絶対に幸せになってほしい君へ


今から1ヶ月程前、私は衝動的にある人へ最初で最後になるであろう手紙を書いた。ある人とは、Love-tuneの安井謙太郎君である。私は彼のJr.人生の全てを追いかけてきたおたくではない。正直に白状するならば私はずっとデビュー前からKAT-TUNを追いかけ続けてきたはいふんだ。そんな私が自担にでさえ一度も書いたことのない手紙を安井君には書いた。何がどうなって筆を執ろうと思い立ったのかは今になってみれば自分でもよくわからない。それでもあの時は必死だった。必死に安井君への感謝と想いを伝えなければならなかったのだ。


そもそもなぜこんなタイミングでLove-tuneの沼に転げ落ちたのか。ずっとJr.になんてハマらないと思っていたのに本当に自分でも不思議でならない。皮肉にも私が本格的に彼らを意識したのがあの11月30日の退所発表からだった。もちろん、Jr.に疎い私でも安井君をはじめとするメンバーの存在やLove-tuneの存在は把握していた。それにしたって出会うのが遅すぎたでしょ。遅すぎたというか出会ってはいたのにずっと見向きもしなかったのがもうすでに無理しんどい。そんなどうしようもない一方的な想いを抱えたまま深夜に動画を漁ってはタラレバを浮かべて泣くという情緒不安定すぎるおたくになった。いつしか安井君を見るだけで深夜に号泣している自分が現れた時はもはや笑った。いや、まったく笑えない話である。


Jr.の世界はドラマチックと言えば聞こえはいいが、とても無常な世界だと私は思う。KAT-TUNのようにJr.時代に結成されたグループのメンバーが変わることなくデビューまで辿り着ける者達もいれば、何度も何度も解体され組み直される事もある。デビュー組でさえ永遠の未来なんてものは保証されていない。Jr.の世界はそれ以上に厳しいのかもしれない。第一線で闘い続ける精神力やそれに伴う確かな技術や魅力を盾に彼らはデビューへの切符を手にする順番待ちを続ける。どんなに人気があろうと、どんなに歌が美味かろうと、どんなに魅力的なダンスが踊れてもある日を境に突然、仕事がなくなる事もある。そんなギャンブル漬けのような毎日を生きている。それは彼らも同じだった。無所属で同世代Jr.が次々とグループを組んでも安井君はずっと1人だった。私の認識では安井君はいわゆる出来る子だ。歌も踊りも芝居もMCも全てをそつなくこなし、頭のキレのいい頼れるお兄さん的な存在。1人でも十分闘えたからずっと選ばれなかったのかもしれないが、そんな安井君が選ばれたのがLove-tuneだった。


たった1000日、されど1000日のグループ。その1000日に彼らは大きな夢を掲げ未来を見据えた。そして、個人個人の確かな実力と人気で単独ライブも成功させた偉大なグループだと思う。そんな彼らが全員一緒に事務所を去る。本当にこの世に永遠も絶対もないのだと何度目かの学びだった。この世には信じられないことや自分に一切縁がないと思っていたことがきっとたくさん転がっている。今回の件もそのまさかのひとつに過ぎない。しかし、彼らには前兆があったのも事実だった。あんなに人気も実力もあった彼らの仕事が次々に奪われていく。きっとずっと追いかけ続け待ち続けていたおたくには地獄のような時間だっただろう。少クラも雑誌もコンサートも全てをじわじわと、そしてある日突然奪われる。こんな違和感だらけの状況を疑うなという方が酷な話である。何が彼らを退所にまで追い込んだのかなんてわからない。きっと今後もわからないだろう。世間では契約問題だとかタクチケだとか色んな噂が流れたけどどこまで本当でどこまで嘘かなんてわかるはずがなかった。


発表後のらじらーで、いつもはあんなに頭がキレて喋りも上手なあの安井君が時折声を詰まらせながら現実を話してくれた。彼らの事を何も知らない私はそんな安井君の声を聞いて泣いた。自分でも驚くほど泣いた。残酷な事実を聞かされているのに、あんなに名前を出す事も許されなくなっていたのにたった一言、安井君の口から出たLove-tuneという名前と、それに続く感謝の言葉にどうしようもなく救いを感じてしまった。遠くから眺めていた私がなぜこんなに泣くのかも、どうして今更彼らの魅力に出会ってしまったのかももうよくわからなかった。私はきっと、心の中のどこかで永遠はないと知りながらもないものねだりで永遠を夢見ていた。安井君がまさかデビュー出来ずに事務所を去る未来がくるなんて思っていなかった。あんなに出来る子が、あの時代の第一線でずっと1人で、いつしか仲間が出来て全力で走り続け牽引してきた安井君程の優秀なJr.がまさかこんなことになるなんて。進学という一つの可能性を捨てて、人生をかけて勝負に挑んだJr.の世界の終わりがくるなんて。100歩譲ってデビューが出来なくたってずっとジャニーズにこだわり続けるものだと思っていた。なぜこんな未来が訪れたのか誰か教えて欲しい。


安井君だけ、この春までジャニーズJr.だった。他のメンバーが先に事務所を去り、新たな仕事を掴み取った者もいる。全員一緒に退所を選んだ宿命とも言える彼らが掴みたかった未来はなんなのか。安井君が今後合流するのかはわからない。私は身勝手なおたくなのでそうであってほしいと願わずにはいられない。


今日のらじらー最終回を聞いてやっぱり私は安井くんの偉大さに気付かされてしまった。最後の最後まで、私が大好きな安井くんだった。だって事務所を去る人が最後にかける曲に勇気100%を選んだ理由が『ジャニーさんの作る世界が好きだから』だなんて信じられる?????こんなこと普通に言えちゃうの凄くないです??????もう最後の最後まで立派すぎてさらに好きになってしまった。しっかり手塩にかけて大事に大事に育ててきた優斗くんが泣いちゃって育ててもらったと感謝を述べても、安井君は最後まで育ててないよ、と優斗君の実力でここまで立派になったことにしてくれるあたりも本当安井君らしくて微笑ましかった。安井君はもうしっかり前を向いているんだね。人生まだまだ長いもんね、これからもっともっと楽しいことも見つけられるし、幸せだって訪れるよね。我儘を言えるのならば、また7人で夢を掴み取りにいく姿を見たいよ。でも、どんな道を選んでもあなたの幸せを案じてしまうのだけは許してほしい。もういらないよ、こんなに抱えきれないというくらいたくさんの溢れんばかりの愛をあげたいよ。幸せな優しい世界に導いてあげたいんだよ。


こんなに短期間しかあなたの活躍を見守れなかったけど、ジャニーズJr.の安井君、ありがとう。長い間お疲れ様でした。衝動的に書いた手紙は結局出せないまま未だに私の手元にある。勇気が出ないおたくでメソメソしてしまってごめんなさい。この手紙は、そっと私の心にしまうね。


そして、これからの安井君。


絶対絶対、幸せになってね。

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