お金配りアカウントから「投資」オンラインサロンに潜入したら、何故かギャンブルを勧められた話
度々トレンド入りする「お金配り」ハッシュタグ
Twitterを見ていると、お金配り系のハッシュタグがトレンド入りしていることがある。特に「#毎日10万円配布」というタグは文字通り毎日つぶやく「お金配り」アカウントが大量にあり、何度もトレンド入りしているのを目にしている。
タグを見にいくと、いいねやRT、フォローと引き換えに抽選を行うと称するツイートがほとんどだ。そうしたアカウントのプロフィールを見にいくと、SNSマネタイズの記事と同様、大抵はLINEに誘導している。そこから商材へ繋げるのだろう。筆者は、ある日目立っていたアカウントの一つを追ってみることにした。
このアカウントも例に漏れずLINEへ誘導していた。名目は「投資塾」である。
投資塾なのにオンラインカジノを推奨される
そこでLINEに登録したところ、やはり投資サポートを案内された。ところが、続くメッセージが意外だった。案内された投資というのが、オンラインカジノだったのである。
この時点で話がおかしいが、余計に関心をそそられた筆者はやり取りを続けることにした。ちなみに警察庁はオンラインカジノについて違法と判断しており、少なくとも合法と言い切れるような状況ではない。
続いてオンラインカジノの利用について了承するメッセージを送ると、Qというオンラインカジノのアカウント登録を求められた。リンクからして明らかにアフィリエイトである。
オンラインカジノのアフィリエイトは利用金額に応じて報酬が発生する(継続報酬型)ため、カジノで金を使わせるのが目的と考えられた。
この後はアカウント作成と入金のスクリーンショットを求められたが、さすがに賭博をやるわけにはいかない。アカウントだけ作成し、入金した体のスクリーンショットで乗り切ることにした。
その場は偽装スクリーンショットで乗り切れたものの、面倒なことにその後も逐一スクリーンショットを要求される。操作の都度スクリーンショットが要求されるのはあまりに煩雑(なのと画像の修正が追いつかない)である。
アフィリエイトを指摘すると怒り出すサロン主
このため「都度スクリーンショットを撮ると面倒なので、戦略を教えて欲しい」と送ったところ、「パターンを統計しながら予想しているので毎度スクリーンショットが必要」と手法の概要を教えてもらえたものの、最終的には怒り出してしまった。
怒っている中でも「アフィリエイト報酬が、ノウハウを提供したプログラマーに渡っている」ことを聞き出せたため、さらに話を聞こうと音声通話を試みたが、通話が実現することはなかった。
それにしても、「アフィリエイト報酬をプログラマーに渡して」いるということは、このアカウントもカモの1つなのではないだろうか。
今でも流通し続ける「必勝法商材」
大昔から「もしもギャンブル必勝法があるのなら、自分で賭ければ良いだけなので信用してはいけない」と言われるこの種の商材だが、人間の欲望が尽きない限り消えることはない。ルーレットについて調べてみたところ、現在も「AIを使ってルーレットで稼げる」と称し、任意保険(と称する何か)まで完備しているツールも存在していた(下記のツールはシステム代の他に運用代が存在し、初期費用は$2,455)。
このツールは全自動だったが、逐一結果を入力するタイプのツールも存在する。そのツールは、マーチンゲール法のような賭け金を変動させる方法ではなく、同じ賭け金を続ける手法で勝つサポートをしてくれるという。
必勝法業者に話を聞いてみた
ツールのLINEに登録してみたところ、「現状を聞きたい」と通話をするようメッセージが送られてきた。一体どのような方法で勝つのか、興味を持った筆者は話を聞いてみることにした。
某日の夜、LINE通話をしてきたのは「気のいいおじさん」といった雰囲気の男性だった。オンラインカジノ必勝法を売っているような怪しい雰囲気はあまり感じず、話も上手い。そこで聞いたことをまとめると下記で、メンタル面の話が多かった。
マーチンゲールのような、賭け金を増やしていく方法は、必ず資金が底を突く瞬間が訪れるので良くない。
ルーレットを投資として考えた時、必要とされるマインドセットをほとんどの人は持っていないため、コンサルティングする。LINEグループでのサポートもする。
攻略法について話し合うミーティングを全国で行っている。
コミュニティにはエンジニアや公務員が多く、教師もいる。
スプリットを8点賭けする手法を使っている。
攻略のポイントとなるのは、「スプリットを8点賭けする」という点である。スプリットというのは2点賭け(2つの数字にベットする)で、配当は18倍である。これを8点賭けした場合、勝率が44%を超えれば勝てるというのだ。
計算してみよう。スプリットの配当は18倍で、仮に1ドルを8点に賭けたとすれば下記のようになる。
賭け金:8ドル
配当:18ドル
配当時の利益:18 - 8 = 10ドル
勝率45%の場合:45%の確率で勝って10ドルが得られ、55%の確率で負けて8ドルを失うので、期待値は
0.45 × 10 + 0.55 × (-8) = 0.1(ドル)
となり、確かに50%以上勝たずともプラスとなる。
それでは、スプリット8点賭けの現実的な勝率はどの程度なのだろうか。
ヨーロピアンスタイルの場合、スプリットの勝率は5.4%で、これを8倍すると43.2%にしかならずマイナスになってしまう(このような手法で勝てていたらカジノは潰れるのだから当たり前である)。
となれば、長くやっていれば必ず負けるのではないか。しかしこの手法では、勝率を上げる方法があるというのだ。その方法とは何なのだろうか。それについて、電話の主はこう言った。
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