の力持ちなのかもしれません。

 Cory Undlinは51歳、49ersのパスゲームスペシャリスト兼セカンダリーコーチです。2004年からNFLでコーチをしてます。ペイトリオッツ、ブラウンズ、ジャガーズ、ブロンコス、イーグルスでコーチ見習いやポジションコーチを行ったり来たり。2020年にライオンズで初めてDCになり、2021年から49ersで上記の役職についてます。
 なんとも評価に困る経歴です。カレッジで数年コーチ経験があったのに、NFLでポジションコーチに昇格するまで5年かかったり、DBコーチだったのに次のチームではアシスタントに降格していたり、キャリアで唯一DCだったときは史上最悪クラスのスタッツだったり。かと思えばイーグルスには2015年から2019年までずっとDBコーチ、優勝にも貢献しています。49ersD#の穴とされていたCBがいつの間にか改善されていたのも無関係ではないはず。
 Ryansが実質的なDCでUndlinは相談役かもしれません。なんにせよ2年一緒に仕事していたRyansから見てアリならアリなんでしょう、たぶん。

 49ersのDLコーチ、Kris KocurekもDC候補でしたがチームに残ることを決めたそうです。この記事を書いた直後に速報が入りました。書いた文章がもったいないので載せます。
 Kris Kocurekは44歳、テキサス州出身、大学はテキサステック。2001年に7巡で指名されプロ入り、シーホークスとタイタンズに在籍していましたが2年で引退しコーチに転身します。カレッジで経験を積み、2009年から2017年までライオンズ、2018年にドルフィンズ、2019年から49ersという経歴です。
 13シーズンの間DLコーチを務めているだけあって腕は確かなようです。テキサンズから49ersにトレードされたOmenihuは、Kocurekによる付きっきりの徹底指導を受けて「今まで出会った中で最高のコーチだ」と語っています。
 DLコーチ一筋だったのでDCとしての実力は不明です。ただ前述のようにRyansが実質DCかもしれませんし、であればリーグトップクラスのDLを作り上げたコーチを手元に置ける恩恵のほうが大きいはず←だったのになぁ残念。

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