見出し画像

高架線と思わぬ出来事


まだまだ不慣れだけど つらつらと日々の出来事を書いてみようと思う

昨日は週末恒例の近くの図書館へ 先に着いてシーラッハの『珈琲と煙草』を再読していた彼の隣に荷物を下ろす 天気予報で大気が不安定だと聞いていたのにどんどん雲行きが怪しくなり雷が鳴ったかと思うとザーッと降り出す 鞄からメガネを取り出しかけてみると なんとなく変な匂いがするので 「なんかこのメガネカブトムシの匂いがする」と手帳に書いて彼に見せると「ウヒョー」という反応

ウヒョー 洗濯物もびしょ濡れになったけど 滝口悠生の『高架線』を読了
自分が思っていた性別と言葉を交わしていた人間が違う性だったという経験は何度かある とあるsnsで知り合った春香ちゃんもその一人で コメントの交換を何度かするうち仲良くなった
彼女は手作りのアップルパイまで自宅に送ってくれた シナモンの香りが少しきつかったがとても上手に焼けていた しばらくして春香ちゃんが男の子だと知った
桜塚やっくんのプロモに出ることになったと喜んでいた
やっくんの後ろで踊るとかいう話だった 
そんなことを思い出しながら読み終えた 滝口悠生さん初読みだったが楽しく読んだ

ふと昔知り合った色々な人の名前を検索してみた
もしヒットしても同姓同名の人もいるだろうし そんなに簡単にはいかないだろうと
思いつつ 10代の頃に少しだけ付き合った人の名前を検索したらiPadには明らかに見覚えのある大鶴義丹似の彼の画像が表示されていた
一瞬 心臓がぞわっとした iPadで普段見ている世界はどこか自分のいる生活とは違う世界だと感じていたのに 自分の知っている人が瞬時に表示される その地続き感にたじろぐ
なんでもその元カレは今ではある会社のCEOということらしかった

高架線のある駅ではない、ホームとホーム越しに手を振りあい
それぞれの高校へ向かう たわいもない朝を何度か重ねあった
ある朝 私は彼とはぐれたふりをして彼の姿を見送る事なくホームをあとにして改札口を出た
いきなり肩を掴まれ振り向いてみたら彼だった
わざわざ改札を抜けて追いかけてきてくれて「どうかした?」とまっすぐな瞳で見つめられた
なんのことはない ほっぺにできたニキビが恥ずかしくて その日は会うのが
躊躇われのだがその事は言えなかった
ニキビのことなんて まるで気にしてなさそうな彼のひたむきな眼差しが眩しすぎて
この人は自分が思うより私のことが好きなのかも知れないと思った

iPadに突然表示された元カレの顔は やはりあの頃の面影が紛れもなくあって
私は隠し事がバレた子供みたいな気持ちになっている




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?