読まずに批判するのもどうかと思って

清水晶子「フェミニズムってなんですか?」を読んだ。
正直、この10年で一番しんどい読書であったが、批判したいならばある程度対象を認識するべきだと思って読んだ。
現役の東大教授でフェミニズムを専攻している人の本を読めばまあおおむね間違いはないだろうと思ってのことである。

フェミニズムには、結局のところ、場当たり的修正理論といった印象しか受けなかった。
子供を産むのは女性しかできないし、生理があるのも女だけだ。
力も男より弱い。
そういう否定できない前提をうまい具合に回避して、ないものねだりの欲求を語るだけ、という印象は避けられなかった。

個人の選択どうこうという理屈で、結局は一つの理論になっていないだろう。

社会運動としてそういうものが存在することは結構なことであるし、女の人が賃金低いのも統計的に明らかであるし、選択的夫婦別姓など導入するべきものもあるのであるが、フェミニズムは社会運動なのだろうなあ。

フェミニズム自体には、これ以上、人生の大事な時間を使いたくないなあと思った次第である。自由とか平等とか、そういう基本的な共有する価値を深めることが大事なのではないか。「私がどう生きるかは私が決めることであり、貴様らを無視することも自由である」ということをフェミニズムは忘れている。バックラッシュがおこるのも当然であろう。

なお、清水晶子先生の「フェミニズムって何ですか」自体は、フェミニズムの概要を短時間で確かめることができる名著だと思います。さすが東大の先生は素晴らしいです。尊敬。

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