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何かを辞めるという話。

以前働いていた職場で知り合った先輩がお笑い芸人をやっていた。歳上だが、服も好きで、音楽も好き。バンドと芸人、畑は違えど勝手に親近感を覚えていた。

そんな先輩のお笑いライブを見に行ったことがある。
ライブはその先輩のだけでなく、他のコンビも大勢出ていた。(先輩はトリオだった)面白かったし、小規模とはいえ、ステージに立っている先輩は職場見るよりかっこよく、そして何よりも楽しんでいるように見えた。俺もライブしたいわ〜、また見に行きますね〜なんて言って、その日は別れ、職場で会えばお笑いの話とか、音楽の話をする。先輩が職場を辞めるまで続いた。

それが、去年の夏頃だった。

この前、その先輩のトリオが解散する、とのツイートが流れてきた。

先輩が職場を離れてからはほとんど連絡も取り合ってなかったし、わざわざするのも違うなと思い、特に何も送らなかった。でも、なんか悲しかった。負けた気がした。何かにはわからないし、別に負けちゃなんかいない。でも、なんか負けた気がした。

ちょっと迷った挙句、「芸人は辞めんといてくださいね」と久しぶりに送るにしては唐突すぎる文字を打ち込み、送信した。

好きでも離れないといけない時はある。それは物事だけでなく、人に対してもそうだと思う。ある程度年齢を重ねて、そんなの分かりきっている。分かりきっているのに走り続けた先に何があるのは分からない。先輩はこれからも芸人を続けていくらしい。良い相方が見つかったらいいなと思う。

photo by _megumi_maruyama








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