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『Contact You/コンタクトユー』タイトルに込めた意味②

こんにちは。ポートレート撮影イベント『Contact You/コンタクトユー』主催者のヨコハマユキです。
『Contact You/コンタクトユー』タイトルに込めた意味① からの続きです。

私は現在東京在住ですが、上京する前は故郷の滋賀県の琵琶湖の北西にある比良山のふもとで卵とケーキのお店を営んでいました。
利き手や顔に大やけどをしたのをきっかけに、生き方を変える出来事が重なり、今現在カメラマンとして日々お仕事させていただいております。

私の生まれた家は、祖父が始めた養鶏の仕事を父と兄が受け継いで家業としており、父の長年来の夢の『買ってくれはる人と直接会えるお店がしたい』という想いを始まりとしてお店を作ることになり、店舗を営みながらイベントなどにも出店させていただきました。

その前段階、お店を始める頃のことについて少し綴りたいと思います。

私は幼い頃からとても食いしん坊で、それと同時に物を作ることがとても好きでした。
子供の頃の夢はケーキ屋さんかお花屋さん。
初めて人に振る舞ったのは、庭で祖母が作っていた大好きな苺に牛乳とお砂糖をかけた『いちごみるく』でした。
何歳だったのかは覚えていないのですが、苺を綺麗に洗う、ということを知らない私の差し出したいちごみるくを、祖父母は叱らず拒否もせず、ちゃんと食べてくれました。
祖母は潔癖なところのある人で、ほんとうは相当苦痛だったはずです。
自分が出してもらうとめちゃくちゃ嬉しい大好物を、忙しく働く大好きな祖父母に私から差し出したかった、そのことを受け入れてもらえたことはとても幸せなことだったな、と今でもよく思い出します。

そういう食いしん坊な私が、大学を卒業したらどうしようかなあ、とぼんやりしていたところに浮かび上がった店づくり。
父に『ちょっと勉強してこい』と言われて素直に従い、ケーキ店に丁稚に行き、店舗を作る際にケーキ部門を立ち上げ、担当することになりました。

お店の名前は、元々家の呼び名として屋号が今も使われている土地であるため、その屋号に決めました。
新しく作るケーキ部門については新しく名前をつけようということになったのでした。

ここでまたも遡り、私の生まれ育った環境について、もう少々お付き合いいただけたらと思います。

我が家は父方の祖父母と同じ敷地内に暮らしており、私たち兄妹が幼かった頃、両親は二人ともとても忙しく仕事をしていました。
そのうえ三人兄妹でとても大変だったこともあり、私が祖父母に預けられて小学校の半ば頃まで母屋で寝起きし、勉強部屋もひとり母屋に作ってもらっていました。
祖母は躾などには厳しさのある人でしたが、本当に優しく、とても働き者でした。
世界中で一番大好きな大切な人で、私は超のつくおばあちゃん子であり、おばあちゃんは私の母でもありました。

初めて自分の一眼レフを持ったときも、一番たくさん撮ったのは祖母だったかもしれません。

大人になってからも、とても気が合う感じがあり、祖母にとってもそれは同じように感じられました。
そんな超仲良しな祖母と孫を見た人に、『よう似たはるなあ〜』と言われることが通常モードでしたが、あるとき出てきた祖母の女学校時代の写真を見たとき、自分が着物を着てそこに写っているのかな、と思うようなそっくりっぷり。
よう似た春、の言葉は孫を可愛がる祖母へのご近所の方々のお気遣いの言葉なだけでなく、真実だったのだと知りました。

その仲良しのおばあちゃんが私を呼ぶときの『ゆうちゃん』という優しい響きが大好きで、その呼び名をお店の名前にしようと決めました。

祖母が亡くなった今も、耳の奥にはあの優しい声がしっかりと残っています。
私の名前は友紀(ゆき)。
13年間、家族と共に営んできたお店の名前は『菓子工房・友(ゆう)pâtisserie YOU 』でした。

また続きます。

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