シモーネ=ラツィオのIHの働き/試合の流れを読むシモーネの交代策【セリエA 第24節 ラツィオ×インテル】

セリエA第24節ラツィオ対インテルの試合。両チームともユベントスとの優勝争いを繰り広げており、今後の展開を考えても非常に重要な一戦。ラツィオはユベントスやインテルに比べ選手層が薄いため、ルリッチの離脱が痛い。インテルはラウタロが復帰、再びルカクとコンビを組む。

・フォーメーション

ラツィオ、インテル共に3-5-2(3-1-4-2)を採用。インテルはお馴染みのコンテ式。今季のラツィオはIHにルイス・アルベルトとセルゲイを起用することで昨季までの左偏重のオーバーロードアタックから、よりバランスよく攻撃できるようになった。

・ラツィオのボール保持/インテルのボール非保持

ラツィオのビルドアップは基本最終ラインから3－1ではじまり、WBは高い位置でインテルのWBを牽制。そこにルイス・アルベルトが降りてきたり、セルゲイがハーフスペースで受けることで安定してボール前進が出来ていた。インテルはラウタロがルーカス・レイバにピッタリと付き、IHは縦へのコースを気にしつつ、両脇CBへプレッシングにいけるポジショニング。ここでベシーノが釣りだされたところをルイス・アルベルトがボールを受け続けたため、インテルのプレッシングはなかなか発動されなかった。なお、ラツィオはGKからのビルドアップをプレッシングで襲われても、セルゲイへの中/長距離パスという逃げ道を用意しており、インテルはシュクリニアルがこれを潰しに前に出て対応するが、セルゲイの質の高さによってラツィオはここでも簡単にボールの前進ができていた。これもあってか、後半インテルはゴディンとシュクリニアルの位置を変えている。

・インテルのボール保持/ラツィオのボール非保持

インテルのビルドアップはいつものコンテ式で最終ラインで回しながらWBとIHでボールを前進させていく。ただラツィオのプレッシング&ルーカス・レイバのよる楔封じのポジショニングによって、自陣からのビルドアップではラツィオほどチャンスを作り出せなかった。ラツィオがある程度ボールを保持して得点を狙う姿勢を見せた一方、インテルはカウンターからチャンスを作り出していった。

試合を優位に進めていたのはラツィオだったが、先制したのはインテル。左サイドのジョニーからのクロスが逆サイドに流れ、ヤング→カンドレーバでシュート、こぼれたところをヤングが押し込んでインテルが先制。DF以外ほぼ全員敵陣へ全力疾走したインテルのカウンターの速さと、ラツィオの選手の戻りの遅さによって違いが生まれてしまった。

・セルゲイの質、シモーネの交代策

後半に入ると選手交代こそなかったがインテルはゴディンとシュクリニアルの位置を変え、ラツィオはセルゲイがエリア内に積極的に入っていくようになった。ルイス・アルベルトから、そのセルゲイがDFの裏へ飛び出したところからPKを獲得。今季も絶好調のインモービレが決めて同点。さらに63分にはカイセドに代えてコレア、ジョニーに代えてラッツァーリ（マルシッチが左へ）などベンチスタートとなった主力を投入。同点でスピードのある選手を入れたことによるオープンな展開を優位に活かす交代策になった。そのラッツァーリのドリブルからのクロスによって得たCKから最後はセルゲイが決めてラツィオが逆転。前半はボール前進&チャンスメイクでチームに貢献していたセルゲイが、後半はより決定機に絡む活躍をみせた。インテルはその後エリクセンなどを投入して得点を狙いに行ったが、まだエリクセンを組み込んだチームとしての明確な形は見えてこず。ラツィオはルーカス・レイバに代えてカタルディを投入することで守備の強度を保ちつつ、そのまま試合を終わらせた。毎試合そうだが、ビッグマッチになると特にシモーネの試合の流れを読み適切な選手交代でバランスを保たせる力がはっきりと出てくる。今季は特にルイス・アルベルト&セルゲイをIHで起用してトランジション合戦に持ち込み、圧倒的な質で得点を量産したあとのパローロやカタルディ投入によって試合を殺すパターンが完全にうまくいっている印象。シモーネのラツィオ、ほんとうに良いチームだ。

・ひとりごと

個人的にシモーネのラツィオはすごく好きなチームだ。昨季からずっとなにか書こうと思っていたがサボリ癖のせいでなかなか書けなかった。今回は簡単なマッチレポという形で書くことはできたが、本当はもっとしっかり書きたい。誰かにケツをたたいてもらおう。そして直接対決を制したラツィオが2位浮上、インテルは3位に後退したが首位ユベントスとはまだ勝ち点差3なのでまだまだ優勝争いはわからない。ユベントスはもちろん強いチームだが、完成度でいえばラツィオがいちばんな気がする。どちらかがユベントスの連覇を止める展開になれば面白い。そしてミランもはやくそのレベルに戻ってほしい。いや、マジで。