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そしてジャガイモ餅へ その2

スプレーボトルを直してやったことでバナが私を尊敬してやまなくなってからというもの、1〜2年に1回くらいのペースで会う機会があった。

そしていつしか尊敬しているはずの私に対して、ケチだなんだとか生意気な口をきくようになってきた。
いったい私のどこがケチだというのか。
まったく理解できかねる。

そして今回の北海道行きに関しても、「雪月花廊には行きたい。それに、春から近くのニセコのパン屋で住み込みバイトをするから、ついでにレンタカーで面接に連れて行ってくれ。」という目的があってのことだった。

「この私をついでの足代わりに使うとは、、、」
しかし尊敬しているからこそお願いができるという考え方もあるだろう。
懐の深い私は快く了承した。

そして当日である。
新千歳空港で4人が集まり昼食をとってから宿へと向かう。

宿に着いたのが15時頃で、そこから面接のためパン屋へと向かう。
別の2人はというと、「宿でゆったり薪ストーブを楽しんで待ってます。」とのこと。
うらやましい限りであった。

そして私達はパン屋に着いた。
私は先に入店しておき、バナが店の人に「あ、あの、はじめまして、バナと申しますが、、、」などとかしこまっている様子をパントレイ片手にほくそ笑みながら観察していた。

「早く宿に帰りたいから、5分で面接終わらせてこい。」と告げていたが、奥からにこやかに出てきたオジサンはとても話好きそうな人だった。
「これは長く待たされそうだな、、、」と思って近くの道の駅で時間を潰す事にする。

そして出会ってしまった。
米袋に詰め込まれた規格外品のジャガイモ(キタアカリ)20kgが1500円で売られているではないか。

これぞ生産地ならではという値段と売り方。
そんなキタアカリを見つけた私は、迷わず抱きかかえてレジに運ぶ。

京都への送り状を書き添えて精算に進むと、送料込みで3500円を請求された。

レジスターに表示されたその金額を見たとき、
「なんだ、俺はジャガイモに3500円も出すのか?
送料の事を考えたら京都でも北海道産キタアカリがもっと安く買えるのでは、、、?」
と、一瞬で後悔の念が湧いてきた。
誰がケチだ。

それが1ヶ月経っても食べきれず大量に余らせ、ニョキニョキと芽を出させてしまったジャガイモ達である。

なぜそんなにも余らせてしまったかというと、一人占めにしようとお土産として友人や知人に配らなかったことも一因と言える 。

誰がケチだ。

つづく。

みなさまのご支援で伝統の技が未来に、いや、僕の生活に希望が生まれます。