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知っておきたい、有価証券の相続

国債、株式、投資信託などなど…
総じて”有価証券”と呼ばれるものに
心当たりはあるでしょうか?

副業感覚や財産を増やす目的など
様々な動機で手をつける人がいます

ではそれらの有価証券は
相続財産となった時にどんな問題点や
注意点を含んでいるのでしょうか?

亡くなるまで保有したままで大丈夫なのか?
名義変更のための前準備はあるのか?
どんなトラブルが予期されるのか?

今回はそんな有価証券の相続についての
様々なケースを書いていきます

亡くなる前に気になっていても
わからないことが多いと手が出せません…

当ブログはそんな方に向けて
まずは”本当の基礎”から書いていきます!



《自分名義のままで大丈夫》

結論から言うと、有価証券は
亡くなる時まで保有していても大丈夫です

その存在さえハッキリしているならば
相続財産として計算されるだけなので
通常の預貯金などのように
口座番号などの情報を書き残しておくだけです

しかしあとからあとから
有価証券の存在が明らかになったりすると
そのたびに計算し直し、協議し直し、
手続きもやり直しになる可能性があります

保有している有価証券についての情報は
生前整理として目録に書き出すのがよいでしょう

また複数の証券会社で投資をしている場合は
なるべく一本化しておいた方が
相続手続きの手間が減ります

相続の手続きに必要な書類は証券会社事に異なり
つまり相続する人達がその分だけ
負担を負うことになるからです

また相続財産である証券会社の口座を
相続人が持っていない場合は
相続時に新しく口座を開設しなければなりません

目録に書出すことや情報の共有が
トラブルを防ぐポイントであることがわかりますね



《具体的にはどんな手続きがある?》

有価証券の相続とは具体的に
どんな流れを踏むのかをみていきましょう

また株式には上場株式と非上場株式があり
それぞれ手続きが異なります

①国債、上場株式、投資信託

まずは遺産分割協議
相続が発生した時に必ず起こる話し合いですね

遺言書で指定された人が相続する、
換金して複数人で分割相続する、
代表1人が口座1つを丸ごと相続する、

などなど話し合って決めていきます

その後が売却であろうと名義変更の手続きをします
有価証券は故人名義のままでは売却できません

いったん代表1人が相続して売却するか、
複数人で相続するために換金するかなど、
名義変更をする必要があります

相続人が決まったら証券会社で
名義変更の手続きを行います 

遺言書によって相続ではなく”遺贈”された場合は
遺贈された人が手続きを行わなければならないため
法定相続人以外の人に連絡をすることも
あるかもしれませんね

②非上場株式

こちらの場合は株式を発行した
会社の規定に従った手続きになります

遺産分割協議の前に税理士や会計士といった
専門家によって株式の価値を確定し
どのぐらいの相続財産なのかを割り出します

そしてそれを含めた相続財産の
遺産分割協議を行い、相続人を決めたら
名義変更→相続税の申告→納付です

つまり口座を相続するのではなく
どの株式、もしくはどの割合を相続するのかを
細かく決めなければならないのです

非上場株式には取引相場がなく、
評価額の算定も複雑です

専門家に頼らず売却や譲渡をすると
贈与税や所得税の対象になることもあります

また発行会社の規定によっては
相続人に株主を継がせることはなく
会社が買い取る規定を設けていることもあります

非上場株式の場合は
やはり専門家を頼りながらというのが
確実な手になりますね


《複数の相続で分割したい有価証券は?》

兄弟姉妹や配偶者と子どもなど、
相続人が複数人いるケースは多く存在します

そんな時は有価証券も分割したい…

でも口座の名義は1人だから分割はできないのか?

そんなことはありません

分割の方法は主に3つあります
それぞれのメリット・デメリットも併せて
みていきましょう

①現物分割

相続人たちが株式などをそのまま分割します

証券口座や名義をわけるだけなので
国債や株式を直接保有することになります

保有した有価証券を売却するのも運用するのも
分割された相続人の自由というメリットがあります

故人の保有分をまるまる1人に
相続しなければならないわけではないのです

ただし株式の価値などは日々変動します
公平に分けるということが難しいのはデメリットです

②代償分割

相続人のうちの1人が代表相続人として
有価証券を相続し、他の相続人に対して
法定相続分相当の代償金を払う方法です

現金化したい相続人がいる場合や
分割割合の公平性がメリットですね

しかし代表相続人となる人には
代償金を賄うだけの資力が必要です

有価証券の代償金となると高額な場合もありますから
そこはデメリットといえるでしょう

③換価分割

こちらも代表1人を決めて代表相続人とし
名義変更を行ってしまうところまでは
②の代償分割と同じです

しかし換価分割の場合は名義変更後に
有価証券を売却してしまい現金化する方法です

公平な分割、相続税にあてられるなど
メリットが目立つ方法ですが

売却には相続人全員の同意が必要ですし
売却に伴って課税される可能性もあります

以上3つの分割方法ですが、
すべて譲渡所得税の対象になるため
確定申告の上で納税義務が発生します

※2023年1月時点

納税分について詳しく知りたい、
なるべく損益を出したくない場合などは
専門家に聞きながら進めてもよいでしょう



《まとめ》

いかがでしょうか

なににおいても生前整理で
正確な財産目録を作成しておくことが
相続トラブルを防ぐ1番の方法です

隠したい情報の隠し方や
死ぬまで知られたくない口座の存在などは
また別のブログで書かせていただきます

そして複数の相続人がいる状態での
有価証券の遺産分割協議は荒れやすいです

現金化したい人、そのまま運用したい人、
損が出るかもと判断がつかない人、などなど

相続人が有価証券に詳しいとは限りません

現金化することで防げるトラブルはありますが
その前に話し合いの場を設けてみることも
生前整理の1つでしょう

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