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色によるMV考察あれこれ

燃えよの赤いコートを見てから、藤井風にはどんな色が似合うかとか、あのMVではどんな色の服を着ていたかどうかとか、何故か急に気になり始めた。

Twitterでポツポツ呟いたものをまとめておくことにする。今回取り上げるMVは、何なんw、青春病、燃えよの3本。

何なんw 黒

最初のMVが何とニューヨークロケであった企画外の新人が、藤井風なのである。俄然ここでは都会的な黒を、洗練された雰囲気で着こなしている。黒とは、強いパワーを持ち、厳格で重厚、かつ高級な色である。そして、ここでは不安と恐怖に怯える悪の闇に容易く堕ちそうな主人公の弱さも示している。ハイヤーセルフが白で、他の人々も白なので、黒を身につけた主人公が目立っている。このコートは敏腕マネジャーが自ら用意し、その他の登場人物の衣装も、スタイリストをつけずに自前で用意したそう。つまり、カラーを決めたのは、マネジャー河津と言うことになる。色の持つテーマが見事に曲の内容とリンクしているのは、決して偶然ではないだろう。

青春病 どどめ色、青

どどめ色、これは色ではない。存在しない色。私の知る限りでは、この色はカラーサンプルには存在しない。だから、このMVのカラーは、実際に藤井風が身につけている服の青。海の青。青春の青。ここでは、若者特有の憂鬱、悲しみや幸福、平和、なにより未来への希望や仲間への信頼性を示す青がテーマカラーである。クールで爽やかなカリスマ性を、青を身につけた藤井風が見事に熱演している。そして、このMVのBTSからも、藤井が全身で感じ演じた役に現実が絡み合い、彼自身にも、実際にその場で生まれた悲しみのブルーが見てとれる。

燃えよ 赤 極彩色、ブラウン、白

そして、今回の最新MV、燃えよでは、赤からすべては始まる。赤子の赤。血液の🩸赤。情熱的で、ハレの日には相応しい目立つ色。正義を守るためには、時に怒りの赤。力強く太陽のように生命力の象徴でもある赤。魔除けでもありエネルギーの塊。赤いコートに赤いパンツ、赤い靴を身につけた藤井風が水に沈み、その後のアンダーワールドでは極彩色の飾りを身につけ、狂ったように歌い踊る。この踊りは火の隠喩。中心にいる藤井風からは強い風が吹いていて、風を受けた焔はあたりの枯れ葉を燃やしながら次第に大きくなり、それと同時に、周りの人々の心にも火が次々と点けられていく。
その後、浄化が済んだのか、白の衣装になり、涼しい顔でもといた渋谷の街に消えていく。思わせぶりなウインクをしながら。白とは、何なんwではハイヤーセルフの神聖な色であり、ここでも、水ぜめと火や踊りによる通過儀礼を経て、ある種浄化がなされた後の、清潔でクリーン、シンプルでやや冷たい白紙としての自分に戻っていることを示す色として捉えて良いと思う。極彩色の飾りの下は、ヌードではなく、ブラウンの樹木のような柄の衣装。ブラウンとは、控え目であるが安心できる落ち着いた格調高い贅沢な色であり、そこには、円熟みとか、渋さが垣間見える。MVでの藤井風は、冠を身につけ、森の王のようでもあった。

このように、色の持つイメージからMVを読み解いてみると、イメージカラーによる藤井風の戦略が垣間見え、非常に興味深い内容となっている。

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