「UFOを呼ぶには寒い季節になってきましたね」
隠岐島で泊まった旅館の入り口に、これまで来たお客さんからのお礼のお手紙がたくさん貼ってあった。
愛されてる旅館なんだな〜と見ていると、友達が「これみて!」と指をさした。
そこには、「UFOを呼ぶには寒い季節になってきましたね」という挨拶から始まるお礼のお手紙があった。
きゅんとした。なにこれ、めっちゃいいな!!!
この人はUFOを呼んだことがあるのかな?、UFOって寒いと呼べないのかな?、UFOを呼ぶのは2人の共通の思い出なのかな?、、疑問や情景がぶわーっと湧いてきた。とにかく、言葉の自由さと軽やかさにびっくりしてしまった。
そんな話を電車に乗っているときに友達にすると、「じゃあ時候の挨拶選手権やろうよ」と言われた。ふたりでノリノリで考えたのがこんな感じ。
「電気代が怖い季節になってきましたね」
「春眠暁を覚えずというには暑い季節になってきましたね」
「マフラーをクリーニングに出す季節になりましたね」
「タオルケットで寝れる季節になりましたね」
「ベンチが私を呼ぶ季節になってました」
「傘が嬉しそうな季節になってきましたね」
ここまで考えてみたところで、うーん、、面白いけど違うなぁと思った。
どう考えても「UFOを呼ぶには寒い季節になってきましたね」がうますぎる。
分析してみると、「UFO」という突拍子もない単語やシチュエーションと、「寒くなってきましたね」というありきたりな言葉の組み合わせが面白い。
寒くなってきましたねという言葉から、かろうじて秋なのかなと想像はできるけれど、UFOを呼ぶ季節ってどういうこと?という分からなさが残るのが面白い。
それに対して、私たちの考えた時候の挨拶も面白いんだけど、どちらかというと想像がついて「わかる」面白さだ。「わからない」面白さの時候の挨拶をつくってみたい。
そんなことを考えてつくってみたのがこんな感じ。
「サボテンが寂しそうな顔をする季節になってきましたね」
「サンタクロースが踊る季節になりましたね」
「あの子が餃子のピアスをつける季節になってきましたね」
わ!いい感じになってきた!
日本語って自分が思っているよりも、やわらかくてかわいい。私がまだまだ知らない言葉の使い方があるんだろうなあ。もっと出会いたい。もっと読みたい。もっと書けるようになりたい。
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