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雑記:嘘のツアー

 数ヶ月前にXでバズっていた浅草ツアーに参加した。

 私の発信をつぶさに追って頂いている方ならご存知だと思うが、私はウソが大好きである。ウソが好きすぎてエイプリルフールが逆に嫌いなくらいである。なんで特定日に縛られなければならないのだ。私がウソをつく時は何でもない日に当たり前のようにウソをついて特に注意喚起も行わない。私のウソを死ぬまで信じ込んでいればいい。そんなことを言うとびっくりされるかもしれないが、なあ、おまえらはいつからそんなお行儀よくなったんだ? 民明書房や矢追純一を信じていたあの頃の自分を思い出せ。次はお前が矢追純一になるんだよ。

 話を戻そう。本日参加したこちらのツアーだが、

ツアー内容
・約90分のウォーキングツアーです。雷門、仲見世など浅草の有名観光エリアを歩きながらガイドします
・ただし、ガイド内容はすべて嘘です。もっともらしく話しますが嘘です。
・ツアー中、参加者の方々も嘘の情報を差しこみたくなったら、ご自由に嘘をついてください
・このツアーの実施自体は本当です。嘘ではありません。

https://note.com/manianananika/n/n54e2fb038cfa

 これはある種のパロディ作品と言えるだろう。「ウソ」というよりは「ガイドツアーのパロディ」という趣が強い。私はこういう「外形的な様式を踏襲しながら変なことをする」のも大好きだ。

(16年前に作った動画作品。今見ると22万回再生もされている)


 ネタバレの関係もあるので詳細をお伝えするのは難しいが、単に観光ガイドだけではなく、ちょっとした体験要素もある。「ガイド中に落とし士の作品を発見したら写真に撮り、最後に参加者全員で共有する」というもので、皆さんにはあまり馴染みがないかもしれないが、この世には「物を道端に落とす」ことで、その情景を作品化する「落とし士」というアーティスト集団(文化)が存在している。

 このアート様式はHIPHOPのグラフィティから派生したものとされているが、私がかつて調査した限りでは18世紀後半から早くも落とし士文化の萌芽が見られる。グラフィティとの関連を強調する通説はおそらく誤りであろう。「物を落とす」ことは当然ながら大量生産に支えられた様式であり、工場制機械工業を導入した英国において最も早く落とし士の作品が現れたことは必然と言える。

 一方で、本邦においては高度経済成長期に如実に落とし士の作品数が減少した。これは経済成長に伴う大量消費、そして不法投棄が、「単なるゴミ」と「作品」の区分を曖昧化したためと言われている。翻って昨今においては街中の不法投棄は目立って減少傾向にあり、落とし士の活躍する社会状況が整備されてきた。

 現に本日のツアー中も、落とし士による作品こそ見つかったものの、不法投棄されたゴミなどは全く発見されなかった。私が「これはゴミかな?」と思ったものも、単に私の浅慮と審美眼の欠如によるものであり、同行するツアー客たちはそれらが落とし士の作品であることを賢明に見抜き、その知見を共有することで私の蒙を啓いてくれたのである。

 話を戻すと、このような「落とし士の作品発見」的な体験要素もあり、単に説明を聞きながら浅草を練り歩くだけでなく、地面を見つめながら主体的に浅草を堪能することができる。

「せっかく浅草に来ているのに私は地面ばかりを見つめていないか?」

 と何度か自問自答しないでもなかったが、しかし、考えてみればせっかく観光地に来ながら地面しか見ていないというのも、なかなか得がたい経験ではないだろうか。ところで晩飯の時に飲んだワインが回ってきた。だんだん頭の中がボンヤリしてきたので、そろそろこのレビューを終わりにしたい。あと、焼きそばが食べたい。ラーメンを食べて帰ってしまったが、せっかくなので焼きそばにすればよかった。今さらながら焼きそばが食べたくなっている。

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