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ゼウスが愛した女性たち①:メティス(智恵の女神)

ゼウスの最初の妻は、智恵の女神・メティスと言われています。
彼女は3,000人いるというオケアノスとテテュスの娘オケアニデスの1人であり、タイタン神族でした。
アテナ(知恵・工芸・戦略の神)の母でもあります。

クレタ島で育てられたゼウスは、成人すると母レアとメティスと共に、食べられた兄姉たちの仇を打つことにしました。
これが、全宇宙の支配権を巡る戦争である、ティタノマキア戦争です。

メティスはゼウスに嘔吐薬を作るよう命じられ、メティスは自分の作った嘔吐薬をネクタール(神酒)に混ぜてクロノスに飲ますことに成功しました。そして、ゼウスは吐き出された兄姉たちと力を合わせ、戦いに勝利しました。

その後、神々の王となったゼウスはメティスを妻として迎え入れました。
妻というよりも…
メティスはゼウスから逃げ回っていた際に子を身ごもってしまいました。
このことを知ったガイアウラノスは、『メティスの子はゼウスよりも聡明で剛毅であり、もし男児であったらゼウスの地位を脅かす存在になるであろう』と予言しました。

そのため、ゼウスは祖父ウラノスや父クロノスのように子に権力を奪われることを恐れて、
「どんなものにでも変身できるのなら、水に変身してみせよ」
と、逃げ回っているメティスを挑発しました。

挑発に乗ってしまったメティスが水に変身したところ、ゼウスはこれを飲み干して子供が生まれないようにしてしまいました。
一説によれば、様々な動物に変身していたが、蠅に変身したところで呑み込まれたとも言われています。

が、どちらにしても可哀そうな出来事です。

あるとき、ゼウスは激しい頭痛に襲われました。
なんと、胎児はゼウスの頭部へ移って生きていたのです。

ゼウスは痛みに耐えかね、リビアのトリトニス湖のほとりで、プロメテウスやヘパイストス、ヘルメスなどに相談しました。
この痛みの原因を探ろうと、ヘパイストスに斧で頭を叩き割るように命じました。

すると、ゼウスの頭から、甲冑で完全に武装した女神・すでに成人したアテナが飛び出してきました。

アテナの誕生 出典:Wikipedia

その衝撃で世界は停止し、天体の運行も止まってしまいました。
ゼウスの力って、ほんと、すごいですね!

ただ一つ、ゼウスが救われたことは、アテナがゼウスとメティスとの子ではありましたが、女神であったために、ガイアとウラノスの予言ははずれちゃったんです。

こうしてゼウスは王位簒奪の大いなる運命から解放されました。
良かったね!ゼウスさん!

呑み込まれたメティスはゼウスと一体となり、ゼウスは全知・知恵の神としても信仰されるようになりました。

この後、メティスはゼウスの体内で善悪を予言するようになったと言われています。


*オケアニデス
海や泉、地下水の女神のこと。



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