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週刊女性大失態タグ、トレンド入りの怪

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トレンド入りした「週刊女性大失態」タグ

2022年5月4日朝、何気なくTwitterを見ていた筆者は、「週刊女性大失態」というタグがトレンド入りしていることを知った。少し検索してみたところ、このタグを拡散しているアカウントにはイベルメクチンを新型コロナ治療薬として推薦しているアカウントが多いため、批判の対象となっていた。筆者は新型コロナ関連の代替医療や陰謀論についても調べているため、このタグについても発信源を辿ることにした。その結果、思わぬ方向に興味深い事実が浮かび上がった。

発端は週刊女性の記事への反論

この「週刊女性大失態」というタグは何かというと、主婦と生活社が発行する「週刊女性」を批判する意図で拡散されていたものである。何故週刊女性が批判されたのかというと、この記事を掲載したからだ。

該当記事は大物アーティストであるAが周囲やファンにイベルメクチンを推薦していることや、オゾン水生成機器やがん発見機器に関わっていることについて警鐘を鳴らすもので、それに対してAはブログで反論を行っていた。

この記事と共に拡散されていたのが「週刊女性大失態」タグであり、拡散しているアカウントにはAのファンやイベルメクチンの支持者が目立った。

タグを生み出したのは「応援バズらせ隊」のインフルエンサー

何故かよく見かける「ふるさとめぐり市」

筆者が辿ったところ、最初にこのタグが発信されたのは5月3日 23時03分に行われた下記ツイートにおいてだった。

このタグが使われた初期のツイートを見ていて筆者が気になったのが、一見して陰謀論系のアカウントとはツイート内容が異なっていたことである。筆者がよく見ている陰謀論系のアカウントのTLは、陰謀論やスピリチュアルに関する投稿で埋め尽くされていることが一般的だ。しかし週刊女性大失態タグを拡散しているアカウント群のTLでは陰謀論・スピリチュアルツイートがあまり見られず、代わりに特定事務所に所属するアーティストや飲食店を宣伝するツイートが行われていた。

その中でも目立っていたのが、「ふるさとめぐり市」というサイトの宣伝である。最初にこのタグをツイートしていたアカウントもそうであり、さらにはA◯KAが例の記事をツイートした(5月3日 22時44分)直後の22時48分、最初にブログ記事をシェアしていたアカウントもふるさとめぐり市を宣伝していた。このアカウントは日常ツイートが全くなく、プロモーション関連のツイートばかりが投稿されている不気味なアカウントだった。

↑本人以外で最初に記事をシェアしたアカウントも、ふるさとめぐり市についてツイートしていた。この他、初期に週刊女性大失態タグを拡散したアカウントのほとんどが同様のツイートをしていた。

ふるさとめぐり市・応援バズらせ隊・インフルエンサー

「ふるさとめぐり市」というのは食品や健康機器を販売しているECサイトであり、「株式会社L◯SH」という、静岡県に拠点を置く会社が運営している(※ソープやバスボムを売っている同名の会社とは異なる)。このサイトで特徴的なのが、「応援バズらせ隊(OBT)」という集団に所属するインフルエンサーと提携していることである。

かなり大きな扱いでインフルエンサーが紹介されている
サイトメニューにも「応援バズらせ隊」が存在

この「応援バズらせ隊」というのは、サイト説明によれば「“バズ”(=話題・反響)の力で地域を活性化させる事業」であり、「OBTインフルエンサー」集団によって、特定の商品や地域を意図的にバズらせる活動を行なっている。実際に、応援バズらせ隊のWEBサイトでは意図的なバズを起こした「実績」がいくつも掲載されている。

様々なタグをトレンドに送り込んでいる

このインフルエンサー集団には個人で参加することができ、月額1万円のオンラインサロンに入ることでSNS運用のサポートを受けることができる。

意図的にバズらせようとしている
個人でインフルエンサークラブに入れる
オンラインサロン登録の説明資料より

インフルエンサー登録をすると専用URLが発行され、これ経由の購入額の一部が還元される。またリクルートプランもあり、勧誘した人1人につき1,000円が毎月還元される。つまり応援バズらせ隊はオンラインサロンとアフィリエイトを組み合わせたビジネスで、インフルエンサーからも売上を得ている仕組みである。

勧誘すると1人につき毎月1,000円還元

そして、「週刊女性大失態」タグを生み出した人物も、OBTインフルエンサーとして登録されていた。

確定的なことは言えないが、特に初期に週刊女性大失態タグを拡散していたアカウントは末尾に「invite=XXX」というパラメータが付与されたリンクをツイートしており、これはアカウントごとに異なっていた。筆者はふるさとめぐり市に登録しているが、このようなシェアを行う方法は見当たらない。このパラメータが付与されたURLが専用URLなのではないだろうか。少なくとも、応援バズらせ隊やふるさとめぐり市の界隈で特定のタグが拡散されたとは言えそうである。

以前から類似の事業を行っていた人脈が浮かび上がる

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