テキサンズのコーチ人事

 コーチが決まってきました!イメージしやすいように顔写真も載せました。いずれチーム公式サイトに載りますけどね。証明写真じゃなくてちゃんとカッコいいやつを探しましたよ。

決まったコーチたち

OC Bobby Slowik

 OCは49ersのパスゲームコーディネーターだったBobby Slowikに決定。テキサンズはカーディナルス元HC、Kliff Kingsburyとも面談していました。そちらも魅力的でしたが、DeMeco Ryansに馴染みのコーチを優先しましたね(なんと贅沢な選択肢!)
 以前の記事で紹介したので彼の経歴については細かくは書きませんが、2017年に49ersでコーチとしてのキャリアをスタートし、着実に地位を向上してきた有望な人材です。と同時にRyansのコーチとしての同期でもあります。Ryansは49ersを離れてHCに初挑戦するわけで、そのチャレンジの相方としてSlowikを選んだのであれば、僕もファンとして彼を信頼したくあります。
 49ersのオフェンスはQBの理解力が試されると聞きます。しかしBrock Purdyの活躍を見るに、QBに特別な才能を要求しないオフェンスとも思います。ランアフターキャッチの獲得ヤードがリーグトップというのも魅力的。ナイスな人選だと思います。

ランゲームコーディネーター Klint Kubiak

俳優のRyan Reynoldsに似てません?デッドプールの。

  ランゲームコーディネーターはブロンコスの元QBコーチ兼パスゲームコーディネーターのKlint Kubiakに決まりました。名前で察した方も多いと思いますが、テキサンズの元HC Gary Kubiakの息子です。当時Gary KubiakがOCとしてMike Shanahanを、その息子Kyle ShanahanをWRコーチとして起用しました。17年後、Kyleの下で働いてたRyansの部下として、Gary Kubiakの息子Klint Kubiakがテキサンズに雇われる…おもしろいですねぇ。
 35歳、カレッジではコロラドステートでSFとしてプレイ、シュラインゲームでプレイしたそうですがプロにはならず卒業の翌年からコーチをやってます。テキサスA&M(父親の母校)で3年過ごし、2013年からNFL入り。バイキングスとブロンコスを行ったり来たりし、合わせて8年NFLでコーチしてます。
 ランゲームの方かぁ、というのがまず思ったことです。2021年にバイキングスでOC、2022年にパスゲームコーディネーターを務めました。ランゲームコーディネーターは初めてのポジションになります。ポジションコーチもQBとWRで、RBやOLではなかったのでこの人選は少し意外でした。
 Zimmer時代のバイキングスも昨年のブロンコスも、昨年のテキサンズとは違うランオフェンスでした。Dameon Pierceと相性がいいとは思わないのが、ちょっと心配です。

QBコーチ Jerrod Johnson

一番左がJerrod Johnson

 QBコーチはバイキングスのアシスタントQBコーチ、Jerrod Johnsonに決定。彼のことも以前の記事で書きました。OCの面談と並行して「シニアオフェンシブアシスタント」候補として面談していました。OCやパスゲームコーディネーターの可能性もありましたが、普通にQBコーチとしての採用となりました。Klint Kubiak同様、Bobby Slowikと同日に採用されました。テキサンズ新コーチ陣の中心人物の1人になります。

OLコーチ Chris Strausser

 OLコーチ。George Warhopから新しいOLコーチへと移行しました。Strausserは2019年からコルツでOLコーチをしていました。59歳となかなかのベテランのStrausser、コーチとしてのキャリアは33年にもなります。1989年から2016年まで主にOLコーチとしてカレッジのいろいろなチームを転々とし、2017年にブロンコスで2シーズンを過ごしました。
 パワー5やグループ5、FCSなど幅広いレベルで指導した経験は長所だと思います。教え子に2014年にブロンコスに6巡で指名されたMatt Paradisがいます。スーパーボウル優勝にも先発として貢献しました。カレッジでStrausserの下DLからOLにコンバートし、ドラフト指名がかかるレベルに成長しました。本人の素質だけでなくStrausserによるところも大きいと思います。Paradisはカンファレンスのセカンドチームに選ばれています。 
 懸念はコルツのOLコーチだったこと。コルツのOLはリーグでも有数でしたが、Strausserが就任した2019シーズンをピークに年々実力が落ちています。Anthony Castonzoの後継は固まらず、Quenton NelsonとRyan Kellyはタレント力(と知名度)で2021年もプロボウラーでしたが2022年はどちらも目立たなかったです。 
 僕はWarhopを気に入っていたのですげ替えられたことに不満はありますが、チームの判断を信じます。

DC Matt Burke

一番左。指導してる相手は我らがレジェンドJ.J.Watt

 DCはカーディナルスの元DLコーチ、Matt Burkeです。これで46歳だそうですけど、いったい何歳からヒゲを伸ばしてるんでしょう。立派なおヒゲ。DC探しの初期段階では名前はあがっていなかったはずです。
 キャリアは長く、1998年からコーチをしてます。主な経歴はライオンズとベンガルズとドルフィンズでの計8年間のLBコーチ(2009〜2016)、ドルフィンズで2年間DC(2017〜2018)、イーグルスとカーディナルスでの計2年間のDLコーチ(2020、2022)ですかね。Ryansの元上司Robert Salehと共に働いたこともあります(2021年、ゲームマネジメントアシスタント)
 彼がDCだったときのドルフィンズについてですが、正直良くはないですね。ディフェンスDVOA28位と26位、2シーズン通しての1試合平均失点は25.8点は不安になる成績です。HCが悪名高きAdam Gase(変顔の人。画像検索してみてください)だったので酌量の余地はありますけど。2018年のドルフィンズといえば、Xavien Howardが7INTの大活躍でしたからネガティブばかりではないです。
 DCとしての起用ですが、実質的にディフェンスの指揮を取るのがRyansでBurkeはその補佐、という形なら心配はいらないと思います。経験豊富な人物で脇を固めたということで。
 昨年のカーディナルスDLといえば(もちろんWattが一番ですが)Zach Allenという選手が気になります。6-4、281ポンドの元3巡、先発に昇格したここ2シーズンでは3-4DEながら9.5サックを記録してます。Ryansが指揮した49ersディフェンスはDLにスピードを求めるスキームでした。300ポンド以上の大型DLをほぼ使ってません。Allenを3テクDTにコンバートさせるのはアリだと思います。Allenはルーキー契約が終了しFAになります。

ディフェンシブパスゲームスペシャリスト Cory Undlin

かっこよすぎ。こんな歳の取り方したい。

 またしても元49ersです。が、契約切れ&更新なしのフリーランスだったので引き抜きではないですよね、厳密に言えば。同ポジションとセカンダリーコーチを兼任してました。テキサンズでもセカンダリーコーチと任されると見られています。
 テキサンズのDC候補でもありました。先日の記事に経歴を軽く書いてます。個人的にDCとしてはイマイチに見えてたのでこのポジションでの起用はナイスです。
 49ersのスタッフが多いのは、Ryansの人柄やコーチとしての実力が同僚から高く評価されている証拠だと思います。誰だって嫌な奴の下で働きたくないです。すぐに解雇されそうなHCに付いていったら近い内に再就職先を探すことになるでしょう。いろいろな意味でRyansに信を置くからこそ人がついてくるんじゃないでしょうか。

LBコーチ Chris Kiffin

 LBコーチはブラウンズの元DLコーチ、Chris Kiffinに決まりました。Monte Kiffinの息子、Lane Kiffinの弟です。41歳、長くカレッジでコーチングしていました。2017年にフロリダアトランティック大学(初見ですがFBSです)でDC兼LBコーチをした後、2018年以降はNFLでコーチをしてます。2018年から2年間49ersでパスラッシュスペシャリストを、2020年から3年間ブラウンズでDLコーチを務めました。
 ブラウンズは先月Jim Schwartzを新DCとして起用し、ディフェンス再編の真っ最中です。そのためKiffinがフリーになりました。ちなみにブラウンズはMatt BurkeをDLコーチとして起用したがっていましたが、カーディナルスが面談のリクエストを拒否したため実現しませんでした。
 テキサンズのLBコーチはLovie Smithの息子が務めていました。父親が解雇され後任は必須だと思ってましたが、Chris Kiffinをコンバートするとは驚きでした。DC経験者ですし、LBコーチも経験済みなので問題は無いはず。むしろ昨年のDLコーチJacques Cesaireを残留できることが大きい。ナイスな人選です。
 Chris Kiffinで画像検索するとエネルギッシュな彼の画像がたくさん見られるのでオススメです。南部のフットボールガイって感じです。
↓オールミス時代の動画を偶然見つけたので貼っておきます。情熱的。

 余談ですが、ブラウンズのDLといえば2021年から2年間Jadeveon Clowneyがいました。FA市場に出てくるでしょうけど、2022年のClowneyはパフォーマンスも悪ければ態度も悪かったので、KiffinとClowneyが同じチームになることはないでしょう。

SFコーチ Stephen Adegoke

 ビルズに引き抜かれたJoe Dannaの後任が決まりました。Stephen Adegokeにとってこれが初めてのポジションコーチ就任となります。
 Adegokeは2014年から2018年までの5年間カレッジでプレイ、初めの2年はコミュニティカレッジで、転校して最後の3年間はミシシッピステートでした。3年間カレッジでアシスタントを経験した後、2022年49ersにディフェンシブクオリティコントロールコーチとして雇われました。ディフェンシブクオリティコントロールコーチからたった1年でポジションコーチに昇格…数え間違いでなければまだ25歳のはず。「大丈夫か?」と思う反面、DeMeco Ryansと同じ経路ではあるんですよねぇ(たった1年でインサイドLBコーチに昇格)。この決定についても、1シーズン見続けたRyansの判断なら信じることにします。

チーフスタッフ Nick Kray

 通称DJ Kray。49ersでチーフスタッフだった彼を同じポジションで採用しました。誰だ?って思いましたけど動画を見てすぐピンときました。49ersが入場するときにスピーカーを肩に担いでた人なんですね。

 特注のスピーカー、ということはテキサンズ仕様のを発注するんでしょうか。音無しで見ると新宝島みたいですね、サカナクションの。
↓練習場でも!

 チームの雰囲気ってダイレクトに士気やパフォーマンスに影響すると思ってます。こういうノリが許容されるカルチャーが輸入されるのは大歓迎です。
 Krayはカレッジの元選手で元コーチでもありました。現役時代はイースタンイリノイでDE、2シーズンチームキャプテン。卒業後は同大学でDEコーチ、NCステートやイェールでフットボールオペレーションディレクターなどを務めています。
 コーチングよりもフィールド外(練習や遠征のスケジュール管理、活動の予算やリクルートやスタッフの契約などの書類事務)での仕事で頼りになる人間だったようです。2017年からはHC付きの事務アシスタントとして49ersに雇われていました。いわゆる「わからないことがあったらとりあえず聞く人」「いい感じにしておいて、で通じる人」でしょうね。たぶん「アレどこやったっけ」で通じるはず。

それとSTC(スペシャルチームコーディネーター)はFrank Rossが残留しました。めでたい。

まとめ

というわけで現状は以下の通り。

 CB(セカンダリー)コーチはCory Undlinが兼任する可能性が大きいので、ディフェンスの主だったポジションはほぼ決まりでしょうかね。あとはオフェンスのスキルポジションコーチがどうなるか。
 Ryansは就任会見で「多様性のあるスタッフで固めたい。人種的な意味だけでなく、キャリア的にも」と語っています。現時点では海千山千のベテランが中心で、Jerrod JohnsonやStephen Adegokeのような挑戦的な人選がちらほらという印象です。
 シーズンが終わって、地区ライバルのコルツやカーディナルスのHCも決まりました。テキサンズはかなりトントン拍子で採用が決まっているので他の再建チームより一歩リードしてるはずです。いっそのこと彼らが欲しそうなイーグルスのスタッフからオフェンスのコーチを引き抜いても面白いですね。
 他のポジションも決まり次第記事にする予定です。


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