第2週のあれこれ

 デンバーで行われたテキサンズ対ブロンコス戦は9-16でブロンコスが勝利。事前の予想ではテキサンズがハンデ+10と、惨敗予想でした。蓋を開けてみると、TDは両チームで1回だけという貧打戦。反則はテキサンズが8回(94ヤード)ブロンコスが13回(100ヤード)と、なんともぐだぐだな試合になりました。

ざっくりとオフェンスを振り返り 

 オフェンスはラン18回で80ヤード、平均4.4ヤードと昨年(平均3.4ヤード)から大きくジャンプアップ。Dameon Pierceが15回69ヤード平均4.6ヤードと躍進。最長で12ヤードとホームランは無いものの、コンスタントにボールを進めてくれました。来週こそはキャリア初TDが見たいですね。
 一方でパスはかなり苦しい状況。38回中19回成功177ヤード、TDとINTは0でした。兎にも角にも成功率が低い。第4QでTDが必要な展開となってパスが増えた結果として成功率が下がったのではなく、ゲームを通してパスが通らなかったです。それが度重なる3rd-downでの失敗を呼びました。3rd-down conversionを通過できたのは13回中たったの2回。オフェンスを継続する能力の欠如。またしても勝てるチャンスをふいにしてしましました。

パスに関するスタッツ

 この2週、なぜこんなにパスオフェンスが苦戦しているのか気になったのでPro Football Referenceでスタッツをチェックし、まとめました。が、酷な真実が明らかになってしまいました。

Davis Millsの成績

 まずスタッツの説明を。1D%は成功したパスのうちファーストダウン更新できたパスの割合。IAY/PAはIntented Air Yard/Pass Attemptで(成功失敗に関わらず)パスを投げた際にターゲットがスクリメージラインからどれだけ離れているか、パスの飛距離を示しています。CAY/Cmpはパス成功時の飛距離。YAC/Cmpはパス成功後ランアフターキャッチで稼いだ距離。DropsとDrop%は落球と全パスのうちの割合。ここでいう落球はキャッチできる範囲でボールを取りそこねることで、スパイクや投げ捨ては除かれます。レシーバーのミス。BadThはBad Throw、ワンハンドのスーパーキャッチでなければ捕球できないような悪送球、こちらもスパイクや投げ捨てはカウントされません。QBのミス。Bad%は全パスのうちの割合。Prss%は全パスのうちプレッシャーがかかってる割合。Comp%はパス成功率。xComp%はパスを投げた瞬間の状況から期待されるパス成功率、ターゲットまでの距離やディフェンスとの距離やパスラッシュのプレッシャーなど様々なデータから算出されます。
 
 目を引くのはBadThの多さ。昨シーズン66回だったのに、第2週だけで12回。捕れないパスをこんなに投げていたらそりゃ前に進めないですよ。どこに投げているのかというパスは開幕から見られましたが、数字にするとここまで多いとは。
 ドロップも多い。こちらは上記の通り、捕れるパスを落としてるのでBadThは無関係です。たった2試合で昨季の半分ですよ。信じられない。先日もドンピシャのパスをChris Mooreが落としました。22ヤードのゲインだったのに。Brandin Cooksも捕ったらTDだったのに。
 去年のComp%は66.8でxComp%は66.3でその差は0.5で、スーパープレイこそ無いが通してほしいパスは通してくれるQBでした。この数値だけ比べるとタイタンズのTannehillが同じくらい(0.3)しかし今年は56の66.2、その差は-10.2。これは相当ひどい数値で、二桁のマイナスはNFLで4人だけ。そのうち2試合通してプレイしたのはDavis Millsと、来週戦うJustin Fieldsだけです。Justin Fieldsは大雨の開幕戦がありましたが。
 第2週に限って言えば、パスが通っても効果は薄かったようです。CAY/Cmpが4.9と昨季の5.4よりも低い数値、成功したパスはショートパスが多かったようです。それはいいのですがYAC/Cmpが4.7→4.4と下がっているのが良くないです。ふつうパスが短ければキャッチ後にレシーバーが走ってヤードを稼ぎやすいものです。去年より数値が伸びないといけない。
 つまり今週のパスオフェンスは「成功率が低く、成功してもリターンが少ないプレイ」だったということです。
 またPrss%の数字から、ブロンコスのパスラッシュにタジタジだったことがわかります。なんとQB、レシーバー、OLの全てに問題があることがわかってしまいました。
 
 悲しいですがコレが現状。先週もそうですが、ここからどう変わるかがキモです。

気になったプレイの切り抜き

 このプレイでは大外からの2枚のラッシュでBrevin Jordanがガラ空きになってるのですが、カバーの厚いPharaoh Brownに投げています。
 今のDavis Millsはブリッツで空いたスペースに走り込むレシーバーに目を向ける余裕が無さそうです。相手からすれば、痛いしっぺ返しがないうえにプレッシャーで調子を崩しやすい。なのでブリッツをガンガン入れてきます。
 このプレイ自体は多くのチームが採用してるであろうメジャーなもので、右サイドをショートミドルディープの3段階で攻める良いデザインだと思います。

 テキサンズから見て右サイドの浅いゾーンをカバーするのがSFだとわかった瞬間、Dameon Pierceにジャストパスを投げています。ここはナイス判断。ショートパス(それとラン!)を通し続けることでディフェンスを前のめりにさせてディープにズドン、ができるといいんですが。

 最もTDに近づいた瞬間。Brandin Cooksを孤立させてアウトコースを走らせています。さすがのルートランでオープンになってます。Davis Millsの精度がもう少し良ければ、Brandin Cooksがキャッチできれば。エースWRを使ったゴール前の必殺プレイ、これは絶対に決めなければならないプレイでした。「あと少しが遠い」今のテキサンズを象徴するようです。

 左サイドのプレッシャーから逃れながらのパス。走りながらなので精度が落ちています。こんなに横に流れる必要は無かったです。しっかり両足をついてのスローであれば成功していたんじゃないでしょうか。

ざっくりとディフェンスの振り返り

 ディフェンスはもう本当にざっくりです。
 ランは31回で149ヤード、ずいぶん走られました。あまりにひどいランディフェンスにショックを受けてました。DLが左右に振られてぽっかり空いた穴を、プルしてきたOLとRBが走ってくる、LBはブロッカーを外せず、SFがタックルする、ブロンコスが5ヤードゲイン。序盤からこういう感じでした。ランが止められずゲームが進むにつれ焦りが生じたのか、LBが突っ込みすぎることが多くなりました。するとスクリメージラインで大きな団子ができて、RBがカットを1つ切るだけでビッグゲインに繋がっています。来週戦うベアーズのランオフェンスは強力です。不安です。
 パスはRussell Wilsonが31回中14回成功219ヤード1TD1INTと平凡なスタッツ。ただしCourtland Suttonが7キャッチ122ヤードの大活躍でした。Derek Stingleyが主にマッチアップしていましたがかなりやられてしまいましたね。ついていくので精一杯といった印象を受けました。とはいえ、ルーキーはどこかで必ずプロの洗礼を受けるもの。心配はしていません。あのJaire Alexanderだってルーキー時代に10キャッチ111ヤード1TDを許した試合があります。
 疑問に思うのが第4Q最初のプレイでのパスカバー。3rd-16がSuttonの35ヤードレシーブで攻撃継続、その後TDされます。Lovie Smithは試合後の会見で「あの状況で許してはいけないパスだった。この試合で最も落胆したプレイの1つ」としています。あのときはタンパ2でした。前半にINTしたときもタンパ2でしたが、奥に絶対通したくないあの場面ではカバー4や6の方が無難だったんじゃないかと思います。Suttonが走ったコースって、先週のJerry JeudyのTDパスと同じじゃないですかね。
 一応Next Gen Statsのトラッキングを載せておきます。

 そういえばRussell Wilsonのスクランブルを2回3ヤードに抑えたのはナイスです。3メンラッシュ+Spyで対策してる場面もありました。まぁ相手もさらに対策して、じっくりポケットに留まってレシーバーが空くのを待っていたりもしましたが、それはそれ。

ルーキーのナイスプレイ集

 なんだかガックリきたので新人たちの良かったプレイを切り抜きました。

 これはDameon Pierce(RB 31)とKenyon Green(LG 59)。猛牛のようにアンストッパブルなPierceと、DL・LB・DBを順々にブロックするGreen。

 こちらはDameon PierceとTroy Hairston(FB 34)。Troy Hairstonの神ブロックで11ヤードのランを演出。このコンビは本当にエネルギッシュでガッツがあふれていて見てて楽しいです。Troy Hairstonは別のプレイでも激しいブロックをかましていて、プレイ後にディフェンスとちょっとにらみ合ってました。手やら口やら出さないうちは全然OKです。オフェンスを盛り上げていってほしい。

 Derek Stingley(CB 24)の強烈なタックルでパスインコンプリート。タックルを恐れないところが好きです。ランに対してもしっかり腕を回してタックルできます。場合によっては外側をジリジリと詰めて、味方のいる内側にカットさせたりします。パスターゲットになることからタックル数は多いんですが、ミスタックルは今のところ0です。
 彼だけでなくSteven Nelsonなど、テキサンズのDBはタックルが上手いと思います。 

 Thomas Booker(DT 56)がキャリア初タックル、めでたい。次は初サックに期待してます。

 Kurt Hinish(DT 93)がTFL!ルーキーらしい運動量の多さでフレッシュ獲得させず、ブロンコスはFGを選択しました。

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