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北海道延長 その2

空港で2泊3日をともにした3人を見送り、3日後にやってくる友人Mを待つべく北海道に1人残留した私。

その日はネットカフェで1泊し、翌日からの2日間はまた宿に戻ることにした。

となると戻り方を考えなくてはならない。
空港がある千歳市から宿までは、車であれば最短ルートで70kmほど。

公共交通機関を使うとなると、札幌まで遠回りしながら電車とバスを乗り継いで3〜4時間ほどだろうか。
運賃も合わせて3000円強。

悩む。これは悩む。
そもそも私は公共交通機関が苦手なのだ。

過去に奈良の友人が「家まで来てくれたら車に自転車積むから、淡路島一周しよう。」と声をかけて来た時の事である。
電車に乗るだけでも億劫なのに、自転車をバラして電車に持ち込みながら乗り換えなければならないという億劫が重なった。

うだうだ考えるのにも疲れた私は、会社が終わった金曜の深夜1時に京都を出発して、50km離れた奈良の友人宅までチャリンコで自走していった。

朝日を浴びながら午前7時半に友人宅に到着した時にはすでに達成感に満ちており、淡路島で最初のペダルを踏みこめば太ももがガクガクして自らの行動の愚かさを思い知った。

それくらい交通機関が苦手なのと、交通費をケチりたかった私は、「そうだ!70km離れた宿へ限界まで歩いて向かってみよう!」と思った。
今考えると淡路島の時から愚かさが変わっていない。

まぁ限界がくればヒッチハイクすればいいかと、一応コンビニでノートとマジックペンを買っておく。

そしてワクワクの限界ハイキングの開始である。

早朝5時半に漫画喫茶を出て、川沿いの道を歩き山道へと向かいながら雪道を満喫する。

2時間ほど歩いたところから、その先数十キロ区間は何もないという道路となる。

その道を調子良くジョギングしては、車が来たら脇に避ける(歩道が無いので)という事を繰り返して30分ほど経った頃、通り過ぎた一台の車が停止して、
「この先なんも無いぞ!乗ってけ!」
と声をかけてもらった。

これはもはや、刀を抜かずして相手を斬る技を身につけたようなものではないか。

という事ではなく、本当になにもない道なのでとても親切な方のご厚意なのである。
まだ限界ではないが素直に優しさに甘えることにした。

お仕事に向かわれる途中だったのに結局宿まで送っていただいた。
(帰ってからお礼に漆器を送った。)

「夜までに着けばいいか。」と思っていたのだが、まんまと朝9時に宿へ戻って来ることができたので、その後はのんびりコース。

みなさまのご支援で伝統の技が未来に、いや、僕の生活に希望が生まれます。