【おそらく詩】母

爪を噛む癖が昔からないこと ありがとうと伝えること。
鉛筆を噛まないこと ごめんねと言うこと。
目を擦らないこと 幸せになること。
ソファで二度寝をした日のまな板のアラーム
お風呂上がりの太陽の匂い
家出した日に初めて聞いた怒鳴り声。

いつものジャンパー、新しいバッシュ
いつもの唐揚げ、また新しい服
いつも多めの朝ごはん。残りを食べてた

愛された分だけ優しくできた
愛された分だけまた愛をもらった
返し忘れても笑ってくれるから
それでもいいのかと思ってしまった

愛された分だけ 僕は辛かった
愛された数だけ 嫌われたくなった
死にたいと言った日の悲しそうな顔
いつものワガママはこの日は弱かった

3つ入りのアイス 二つはもらった
眠れない夜は 抱きしめてもらった
しょうもない話も 喜んでくれた
怒った時は ぶつかってくれた
怪我をしたときは 俺より痛そうで
しゃがれた腕が 強そうに見えた

いつからかあなたは小さくなって
しわが増えたとしても
胡麻塩の髪なびかせていてね
僕の中ではいちばんのヒーロー

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