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「よいサービス」の基準が変わった

顧客が満足するポイントは移ろいゆく

顧客満足度調査や顧客の意見の収集により、お客様にそもそも満足してもらっているのか、気づいていないポイントはないのかどうか、など品質基準そのものについての確認ができる。さらにいうとお客様の嗜好や基準は、競合や市場、技術のイノベーションなどによってどんどん変わっていくから、品質評価の基準そのものがどんどん変わっていく。 

 「マナー」から「精度」の時代

コールセンターというものが勃興してきた1990年代には、まだ科学的な品質管理手法は確立しておらず、どちらかというと電話対応時の話し方やマナーに重点がおかれていた。そのころに講師として活躍したのが、元CAの人や、電話対応のマナー系の先生方だ。彼ら・彼女たちが悪いわけではない。接客業務の最先端で求められてきた高いレベルの接遇マナーや技術を持ち込んでくれた。

接遇マナーは基本的な作法という部分では意味があるが、最近では顧客満足度に対する影響度はとても軽微であることがわかってきている。要は、失礼でなければよいのだ。そもそも丁寧(すぎる)対応をしてくれたからといって、回答をもらうのが面倒だったり説明がわかりづらかったりしたらイライラするし、満足度も上がらないのだ。

そして、WINDOW95の爆発的普及とともにPCなどのヘルプデスク/サポートデスクが増加し、また金融機関も保険の申し込みや事故受付などを皮切りにコールセンターの全面的な利用がすすむと、対応の精度ということが重要視されるようになった。すなわち、対応の間違いがないということの確認である。

顧客に間違いを案内していないか、誤った情報を提供していないか、会社に不利益をもたらしていないか、コンプライアンス違反をしていないか、個人情報の漏洩をしていないか、などのチェックである。これらは、今でも重要であることは間違いない。 

 「精度」から「効果」の時代へ

しかし今、新しい基準が求められている。迅速に、必要十分な情報を、わかりやすく伝えているかといようなことだ。会社として間違った案内をしていない、という会社本位の視点から、お客様にとって、それがどのような効果をもたらしたかに重点をおくものだ。さらにお客様がその対応によって、会社に対して心を開いたか(エンゲージメント)、ということやお客様の感情はどのように変化したか、なども評価の基準になりつつある。

WEBページの顧客操作の遷移などでは、実際にお客様の購買行動などにつながる動きを分析することにより、顧客がどのように心を動かされたかを計数化し、それらを向上させていくための活動もできるようになった。

声色や声のトーンなどから感情レベルの推移を分析できるし、音声認識でテキスト化して、どのタイミングで、どのような言い回しや声のトーンが効果的なのかということも分析できる。

品質評価の黒船

コールセンターやカスタマーサービスの品質管理の活動は、すごい勢いで変わろうとしている。しかし残念ながら、こうしたシステムを構築したり運用したりする側に、コールセンターの対応をよく知るオペレーター出身が少ないのも現実だ。今なら、本当にちょっとしたきっかけで新しい品質管理の旗手になることも可能ではないかと思う。

オペレーターの次のキャリアとしては、品質の担当者になることもできると思う。この分野は、実はどんどん新しい技術や手法が入ってきており、非常に面白いところだ。

“おもてなし”という言葉で思考停止していた顧客対応の世界にも、科学的な手法とシステム化の波が日本にも来ている。この黒船に乗ってみようとする勇敢なオペレーターはいないだろうか。
コールセンターの業務、品質の意義を知ってテクノロジーをコントロールできる人が求められている。 

まとめ

・顧客が満足するポイントは移ろいゆくもので、継続的な分析が必要だ。 
・マナーよりも、顧客に対する「効果」が満足度に影響する。
・ サービスの品質評価の変革期に、新しいキャリアの可能性を探ろう。

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